令和に遊ぶ平成初期の『シムシティ』? あの都市開発シミュレーションの魅力をスマホとタブレットで再現【レビュー:TheoTown】

 都市開発シミュレーションゲームの大定番『シムシティ』
 その『シムシティ』の内容をかなり忠実に再現した、大規模な街づくりを行えるゲームがiOS/Androidに登場しています。
 『TheoTown』です。

 Androidでは2015年から公開されていたようですが、それがようやくiOSにも登場。Steam版も準備中です。
 そのプレイ感は、まさに『シムシティ』そのもの。

 『シムシティ』といっても、カジュアルな農園ゲームのようになってしまった、スマホで公開されている『シムシティ ビルドイット』のような亜種ではありません。
 ウィル・ライト氏が作り上げた、本格的な都市開発を行える、あの本家の『シムシティ』です。

 私的には“『シムシティ2000』を、がんばって『シムシティ4』に近付けようとしている”といった印象。

 グラフィックは粗いドットで、初期のスーパーファミコンのようです。
 建物の種類が多く、賑やかで見栄えもするのですが、レトロなグラフィックであることは否めません。

 一方でゲームシステムは、住宅・商業・工業にわかれた需要、電力・水道・交通のインフラ整備、警察や消防、医療や教育の要素もある、まさに“本来の”『シムシティ』。
 資金難と広がる公害、深刻化していく交通渋滞に頭を悩ませながら、理想の都市を目指して開発を続ける往年の『シムシティ』の楽しさを、「ほぼそのまま」体験することができます。

 ただ、複雑で多岐に渡る配慮が必要なゲームで、Google Playのストアレビューには開発に失敗し、システムに不満を漏らす市長の声があふれています。
 既存の『シムシティ』プレイヤー、特に『シムシティ4』の経験者だと、それほど悩むことはないのですが……。

 価格は、iOS版は720円で買い切りゲーム。
 Android版は本体無料ですが課金型になっていて、課金通貨を使わないと利用できない施設やモードがあります。
 Steam版は6月4日に公開予定。

 起動時は文章が英語ですが、設定メニューを開き(左下の歯車ボタン)、「Settings」の「Language」で「Japanese」を選べば日本語になります。

 起動時には広域マップが現れます。
 その中にはたくさんの区画が存在しており、それらひとつひとつを開発することができます。
 その様子はまさに『シムシティ4』のマップ選択画面。

 ただ、どれでも好きなマップで開始できるわけではありません。
 まずは最初から小さな町が作られている、小サイズの区画で始めることになります。
 他のマップをアンロックするには、そこで人口を増やす必要があります。

まずは矢印の区画からスタート。
難易度は初期資金に関係しており、簡単だと100k、普通だと50k、難しいだと10kになります。
無制限で自由な開発を行える「Free」モードは、Android版だと有料コンテンツのようです。

 広域マップはいくつか用意されています。
 見てのようにひとつの地域に20近くのマップがあり、ボリュームは十分。

 最初の町の様子は、以下のような感じです。

 何もない土地の場合、町のレベルは0で、利用できる施設も限られているのですが、この町は最初からレベル2で、住宅地・商業地・工業地・農地が適度に配置されており、発電所や給水塔、公園やゴミ埋め立て地も用意されています。

 最低限のものはすでにあるので、あとは建設地を置くだけで人口を増やしていくことができるでしょう。

 『シムシティ』の基本は、需要メーターに沿った地区の設置。
 メーターは画面左に並んでいるボタンの一番下、棒グラフのボタンで表示できます。

 上に伸びていれば需要があり、下に伸びているものは必要とされていません。
 今は緑色の「住宅区」のメーターが上に伸びているので、これを用意する必要があります。

 地区を作るには、ハンマーボタンを押して「地区」を選びます。
 「住宅」を選択し、設置場所をタップするのですが…… そのままだと道路も自動で作られてしまいます。

青い点線の場所が自動で道路が作られる場所。

 『シムシティ』系は、道路の側でないと建物が建ちません。
 そのため、道路に面していない地域ができないよう、自動で道が作られる機能があるのですが…… 綺麗に区画整理したい場合、この機能は邪魔。

 画面右上の「×」ボタンのとなりに、道の自動配置をON/OFFするボタンがあります。
 綺麗な町を作りたい人は、すぐに切っておきましょう。

 大きな建物は3×3のサイズなので、道と道の間は6マスにするのがおすすめです。
 ただ、序盤は1×1の小さな建物しか作られず、ある程度発展しても2×2が多いので、小マップなら間を4マスにしても良いでしょう。

 さて、道を作って宅地を用意し、需要もあれば、家が建てられていくはずですが…… なにやらヘンなマークが……。

 これは「水くれ」マーク。水道が供給されていないと出てきます。
 ハンマーボタンで「供給」を選択し、「水道」の中にある「水道管」を選んで、必要な場所まで延ばしましょう。

 建物が正常に機能するには道路、電気、水道が必須です。
 電気は発電所から、水道は給水施設から送られ、水は水道管を通して供給されます。
 通常、道に沿って作っていけばOK。

 電気は、すでに電気が通っている建物から4マス先まで送られるので、僻地に建物を建てようとしない限り、電線工事などは必要ありません。

上下水道の配管画面。建物には必ず必要。ただ、農地には要りません。

 民家が増えると、その分だけ住宅の需要が下がり、他の地区の要求が高まります。
 それに合わせ、道沿いに商業や工業の地区も作っていきましょう。

 ただし、工場からは『シムシティ』最大の敵「公害」が発生します。
 今作はそれに加えて「騒音」まで発生。
 住宅地が近くにあると、環境悪化で住民が出て行っていったり、改善しろと騒ぎ始めます。

 ただ、今作には序盤の工業需要を満たせて、環境にも優しい、便利な区画が用意されています。
 「農場」です。

 就労人口は多くないので、町が大きくなるとこれだけで工業需要を満たすのは難しいのですが、序盤はそこまで大きな需要はないので、農業で賄うと良いでしょう。

農地は「地区」の「農場」で設置します。扱いとしては低レベル工業のひとつですが、工業地区に作られるわけではありません。

 人口が増えてきたら、画面上部の人の顔のマークと、その数値に注目しましょう。
 これは「満足度」で、タップで詳細が表示され、高いほど上位の建物への建て替えが進みます。

 最初の町では、交通、健康、宗教、教育に不満があるはず。
 しかし教育は学校が作れないとどうしようもないので、町のレベルが上がるまで後回し。
 一方、健康は「公共機関」の「健康」にある「診療所」で、宗教は「公共施設」の「宗教」にある「教会」か「モスク」で対処できます。
 宗教系の建物が2種類あるのが、いかにもヨーロッパらしい。

 ただし、これらの施設には有効範囲があるため、配置場所を考慮する必要があります。
 さらに診療所には患者の収容数があり、これを超えると範囲内であっても対応しきれなくなります。
 今作は公園にも範囲があって、最初の町は中央に「豪華な噴水」があるため住民からの要望は来ないのですが、他の町では各所をカバーできるように配置していく必要があります。

 もちろん警察署消防署にも有効範囲があります。
 これも最初の町はすでに配置されているため、その大切さに気づきにくいのですが、これらは商業や工業の建物にも必要で、範囲外だと火事や犯罪が起きるので注意してください。

有効範囲のある建物は、設置時にその範囲が緑色で表示されます。

 「交通」は今作のわかりづらい部分……。
 住民は住宅地から商業地、及び工業地へ移動するため、その間の道路が混雑することになります。

 しかし、「交通」の満足度に渋滞は関係ないようで、これは正確には「多様な交通機関を利用できるか」の要望。
 タクシー、バス、電車の有効範囲に入っていれば、この要求は満たされます。
 まずは「交通」の「バス」の中にある「Taxi Depot(タクシー会社)」を町の中央付近に設置しましょう。

 では、渋滞は無視しても良いのかというと…… もちろんそんなことはありません。
 渋滞からは汚染と騒音が発生するため、周辺の住宅の発展を阻害します。

 とはいえ、渋滞は発展に伴って、どうしても起こるものなので…… あとから対処しようとしても難しい。
 混雑しそうな地域を予想し、そこを「一方通行道路」を利用した片側二車線にしておくとか、計画的な開発で対応する必要があります。
 都市レベルが上がればバスや地下鉄の運行で若干は緩和できますが、渋滞と公害は発展した都市には付きものだと思っておいたほうが良いですね。

 しかし、こうした一筋縄では行かないところがあるほうが、都市開発ゲームは楽しいでしょう。

大渋滞で排気ガス&騒音被害! 商業や工業の建物にはあまり影響ありませんが、住宅には問題。
とはいえ、混むところは混む。 そもそも最初の町は、道路や地区の作り方がちょっと……。

 ゲームの基本はこんなところでしょうか。
 人口が2000人になれば他のマップをアンロックできるので、ひとまずそれを目指しましょう。

 さて、順調に開発が進み、そろそろ他の土地に…… と思っていた頃、突然画面が赤くなり、青ざめた顔のマークが出現!

 どうやら町の一角で、急病人が発生した模様。
 そういえば、最初からある住宅には診療所を配置していなかったな……。

 こうした災害が発生したときは、緊急マークのボタンを押し、警察や消防を派遣して対処します。今回は病気なのでドクターを派遣。
 場所を指定すると、救急車が現場に急行していきます。

 これですぐ沈静化するだろう、とか思っていたら、一分後……。

 病人増えすぎぃ!
 どんなパンデミックだコレ。しかも救急車が渋滞に引っかかってなかなか到着しない……。

 災害に遭った建物は早急に対処できないと、人口が0の廃墟になってしまいます。
 ほっとけば建て直しされますが、大きな建物が建て直しになったら相応に人口は減ります。
 こうならないよう、防災と医療の範囲には注意しておきましょう。

 ともあれ、最初の町はこのぐらいで卒業して、本格的な開発を行うため、近隣の大きめの土地に移ることにします。
 広域マップには地球マークのボタンで、いつでも戻ることができます。

中サイズの地区は小サイズの4倍。中でもかなりの大きさですが、大サイズだとさらにその4倍。

 『シムシティ4』の場合、他の地域への人や産業の流入があり、「この都市はベッドタウンに、隣のマップは商業都市に」といった役割分担ができたのですが、残念ながら今作にそこまでの要素はありません。
 電気や水道、ゴミのやり取りができる程度です。

 新たな土地では都市レベルは0からで、お金も難易度に応じた初期資金からスタートします。
 最初の町はレベルが2からで、必要な施設も一通り整っていましたが、更地からだとすべてゼロから用意しなければなりません。
 よって初心者だと迷ってしまうかも。

 まず必要なのは、発電所と給水施設。
 レベル0の場合、使える発電所は「太陽光発電所」のみ。意外にも最初がソーラー。
 公害も騒音もなくてクリーンですが、発電量が低くてコストも高いので、お財布的にはよろしくありません。
 水は給水塔がふたつか3つあれば十分。

 とりあえず、最初の町の一例としてはこんな感じ。

水源は汚染のない場所に設置したほうが良いので、本当は給水塔は工業地からもっと離したほうが良いです。
少し発展したところ。レベルが上がり、住宅地、消防署、診療所、公園を追加しています。

 公害の出る工業地区はマップの隅に作るのが、『シムシティ』系の定石です。
 序盤は商業需要は少ないので、商業地区は小さめでも構いません。

 しかしこの配置、序盤は良いけど、ちょっと公害を軽視していたかもしれません……。
 発展に伴って汚染が商業地や農地を越え、住宅地まで拡大。

 汚染された場所はどうしようもないので、住宅地区を撤去して商業地に切り替えていきましたが、自然は汚染をブロックする壁となるので、間に樹木を残しておくか、公園や噴水を並べて対処したほうが良かったかもしれません。

 地味に交通渋滞も汚染拡大を助長しています……。

発展に伴って汚染が拡大中! 腐海に飲まれた土地からは逃げるしかない。
しかし工業も必要なので、ある程度は仕方がない。

 町のレベルが上がると「高密度地区」を作れるようになり、満足度も高ければ、高層ビルが建ち始めるでしょう。
 町が一気に都会化していき、都市開発ゲームの醍醐味を感じられるようになります。

 しかし人口の高密度化により、渋滞はさらに深刻化し、小学校や診療所は人であふれるようになります。
 大きな学校や病院が必要となり、バスや鉄道の整備も考慮しなければなりません。

 ただ、この頃になると収入が十分に増え、多くのランドマークも利用できるようになります。
 景観を考えた、好きな都市開発ができるようになるのもここからですね。

高層ビルに囲まれた、スポーツセンターや医療施設、ランドマークを併設する高架鉄道駅。
ランドマークも市民に「文化」を与える役割があります。
鉄道はあまり利用されないのですが、周辺の「交通」の要望を満たすのに必要。
ただ、地表の駅は範囲が狭すぎて実用的ではありません。高架線(Elevated Train)と地下鉄(Metro)を使いましょう。

 iOS/Androidには『Pocket City』という『シムシティ』ライクな都市開発シミュレーションがあり、そちらのほうがグラフィックもインターフェイスも洗練されています。
 難易度も低めなので、本家の『シムシティ』を知らない人は、そちらからプレイしたほうが良いでしょう。

 ただ、こちらは昔ながらの『シムシティ』を、本当にそのまま感じることができます。
 諸々の都市の問題を再現した、賑やかで、奥深く、そしてちょっとダサい、かつて多くのゲーマーが知っていた、あの懐かしいゲームがここにはあります。

 まあ、細かいところを見ると、色々と作りが甘いゲームではあります。
 このレビューは「まじめに」開発をしていますが、交通経路や電力の流れなどがシミュレートされていないので、住宅地・商業地・工業地を道路で繋げる必要はなく、そうすれば交通渋滞も発生しません。
 電気もひとつの発電施設に繋がっていればよく、追加の発電所は隅っこにポツンと建てても問題ありません。

 しかしフリーモードもあるし、融通が利く開発できるのも良さといえるでしょうか。
 交通経路までシミュレートすると、それでなくても「やっと動かしている」という感じの処理がますます重くなりそうで、そこまで求めるならPCで『SimCity 4』『シムシティ(Origin)』『Cities: Skylines』をやれって話になりそう。

 スマホでこれだけの都市開発ゲームができるのは、やはり素晴らしいと思えますし、かつて『シムシティ』を愛した人は、ぜひ試して欲しい作品です。

TheoTown

本家の『シムシティ』が再現された都市開発シミュレーション

(画像はTheoTown – AppStoreより)

・都市開発シミュレーション
・blueflower UG(ドイツ)
・iOS720円、Android本体無料+課金あり

文/カムライターオ

【あわせて読みたい】

ソ連的な社会主義国都市設計シム『Workers & Resources: Soviet Republic』が3月16日にSteamで販売へ。極貧農業国を工業大国へと導く赤いシティビルダー

社会主義国家を運営する異色の都市設計シム『Workers & Resources: Soviet Republic』が販売開始。ゲームを開発する3Divisionは同国はまさにソビエト連邦の社会主義の影響を大きく受けたスロバキアに拠点をおいており、本作の国家はスロバキアをモデルにしていると考えられる。ゲーム開始時は貧しい農業国だが、ゆくゆくは世界に名を馳せる工業大国を目指す。ゲームの施設は1960年代から1990年代ごろのソ連のスタイルを踏襲しているため、普通の都市設計シムとは一風変わった都市づくりが出来るだろう。

関連記事:

30年前にお蔵入りとなった海外版ファミコン向け『シムシティ』が発掘される。プロトタイプのカートリッジをゲームの歴史保存団体が入手

市長、朗報です! 宮崎県小林市が「シムシティ課」を新設。『シムシティ ビルドイット』をもちいて本物の市長と共に都市計画を考える

著者
『Ultima Online』や『信長の野望 Online』、『シムシティ4』など、数々のゲームのファンサイトを作成してきた。
iPhone 解説サイト『iPhone AC』を経て電ファミニコゲーマーのお世話に。
シューティングとシミュレーションが特に好き。
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
電ファミのDiscordでこの記事について語ろう!

SNSで話題の記事

新着記事

新着記事

ユーザー協賛プロジェクト

世界征服大作戦

電ファミの記事は協賛者の皆さまの支援によって成り立っています!

世界征服大作戦とは?

電ファミのファンクラブです。ゲームを中心にしながら、ひいてはマンガやアニメなど、エンタメ全般を扱うファンクラブへの成長を目指します。主要メンバーとして、元週刊少年ジャンプの編集長・Dr.マシリトこと鳥嶋和彦氏なども参加。面白いコンテンツによる世界征服を本気で企むコミュニティです。

詳しくはこちら

ピックアップ

連載・特集一覧

カテゴリ

関連サイト

その他

若ゲのいたり
榎本俊二の現代ゲーム用語大全

カテゴリーピックアップ

若ゲのいたり〜ゲームクリエイターの青春〜

若ゲのいたり〜ゲームクリエイターの青春〜の記事一覧