主人公機でありながら、あえて「ガンダムヘッド」を外したすごさ
寺田氏:
しかも、今みたいにSNSがあるわけでもないから、「どこに何が入荷するのか」は完全に口コミなんです。噂で「あそこの店にはガンプラがあるらしい」と聞いたら、もうみんなでワーッと行くような感じでした。
李氏:
「イフリート改がヨドバシにあるよー!」と言ったらみんなで行くじゃないですか。
森住氏:
やっぱりイフリート改って人気ありますよね。以前にも、寺田さんと「なんでイフリート改ってこんなに人気あるんだろうね」という話をしたことがある気が……。
寺田氏:
みんなイフリート改は好きだけど、改修前の「イフリート」を知らない人がいるんですよね。まずSFCの『機動戦士ガンダム CROSS DIMENSION 0079』でピクシーとイフリートが登場し、その後の『機動戦士ガンダム外伝 THE BLUE DESTINY』【※】でイフリート改が登場しました。
ブルーディスティニー1号機とイフリート改は人気が高いですよね。
※「機動戦士ガンダム外伝 THE BLUE DESTINY」
ゲーム『機動戦士ガンダム外伝』シリーズの第一作であり、セガサターン用に三部作として制作された作品。「EXAMシステム」と呼ばれる戦闘システムを搭載したMSを巡って繰り広げられた戦いを描いており、その人気の高さからゲーム原作でありながらも小説や漫画などの媒体に派生していった。
李氏:
単純に『BLUE DESTINY』の知名度が高いだけじゃないですかね?
寺田氏:
もちろん知名度もありつつ、イフリート改は「両肩が赤い」のと「2本のヒート・サーベル」がみんなの心を掴んでいるんだと思います。
森住氏:
あと、脚の三角のミサイル・ポッドもね!
あれが脚のシルエットをいい感じに整えてくれています。
李氏:
やっぱりね、肩が赤い機体がいいんですよ!
赤いのは良い!
──「肩が赤い」だと、やっぱり『ボトムズ』な気がします。
寺田氏:
やっぱりスコープドッグになりますよね。
森住氏:
あぁ、レッドショルダー!
個人的には「ブラッドサッカー」が好きですね。作中では「やられメカ」ではあるけど、イプシロンが最初に乗るATでもありますから。
寺田氏:
みんな、ブラッドサッカー好きだよね。
俺も好きだけど……。
森住氏:
最近よく登場する「レッドショルダーカスタム」は劇中でバニラが肩を塗っただけだから、いわゆる「レッドショルダーのオマージュ」じゃないですか。でもブラッドサッカーはキリコたちが抜けたあとにレッドショルダーに正式配備された機体だから、エポック的な存在なんですよね。
その上で、イプシロンが「ストライクドッグ」の前に初めて乗ったATがブラッドサッカーですから。やっぱりロボットは「ライバルが乗る」ことで箔がつくと言いますか(笑)。
それこそ、イフリート改だって『BLUE DESTINY』ではニムバス・シュターゼンが乗っていましたよね。
李氏:
あぁ、やっぱり僕は変態が好きなんだなぁ(笑)。
寺田氏:
他に「ゲーム発の一年戦争人気機体」で言うと、ホワイト・ディンゴのジム・スナイパーⅡとかになるのかなぁ。
李氏:
ホワイト・ディンゴもいいですよね。
ただ、僕は『BLUE DESTINY』も含め、元になっているセガサターンのゲームはやっていなくて……そもそも、中国ではセガサターンが普及しなかったんです。だから、基本は『Gジェネ』【※】で知りました。中国のガンダムユーザーにとって、『SDガンダム GGENERATION-F』は神作品なんですよ(笑)。
触れるのが難しい外伝作品も入っているし、ストーリーやCGムービーもきっちりやってくれますから。
※「SDガンダム GGENERATION(Gジェネ)」
バンダイナムコエンターテインメントより発売されている、「ガンダム」シリーズを題材としたシミュレーションゲーム。多くの「ガンダム」シリーズが集結する作品となっており、現在もシリーズが続いている。中でも、李氏が挙げた『GジェネF』は特に評価が高い1作でもある。
寺田氏:
そっか、『Gジェネ』で……!
じゃあ、セガサターンの『BLUE DESTINY』で目を真っ赤にした青いジムがものすごい勢いで突っ込んでくるのはまだ見たことがないんですね。あれはもう……「ジム!?」という衝撃がすごくて。
森住氏:
しかも奥がツインアイになっていて、ブワーッ!!と光ってるんですよね。
寺田氏:
でも、「最初の主人公機にあえてガンダムヘッドを外してきた」ブルーディスティニー1号機は、当時からすごくカッコいいなと感じていました。その衝撃もあるから、『BLUE DESTINY』は今も人気があるんじゃないでしょうか。
森住氏:
その1号機の「ツノがなくてもカッコいい」という見せ方は、後の『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』【※】に受け継がれていったのではないかと思っています。「ガンダムEz8」だって「ツノがなくても、ガンダムとして成立している」人気機体ですし。
※「機動戦士ガンダム 第08MS小隊」
1996年から1999年にかけて発売された、OVA作品。戦争が描かれることの多い「ガンダム」シリーズの中でも、より戦場の生々しさやリアリティを意識した作風が特徴的。主人公「シロー・アマダ」の恋愛描写や、ミリタリー色の強いメカニック表現など、ファンからの評価が高い作品となっている。
寺田氏:
でも、うちに飾ってあるフィギュアはまずノーマルの陸戦型ガンダムを2つ置いて、もうひとつは「ジムヘッド」にした陸戦型ガンダムを置いてます。
森住氏:
良いですね!
「ジム頭はやめてくれよ、ジム頭は」だ(笑)。
あと、陸戦型ガンダムは後ろに武器用のバックパックを担いでるところもいいですよね。ある意味、ガンダムを「戦車」として運用するようなスタイルだったと思います。
李氏:
あの「重量感」の表現がいいんですよね!
寺田氏:
後ろのバックパックにパラシュートザックのブースターだけ付けてるカットもあるんですよね。今は「あれでジャンプするつもりだったんだろうな」と思えるんですが……「青いアイツ」が来ちゃうから。
森住氏:
そう、グフ・カスタム!
僕は下手をするとMSの中で一番好きかもしれない!!
もうね、『08小隊』はグフ・カスタムがず──っとカッコいいんですよ!
寺田氏:
あれは登場シーンから最後のシーンまで、ひたすらカッコいいので(笑)。
「あんな出撃シーンあります?」って話ですよ。ノリス大佐役の市川治さんの演技も最高です。
李氏:
グフ・カスタムは登場する時の角度もいいんですよね。
下から出てきて、BGMが「ダーン、ダダーン」と。
存在感が違います。「オーラ」を感じますね。
寺田氏:
それで言うと、声優の杉田智和さんと「『ポケ戦』のシュタイナーの部隊にノリス大佐がいたら多分勝ってましたよ」という妄想トークをよくします。
森住氏:
ノリスと……あとニムバスもいればね!
李氏:
いや、ニムバスがいたら多分小隊は空中分解しますよ。
アイツは「変態」かつ「仲間を空中分解させる能力」がありますから!
森住氏:
社長、ニムバスの評価低いですね!?
仲間を空中分解させる「能力」って……(笑)。
寺田氏:
ほら、ニムバスはギニアスと盛り上がってもらえれば……。
森住氏:
もうほぼ同じ人たちですからね!
李氏:
変態同士だし、髪型も似てるし(笑)。
寺田氏:
グフ・カスタムは、デザインもいいんですよね。シールド裏のヒート・サーベルを活かすような形にしつつ、ガトリング砲も装備する。その上でヒート・ワイヤーも活用していて……やっぱりグフ・カスタムはMSの中でもかなり好きです。
森住氏:
そう、ヒート・ワイヤーの「電気ショックで直接相手の機材にダメージを与える」描写も良かった。中の機材をショートさせることで、中身から相手の動きを封じる……要するに「電子戦用の装備」ですね。
寺田氏:
いやぁ……やっぱりグフはロマンですよ。
『08小隊』のグフ・カスタムのヒート・サーベルは実体剣だったけど、TV版ガンダムのグフのヒート・サーベルの刀身はそうじゃないとも受け取れるから。
森住氏:
あと、グフは左手がマシンガンになっているから、基本的に片手が固定されているんです。
だけど、テレビ版は手からマシンガンを撃った後でも普通に物を握ったりしていて。後々「通常タイプのマニピュレーターに差し替えている」という設定が追加されましたが、テレビ版を見ていると「うん?」と思うシーンがグフには多かったりします(笑)。
寺田氏:
グフのカッコいいところは、後発のドムやゲルググは宇宙でも頑張っているのに、宇宙に行かないところなんですよ。『機動戦士ガンダムMS IGLOO -黙示録0079-』の「ゼーゴック」で、ズゴックすら衛星軌道上まで行っているのに! グフはフライトタイプもあるのに!
森住氏:
漫画版だと、ズゴックが宇宙を飛び回ったりしていましたね。
だけど、たしかにグフは宇宙は飛ばないんですよね……。
寺田氏:
やっぱりおっさんがしゃべると、どうしても80年代の話にしかならんな……。
「いいから飛影の最終回を見ろって!」「見ないから」
李氏:
でも、なんだかんだ85年が一番いいですよ! 僕の大好きな『Zガンダム』もあるし、『メガゾーン23』もある。あと、『忍者戦士飛影』【※】もありますね。
僕はロミナ姫が好きだから、『飛影』を最初から最後まで見ました!
寺田氏:
僕は、未だに『飛影』の最終回が信じられないんですよね……。
森住君と『スパロボ』を作っていた頃、彼が書いた『飛影』周りのシナリオを見て、僕は「これで飛影の話はこういう終わり方でいいの?」と突き返したんです。僕も『飛影』を見てはいたんですが、最終回の記憶が曖昧で……そうしたら森住君から「これは“完全な”原作再現ですよ!」と(笑)。
森住氏:
そう、むしろあのオチは変えちゃダメなやつなんですよ! あれから僕はずっと寺田さんに「いいから飛影の最終回を見ろって!」と言っているのに、未だに見てくれないんですよ!?
寺田氏:
当時は「わかった。もうお前を信じるよ」と言って決着がついたと思います。そして「俺は飛影の最終回は見ないから」と。この「最終回見ろよ」「見ないから」のやり取りを、もう20年ぐらいやってます。
一同:
(笑)。
※「忍者戦士飛影」
1985年から放送された、テレビアニメ。「飛影」という忍者型のロボットが主人公機として登場する。いわゆる「打ち切り」となった作品で、ラスト2話はかなり独特な構成となっている。
李氏:
『飛影』もすごいですけど、85年は『ダンクーガ』【※】もすごいですよ。
だって、途中まで合体しないんですよ!? あと、ゲームから入った人は「断空光牙剣」をずっと振り回してるようなイメージがあるかもしれないけど、テレビ版はそもそも使ってないし(笑)。
※「超獣機神ダンクーガ」
1985年から放送された、テレビアニメ。主人公の「藤原忍」を中心とした「獣戦機隊」の戦いが描かれている。2007年には続編の『獣装機攻ダンクーガノヴァ』も制作され、根強い人気を誇る。
寺田氏:
いやいや、『ダンクーガ』はなかなか合体しないのがいいんですよ。
「全然合体しない」ことを話す人が多いようですが、本当に驚くべきなのは「1話にモブメカしか出てこない」ところです。獣戦機のイーグルファイターは2話からの登場です。
森住氏:
みんなが「オープニングで出てきたロボって、いつ出てくるの?」と疑問に思うやつですね(笑)。
寺田氏:
『スパロボ』のおかげで、EDの「バーニング・ラヴ」を『ダンクーガ』の主題歌だと勘違いしてる人が多いんですよね。僕は『新スーパーロボット大戦』からOPの「愛よファラウェイ」を戦闘曲にしました。
てか、森住君も「なんでバーニング・ラヴなんですか?」って言ってたじゃん!
李氏:
いや、「バーニング・ラヴ」の方がいいです。
そして、2番目は「愛は奇蹟(ミラクル)」。
森住氏:
それ、劇場版『GOD BLESS DANCOUGA』のやつじゃないですか!
てか、『スーパーロボット大戦COMPACT』の話ですよね!?
寺田氏:
あぁ、また変な知識が……もう大体君(森住)のせいじゃねえかよ!!
一同:
(笑)。
森住氏:
いやぁ、嬉しいです(笑)。
普通だったら「バーニング・ラヴ」の次に「愛は奇蹟(ミラクル)」は来ないですからね! イントロがめちゃくちゃカッコいいんですよ……「I can’t stop my vibration」ですよ!
李氏:
多分、超合金で一番買ったのがダンクーガだと思います。
家に4体ぐらいありますよ!
おすすめのロボットアニメはなんですか?
──最後に、みなさんの「おすすめのロボットアニメ」についてお聞きできればと思います。
李氏:
いやぁ、難しいですね……強いて言えば、『Zガンダム』だと思います。
富野監督のガンダムの中でも、特にシナリオが流暢ですし、作画もいい。
基本的に、欠点が見つかりにくい作品だと思います。あとはオチもいい!
森住氏:
『Zガンダム』は、『0083』や『ガンダムZZ』『逆襲のシャア』などの続編・派生作品にも繋がっていきますからね。ファーストとその後の「ちょうど前後を繋ぐ」ポジションにいて、ある意味「ジョイント」のような作品でもあると思います。
李氏:
もうひとつ挙げるなら、『ラーゼフォン』【※】もいいですね。
多分、僕は『エヴァ』より『ラーゼ』派です(笑)。
理由は単純で、「綺麗なラブストーリー」が描かれているからです!
※「ラーゼフォン」
2002年に放送された、テレビアニメ。原作・監督を出渕裕氏が務めており、神像型のロボット「ラーゼフォン」と出会った少年少女のラブストーリーが描かれる。
寺田氏:
たしかに、『ラーゼフォン』は「ラブストーリー」という意味では究極の話ですからね。
森住氏:
「プラトニックにも程があるだろ!」とは思いますが(笑)。
李氏:
「ブルーフレンド」の回がエグイんですよね。
しかも『スーパーロボット大戦MX』での演出もエグイ!
あそこまで原作再現しなくてもいいですから!!
寺田氏:
ブルーフレンドは、「そのイベントがないと作品が成り立たない」ものですからね。もちろん「IF展開を作って助けてあげたい!」という思いもあるのですが、それだと『ラーゼフォン』という作品のインパクトが薄れてしまいます。加えて、分岐を作る余裕がない時は「原作再現」一択ですね。
だから、初めて『天元突破グレンラガン』を参戦させた時、中島かずきさんには「カミナが生存するIFルートはナシにしてくれ」と言われました。まぁ当然というか……『グレンラガン』は彼の死によって成り立つ作品ですから。
ただ、同時に中島さんは「3回目か4回目の参戦だったらIFをやってもいいよ」とはおっしゃられていました。いやぁ……ハードルが高い!
森住氏:
僕のおすすめは、やっぱり『重戦機エルガイム』ですね!
繰り返しになってしまいますが、一度『エルガイム』を見てから、『∀ガンダム』『ブレンパワード』『キングゲイナー』の3作を見ると、僕が言いたいことの意味がわかります。さらに、そこからもう一度『エルガイム』を見てください。多分評価がガラっと変わると思います(笑)。
李氏:
ひとつだけ補足させてほしいんですが、『エルガイム』を見るなら、1話だけ使われる挿入歌の「傷ついたジェラシー」を聞くべきです。
あれは神曲ですよ。絶対に聞くべき!
ここは僕の譲れないポイントです。
森住氏:
補足がすごい!(笑)
とにかく、『エルガイム』は2回見てください。2周すると、いろいろな作品に「そうか、すべては“エルガイムから始まっている”んだ……!」と気づけると思います。
寺田氏:
いや、分かんねえよ!(笑)
寺田氏:
僕は『銀河漂流バイファム』【※】がおすすめですね。これはどちらかというと「ロボットアニメに興味がない人」の方が見やすいアニメだと思っていて……ロボットアニメというより「冒険活劇」として見ると、すんなり入れる作品です。
しかも、設定もかなりハードなSFになっています。普通のアニメだったら5分くらいで終わらせるような「宇宙船を発進させる」というお話に、まるっと1話分かけたりしています。そういった細かいシチュエーションの描き方も面白いです。
そして、「大人が全員カッコいい」のもすごい。危機に対して決して逃げ出したりせず、大人たちがそれぞれプロとして職務を果たして死んでいきます。そこから「託された子どもたちは……」という話が描かれるんです。
この間も少し『バイファム』を見返したんですが、ちょっと海外ドラマっぽいんですよね。だから、純粋に「冒険活劇」として楽しめると思います。それこそ、「あんまりロボットアニメに興味はない……けど、SFは好き」という人には『バイファム』を見てほしいですね。
※「銀河漂流バイファム」
1983年から放送された、テレビアニメ。SF的な細やかな設定を描きつつ、等身大の少年少女が成長するストーリーが展開される。全編英語のオープニングなど、当時のテレビアニメ番組としては実験的な試みがいくつか盛り込まれており、アニメファンからの人気が高かった。
森住氏:
『バイファム』はオープニングのイントロもすごくカッコいいですよね。
李氏:
あれもカッコいいですね。
「バイファーム」のやつ。
寺田氏:
そして、『バイファム』は大人に「無謀だ、やめろ!」と言われても、そこら辺で拾ったロボットに乗り込み、お父さんとお母さんを助けに行く話でもあります。だから、しんどい時に見ると元気になれるんですよね。『ガオガイガー』とは別の方向で、元気の出るアニメだと思います。
どちらかというと『ガオガイガー』は、ものすごいテクノロジーと「勇気」で状況を打破する話が描かれますが、『バイファム』は「与えられたその状況でどうするか」が描かれています。そして、この2作に共通するのは「諦めない」という感情ですよね。そういった感情が強く描かれているのが、80~90年代の作品の好きなところですね。
さっき森住君が挙げてくれた『エルガイム』もそうだし、『戦闘メカ ザブングル』【※】も該当すると思います。「君は走るか、俺たちゃ走る!」とか。
李氏:
『ザブングル』を最初に見た時、まず思ったのは「世界観がすごい」でした。
もう一目見た瞬間、あの世界観に没入しました。
あそこから見るのが止まらなくなっちゃうんですよね。
寺田氏:
僕も『ザブングル』の世界観が好きで……特に驚いたのは、惑星ゾラの地図が「地球の水位を下げた地図」だと聞いた時ですね。だから、惑星ゾラはより地表が見えているんです。あの設定を聞いた時、「これはすごいSFじゃない!?」と思いました。
※「戦闘メカ ザブングル」
1982年から放送された、テレビアニメ。富野由悠季氏が原作・監督を務め、コミカルさやエンターテインメント性が意識された作風が特徴的でもある。「惑星ゾラ」という架空の惑星を舞台に、主人公「ジロン・アモス」と、主人公機「ザブングル」の活躍が描かれる。
寺田氏:
あとは、『キングゲイナー』も好きですね。
基本的に「悪人は出てくるけど、いい話になる」ところが好きで……特にヤッサバさんの話がお気に入りです。そして、「結局オーバーマンってなんなんですか?」ということが最後までわからないところが最高ですね(笑)。
李氏:
昔のロボットアニメはそういう「結局なんなのかわからない」パターンが割とありますよね?
寺田氏:
「しょうがないじゃん、そういうものがあるんだから」という一種の開き直りがあるというか。
森住氏:
「時間を止める」とか、もうほとんど『ジョジョ』のスタンドみたいなことしてますからね(笑)。
──ラッシュロッドはヤバいですよね。
寺田氏:
あとは「盗む(窃盗)」とか……。
そして、『キングゲイナー』は「Gガンの最終回を超える愛の告白はないな」と思っていたところに、それに匹敵する告白シーンを描いてきたのもすごい。だってキングゲイナーの目がハートになってますからね!
森住氏:
でも、『Gガン』は石破ラブラブ天驚拳がハート型ですからね!?
デビルガンダムをぶち抜いた穴を引きで見るとハート型の穴があいてるって(笑)
寺田氏:
あぁ、たしかにそっちもハート型だったか……。とにかく、『キングゲイナー』のファニーなところは『ザブングル』にも匹敵するものがあって、かなりオススメです。
寺田氏:
最近の作品で言うと、劇場版『Gのレコンギスタ』がおすすめです。
やっぱりテレビ版と劇場版では、「説明の度合い」が違うんですよね。もう逆に「スッキリまとまっている」とすら言えるというか……。決して「雑味がなくなった」とかではなく、『Gレコ』がすごく綺麗に整理されているんです。だから、テレビ版で話を知っているのにも関わらず楽しく見れました。
加えて、ロボットのアクションもすごい。「富野監督のアクション」を堪能できます。「ロボットアクションの演出の参考」として見るなら、『Gレコ』は最高峰の部類に入っていると思います。「映画5本」と言うと結構長めに感じるかもしれませんが、間違いなく見る価値があります。
森住氏:
さっきから富野由悠季監督の作品ばかり話題に出ていますね。
富野監督、ありがとうございます……!
寺田氏:
あと、やっぱり『グリッドマンユニバース』も面白かったですね。
今回話題に出た作品だけでなく、これからも色々とロボットアニメは出てきますし、さらに「ロボットアニメ」そのものが盛り上がれば嬉しいなと思っています。……こんな締めでいかがでしょうか!
──素晴らしい締めをいただき、ありがとうございます!
いちライターながらに、「内容が濃いってこういうことを言うんだろうな」と、改めて思わされた座談会でした。
冒頭の予告通り、本当にたっぷりロボットアニメトークでお送りしたでしょう!? 実際のインタビューでも、お三方がノンストップで語り続けていて……本当にすごかったです。口を挟む余地がなかった。本当の「オタク」の姿を見た気がします。
そしてやっぱり「ロボットアニメ」というジャンルには、これほど語れる魅力が込められているのだとも、改めて考えさせられました。
1970年代の『マジンガーZ』に始まり、80年代の『エルガイム』に『ガラット』、90年代の『ナディア』や『Gガン』、2000年代に入ってからの『キングゲイナー』に『ラーゼフォン』など……もはや話題に出た作品だけで年代をカウントできてしまうほど、時代ごとに多くのロボットアニメが生み出されています。しかも、それらを今でも語ることができる。ここがすごいと思います。
「この作品は語り尽くしてしまった」ことなどなく、いま話しても、話題の尽きないアニメがこれほどに存在している。今回の座談会だって、やろうと思えば3時間でも4時間でも話せてしまったのではないだろうか。
これほどの「語りたくなる」熱量を生み出すのがロボットアニメであり、同時にこのジャンルが積み重ねてきた「歴史」を物語っている。
だから、「これからもロボットアニメが続きますように!」と締めるのではなく……2024年の現在も産まれ出る「新しいロボットアニメ」のことを考えたい。
それこそ『水星の魔女』に『グリッドマンユニバース』、『勇気爆発バーンブレイバーン』や、20年ぶりの復活を遂げた『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』など、過去の名作に負けない作品が次々と出てくる。
まさに、「いまが一番いい時代だから」と言えるのではないでしょうか。
みなさん、『メガゾーン23』見てくださいね! ロボアニメ、これからも続きます!!