光の戦士のみなさん、ついに開催された『ファイナルファンタジーXIV』(以下、FF14)のオフィシャルバンド「THE PRIMALS」のワンマンライブ、「THE PRIMALS Live in Japan Beyond the Shadow」楽しかったですかっ!?!?!?
ファンフェス【※1】などでは何度か開催されていましたが、祖堅正慶氏率いるロックバンド「THE PRIMALS」のワンマンライブはなんと約4年ぶりだそうです。今回はそんな約4年ぶりのリアルライブのDay2公演に取材することができてしまったので、会場の熱狂を含めてお伝えしていきましょう! いや、まさかここまで来るとはね……本当に色々とありがとうございます。
あ、今のうちに言っておきますが、なんとこの記事の最後にはライブ終了後の「THE PRIMALS」のみなさんへのミニインタビューに加え、祖堅正慶氏と植松伸夫氏へのスペシャルインタビューが掲載されています。なので……できれば最後まで読んでいただけるとありがたいです。
※1「ファンフェス」
約2年に一度のペースで開催されるFF14の公式ファンイベント。生プロデューサーレターライブなどの演目が目白押し。昨年開催されたデジタルファンフェスティバル2021では「THE PRIMALS」もミニライブを披露していた。
まず私は今回の「Beyond the Shadow」が開催される幕張メッセの最寄り駅のJR海浜幕張駅を目指し、日比谷線から八丁堀駅でJR京葉線の快速に乗り換えた。
「いやそこから!?」というみなさまの声が聞こえるようですが……ライブは会場に着く前から始まってるんだッ! 勝敗は、早さと速さが分かつ!!
ライブそのものの入場開始が12時からだというのに、ガッツリ『デリシャスパーティ♥プリキュア』から『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』のニチアサを決めてしまったので結構ギリギリの時間に海浜幕張駅に着きました。『ワッチャプリマジ!』は我慢したので許してください。
まずそこで驚いたのが、海浜幕張駅に降り立った途端、急激に光の戦士の数が増えたこと。「THE PRIMALS」のライブTシャツを着ているお姉さんお兄さん、先日シリーズ35周年を記念してユニクロとコラボしたFF14のシャツを着ている大学生っぽい方。駅のホームから降りるエスカレーターで私の目の前に立ったお馴染みのメテオマークのアクセをリュックに装備したお姉様。すごい。私はこの海浜幕張駅のホームの時点で、「シャキった!」と確信した。
そこから幕張メッセに向かうにつれ、一目で光の戦士だと分かる方の数は加速度的に増えていく。そもそも普段の日常を過ごしている中、リアルで光の戦士と出会うことが私は少ないので、「に、日本にはこんなに光の戦士が居たのか!?」という驚きが真っ先に来る。
いや、『FF14』は全世界のプレイヤー数が2500万人を突破している大人気MMORPGだからもしかしたら私の隣人も知らないだけで光の戦士ではあるかもしれないのだが、改めてこうして大勢の光の戦士のみなさまがひとつの会場に集結しているところを見ると圧倒される!
JR海浜幕張駅から幕張メッセへと向かうクソデカ歩道橋みたいなあの道(伝われ)を渡っている最中、私の後ろを歩いていた見知らぬヒカセンお姉様がぽつりと言い放った「アライアンスレイドじゃん」という言葉が未だに忘れられない。確かにアライアンスレイドじゃん。いや、もはやこの数は48人レイドの「グンヒルド・ディルーブラム」の零式にも匹敵するのではなかろうか……!?
そんな大勢の光の戦士が集結する超大規模レイド「海浜展示 幕張メッセ」にて、ついにライブは始まる……それは追憶の旅か、それとも漆黒のその先へと超越する「Beyond」なのか……。
お待たせしました。「Beyond the Shadow」がついに開幕します。会場に直接足を運んだ方も、ライブビューイングで楽しんだ方も、様々な事情があって行けなかった方も、このライブレポートを通じて追憶、あるいは少しでもこの熱気を感じ取っていただけると幸いです。
では、よろしくお願いします。
「Beyond the Shadow」セットリスト
1.ENDWALKER
2.輝ける蒼 ~希望の園エデン:覚醒編~
3.究極幻想
4.メタル ~機工城アレキサンダー:起動編~
5.忘却の彼方 ~蛮神シヴァ討滅戦~
6.目覚めの御使い ~ティターニア討滅戦~
7.女神 ~女神ソフィア討滅戦~
8.悠久の風
9.メイン・テーマ~マトーヤの洞窟メドレー
10.ビッグブリッヂの死闘
11.貪欲
12.To the Edge
13.Shadowbringers
14.知恵の巻貝 ~オールド・シャーレアン:夜~
15.Close in Distance
16.Flow Together
17.此処に獅子あり ~万魔殿パンデモニウム:辺獄編~
18.ロングフォール ~異界遺構 シルクス・ツイニング~
19.魔神 ~魔神セフィロト討滅戦~
20.過重圧殺! ~蛮神タイタン討滅戦~
21.エスケープ ~次元の狭間オメガ:アルファ編~
22.メタル:ブルートジャスティスモード ~機工城アレキサンダー:律動編
23.ライズ ~機工城アレキサンダー:天動編~
24.ローカス ~機工城アレキサンダー:天動編~
文/ジスマロック
写真/西槇太一、MASANORI FUJIKAWA
※まさかこの記事を開いた上で最新パッチに追い付いていない……という方が居るとはとても思えないのですが、この記事には『新生エオルゼア』から『暁月のフィナーレ』までのおよそ全てのネタバレが書かれています。まだプレイ中の方は、どうかお気をつけを。
希望の翼に乗り、あなたは夜空へ舞い上がる。その腕に抱き、私たちの唄も運んで行って
今回のライブの開幕注意事項はなんとエメトセルクがナレーションを務める! 「幕張メッセだとぉ?」というエメトセルクの言葉から開演するライブ。エメトセルクの口から「幕張メッセ」って言葉が出るだけでちょっと面白いのズルだろ。
「アーテリスから幕張へようこそ!(CV高橋広樹)」などの面白ナレーションによって始まりが告げられる今回のライブだが、なんとこの台本はヒュトロダエウスが書いたらしい。幕張で古代人イチャつきすな~~~っ!
ライブの開幕を飾る3曲は『暁月のフィナーレ』メインテーマの「ENDWALKER」、漆黒レイドコンテンツより「輝ける蒼 ~希望の園エデン:覚醒編~」、こちらも漆黒のクロニクルクエストよりPRIMALSアレンジverの「究極幻想」。もう開幕からフルスロットル。プランジカットで敵に突撃する暗黒騎士の開幕の回しぐらいフルスロットル。
暁月の旅を終え、幕張メッセにやってきた光の戦士たちを迎え入れる「ENDWALKER」から、光の戦士がうろ覚えだったせいで何故か首が二つに増えているリヴァイアサンが登場することでお馴染みの「輝ける蒼 ~希望の園エデン:覚醒編~」。
幕張メッセというだけはあって、今回の「Beyond the Shadow」はとにかく演出が豪華。「THE PRIMALS」の背後に映っている巨大モニターから光の演出まで、何から何まで大迫力。特に「輝ける蒼」はリヴァイアサンのイメージ通り、客席の光の戦士たちを串刺しにでもすると言わんばかりの青色のプリズムがほとばしる。
「ルビーウェポン破壊作戦」にて流れた「究極幻想」はもちろんルビーレイのごとき真紅の光が眼前で煌めく。ライブ演出の人たち、がーんばれっ! がーんばれっ!!
目を開けて、さあ行くぞ!忘却だ!
最初の3曲が終わった後のMCではなんと客席の株式会社スクウェア・エニックス取締役兼執行役員(開発・部門担当)兼第三開発事業本部事業本部長兼ファイナルファンタジーXIVプロデューサー兼ディレクター兼ファイナルファンタジーXVlプロデューサー兼観客の吉田直樹氏が登場。いや登場っていうか客席に座ってたのに急に祖堅さんに振られて困ってました。
祖堅氏からの無茶振りに応え、2階席からマイクも使わず会場中に「お越しのみなさん楽しんでくださ──ーい!!!」の大声を響かせる吉田直樹氏。
うぉ……吉Pの声デッカ……。
ちなみに祖堅氏曰く「いつもはあの声量でバトル班を怒鳴っている」そうです。いや多分冗談ですよ!? 冗談……なんだよな!? てか何気に私は……肉眼で初めて吉田直樹氏を見たぞ!? ちょうど私が2階席スタンドのステージド真ん前で吉Pはスタンド側から見て2階席右側だったからそんなに近い訳じゃなかったけど……肉眼で吉Pを観測したぞ!?
……アゼムのクリスタルを持つものだろう?
それくらいは当然見ておけ。
私は、肉眼で吉田を見たぞ。
続いて披露された曲は「メタル ~機工城アレキサンダー:起動編」「忘却の彼方 ~蛮神シヴァ討滅戦~」「目覚めの御使い ~ティターニア討滅戦~」「女神 ~女神ソフィア討滅戦~」の4曲。
ファンフェスなどで何度か披露されているため「THE PRIMALS」ファンのみなさまにはお馴染みかもしれないが、なんと「忘却の彼方 ~蛮神シヴァ討滅戦~」「目覚めの御使い ~ティターニア討滅戦~」などの、元は女性ボーカルで歌われる曲も男声キーで熱唱するのが「THE PRIMALS」のライブの醍醐味。
合間のMCの祖堅氏曰く、「シヴァのPRIMALSアレンジを作るときに『キー高すぎて歌えねえ』と気が付いた」らしい。しかしそれでも男声verもメチャクチャカッコよく仕上がっているのが「THE PRIMALS」のすごいところ! 特に「目覚めの御使い ~ティターニア討滅戦~」なんかもうどうやっても男声で歌えないような曲調なのに普通にカッコいい感じに仕上がっている!! 流石なのだわ、『かわいい若木』……。
おれが悪かった…4人でこられちゃ…てもあしもでないぜ…
6月4日に開催されたDay1の時点で、そのあまりの衝撃からSNSで既に話題となっていたため知っていた方も居るとは思うのだが、なんとスペシャルゲストとしてあの植松伸夫氏が登場!
エメトセルクの「プレリュードを創造した人物を知っているか?」というナレーションから、エルピスにて登場する古代人の衣装……もとい「ソピステスローブ」に身を包んだ古代人植松伸夫が現れた!! エメ、何気に名MCだよね……。
植松氏がシンセサイザーと共に披露した楽曲は「悠久の風」「メイン・テーマ~マトーヤの洞窟メドレー」「ビッグブリッヂの死闘」の3曲。いや、もう植松氏本人が出てきた時点でイチ光の戦士としてはもう何も思い残すことなどないのだが……なんとこの3曲、どれも「原曲」のエッセンスが残された上での特別アレンジとなっている。
たとえば「悠久の風」は『FF3』のあのFC音源に打楽器やピアノを合わせたアレンジとなっているし、「ビッグブリッヂの死闘」はアナログシンセサイザーのSFC音源を残した上で大幅なアレンジを加えている。どちらも『FF14』でアレンジが行われている楽曲ではあるが、植松伸夫氏が引っさげてきたのは「原曲の音源」をガッツリ取り入れたアレンジ。
そこからの祖堅氏と植松氏のMCも大盛り上がり。「俺(祖堅氏)がお金が無かったころは植松さんにメシをたかってた」とか「目黒にスクウェアがあった時はみんな近くの飲み屋とか飯屋とかに居たから、バーに入ったら石井さん【※2】がカウンターでウイスキーを飲んでた」とか、謎のスクウェア時代エピソードが次々と飛び出す。
※2「石井さん」
『聖剣伝説』や『魔界塔士Sa・Ga』などの開発に参加していたスクウェアの主要スタッフ「石井浩一」氏だと思われる。突然入ったバーのカウンターでウイスキーを飲んでいたらちょっと怖いであろう風貌をしている。
さらに植松氏から「FF1が制作されていた時はユーロビートが流行っていたからいくつかユーロビートを取り入れている」といった作曲秘話や、「普段はあんまり自分の名前で検索したりしないけど、昨日(Day1)の夜はTwitterのトレンドに上がってたからずっと見てた」というちょっとかわいい(?)エピソードも語られた。
そして最後に「昔はここまで大規模なゲーム音楽のライブはできなかった。『ゲーム音楽』という文化が育ったと思う」と、植松氏の言葉によって締めくくられた。FF14自体が、「悠久の風」や「ビッグブリッジの死闘」のような過去シリーズの曲をアレンジしているからこそ、「FF楽曲の父」とも言える植松氏からこうした言葉を贈られるのは……なんか勝手に嬉しくなってしまう。いや私FFの曲作ったことはないんですけど。