バットマンやスーパーマンが闇墜ちしたので、彼らが過去に捕まえた悪党・ヴィランたちを檻から出して戦わせてしまおう!
……そんなヤケっぱちのような、そして同時に超豪華な設定のゲームが、2月2日に発売を迎えた『スーサイド・スクワッド キル・ザ・ジャスティス・リーグ』です。
「ヴィランの視点からヒーローを描く」という一見シンプルに見えて難しい切り口で語られる今作ですが、ある意味ではとんでもなく鋭利な作品となっており「ハマる人には間違いなくハマる」という言葉がふさわしいかもしれません。
こういった設定が好きな読者のかたは少なからずいらっしゃると思うのですが、もしかすると「ま、キャラゲーなんでしょ?」という印象がちょっとだけあるかもしれません……。それでは非常にもったいない!もったいないんです!
ヒーローモノという土台の上に作られた、ギスギスとモヤモヤ。そしてZ指定ゲームでしかできないゴア表現のなかに生まれるグショグショとしたあの何とも言えない感情を皆さんにぜひ味わってほしい。(味わってくれ)
ヒーローでもなんでもない純粋な悪の存在・ヴィランがヒーローを殺すことに何の意味があるのか。それは果たしてヒーローになり得るのか?
ヴィランを通してみるからこそ「ヒーロー像」を考え直せる、そんな作品だからこそ……。だからこそヴィランに‟だけ”フィーチャーした記事を書いてみたくなりました。
この記事では本作に登場するヴィランたちをさまざまな側面から紹介します。
さまざまなユニバースで展開されるDC作品であることから、本作『スーサイド・スクワッド キル・ザ・ジャスティス・リーグ』に近い作品にも触れていきますので、そういった特性も楽しんでみていただけると幸いです。
文/Squ
※この記事は『スーサイド・スクワッド キル・ザ・ジャスティス・リーグ』の魅力をもっと知ってもらいたいセガさんと電ファミ編集部のタイアップ企画です。
「スーサイド・スクワッド」とは
早速ですが、本作の主役であるタスク・フォースX、通称「スーサイド・スクワッド」は政府機関A.R.G.U.S.(アーガス)に所属するアマンダ・ウォラーが極秘裏に設立した特殊部隊のこと。
タスク・フォースXに加入する(させられる)メンバーは、DCコミックスに登場する悪役・ヴィランたちとなっており、彼らは恩赦や減刑を条件に無謀なミッションに送り込まれることになります。
無謀なミッションに挑む部隊であるからか隊員の入れ替わりは非常に激しく、登場キャラクターの設定が近しい映画版『スーサイド・スクワッド』や『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』だけでも大幅なメンバーチェンジが行われてきました。
そして本作『スーサイド・スクワッド キル・ザ・ジャスティス・リーグ』の舞台は、『スーパーマン』シリーズに登場するヴィラン・ブレイニアックの手に落ちた地球。
ハーレイ・クイン、デッドショット、キャプテン・ブーメラン、キング・シャーク……彼ら今作のスーサイド・スクワッドのメンバーには、闇落ちしてしまったヒーロー集団「ジャスティス・リーグ」のせん滅という厳しいミッションが課せられます。
こうした背景から見ても、本作が純粋な巨悪と戦う映画版とはかなり印象が違う作品であることは間違いありません。
そもそも「マルチバース」って?コミック・ゲーム・映画、それぞれ世界が違うってどういうこと!?
さて、実は本作『スーサイド・スクワッド キル・ザ・ジャスティス・リーグ』は、現在のDCコミックス作品の舞台となっているユニバース「NEW52」ではなく、2009年から続く「バットマン:アーカム ユニバース」に属しています。
このように複数のユニバース(次元、宇宙)が存在し、それぞれが独自の歴史、ヒーロー、そして物語を持つ……というのが「マルチバース」の概念です。この概念は、さまざまなキャラクターやストーリーを拡張するために用いられています。
またユニバースの中にも並行世界が存在する場合があり、例えば「NEW52」には52個の並行世界「アース」が存在していたりします。同じユニバースに属する並行世界同士では、割と自由に行き来できるみたいですね。
本題の『スーサイド・スクワッド キル・ザ・ジャスティス・リーグ』に話を戻しますと、先ほどもお話したように本作は「バットマン:アーカム ユニバース」のひとつ。映画作品が中心となっている『DCエクステンデッド・ユニバース』や、テレビシリーズの『アローバース』とは異なる、まったく別な世界線の作品です。
とはいえ、まったくの別世界線ではありつつも……本作に登場するキャラクターたちは『DCエクステンデッド・ユニバース』に登場する同名キャラクターとかなり似通っているんですよね。
ハーレイ・クイン、デッドショット、キャプテン・ブーメランにキング・シャーク。映画とここまで被るのだから、むしろ「映画を観たファンを取り込もうとしているんじゃない?」という印象さえ受けました。なのでキャラクターを知るという観点から考えると、まず手始めに映画から手を付けてみて、それからゲームの世界に飛び込む!というチョイスも選択肢として十分アリだと考えています。
そのほか関連性が見られる作品としては、ハーレイ、デッドショット、ブーメランが活躍する『スーサイド・スクワッド:ブラック・ヴォールト』や、「ジャスティス・リーグ」が敵という共通点を持つコミック『ジャスティス・リーグ VS. スーサイド・スクワッド』が展開されています。今作をプレイしてから、「彼らについてもっと知りたくなった!」という場合は、これらもチェックしてみるといいでしょう。
次項では、本作のメインキャラクターである「タスク・フォースX」の4人に注目していきましょう。
ヴィラン・レポート①:キャプテン・ブーメラン
本名:ジョージ・ディガー・ハークネス
初登場作品:『The Flash』 #117 – 1960年10月
フラッシュを愛するオーストラリア出身の犯罪者、『フラッシュ』シリーズより登場。フラッシュのライバルになるためアメリカへ移住した。アーカム・アサイラムでのセラピー中に「フラッシュとのライバル関係」について1時間あたり平均15回ほど言及しているが、当のフラッシュ本人には認知されていない。
フラッシュに固執していながら、彼の本名すら知らずに追いかけているが、本編中に本名を知って以降は親しげに「バリー」と呼ぶなどお茶目で憎めない一面も持つ。
タスク・フォースXを率いるアマンダ・ウォラーに「フラッシュに何度も恥をかかされている血の気の多い臆病者」とボロボロにこき下ろされていることから、彼女から相当な怒りを向けられている様子。その半面、メンバーと力を合わせることで「ジャスティス・リーグを打倒できるかもしれない」と期待もされている。
作中では自身を「タスク・フォースXのリーダー」だと言い張っているが、真相はいかに……。