基本的に不利な状況で戦わされるのがじつに『サウスパーク』らしい
さて、前述したとおり本作では3Dアクションで子どもたちをボコボコにしていくのですが、武器やスキル、パークなどを自分好みにカスタマイズしていくビルド要素や、ステージ開始時に3択のカードからバフをひとつ選ぶという、ローグライト風の要素もあります。
バフの効果には装備を強化するものや、味方を召喚するもの、移動能力が上がるものなどさまざまな種類があります。また、カードには「通常」と「クソ強」の2種類があり、「クソ強」は文字通りクソ強いカードです。わかりやすいですね。
プレイヤーがカードを選び終わったら敵もカードを選びます。これで平等……と思いきや、敵は基本的にこちらよりも多くのカードを選んできます。さらに敵は大量の敵を放ってくるので、プレイヤーは基本的に不利な状況での戦いを強いられます。じつに『サウスパーク』らしいですね。
そうしてカードを選び終えたらステージ開始。
第1ステージ目はカイル率いるエルフ軍の子供たちが相手となります。
雑魚の子どもたちをボコボコにしながら進んでいくとスタンの父親「ランディ・マーシュ」が登場。なぜか氷の中に閉じ込められていますが、情報と報酬をくれるらしいのでとりあえず助けてあげると……感謝するだけしてランディは帰ります。報酬もくれないし情報もくれません。
なんなんだこいつ!と思われるかもしれませんが、これは原作通りです。ランディは変人だらけの『サウスパーク』のキャラの中でも随一の意味不明さを誇ります。上述したように、ゲームでもその意味不明さを存分に発揮してくれます。
そんなことがありつつも歩みを進めていくと、第1ステージ目のボスであるカイルが最後に待ち受けています。
よっしゃあボス戦だぁ!と、意気揚々と突っ込んでいくと広範囲の攻撃やカウンターの茨でダウンさせられるので、落ち着いて回避するほうが大事。
そして無事カイルを撃破。新入り陣営のカートマンは特に何の役にも立っていないですが、ここぞとばかりにカイルを煽り倒します。いつも通りの光景ですね。
そして拠点に帰ると、衣装を変更できる店や永続的に自身を強化できるパークを使えるようになります。武器やスキルを整え、次のステージに向けてビルドを組んでおきましょう。
そしてバトルテーブルで次のステージを選び、先へ進んでいきます。このようにして、【雑魚戦→カードを手に入れて強化→ボス戦】というサイクルを繰り返していくことになります。
スタンがやたら強い。そして当然のように裏切ってくるカートマン
さて、第2ステージ目のボスはケニーです。ケニーは筆者のイチ推しキャラなので、あとでじっくり紹介させてください。
ゲーム的には、味方が操作不能になるキス攻撃が脅威となります。筆者のプレイでは味方AIの活躍であっさりと勝ててしまったので、あまりケニーの勇姿を見られなかったのが残念ですが……。
なお、本作ではケニーが女の子の格好をしているのには理由があります。
それは、ケニーが「日本のかわいいキャラクターを演じるのが好きだから」というもの。この姿は先ほども紹介した『Black Friday』で初めて登場するのですが、自ら選んでこの女装をしているのも可愛いところ。
そして第3ステージ目のボスであるスタン。こいつだけは本当に強かった……。
筆者のプレイが下手なのもあると思いますが、こいつがボスたちの中で一番強いと感じました。
初見ではカイルとケニー戦のと同じくダガーを使用して挑んでみたところ、グルグル回る攻撃で味方をやられてじわじわと追い詰められ、体力を半分も削れずボコボコにされてしまいました。
まぁまぁまぁまぁ……こういう時もある。
続く2回目は回避を中心に進めてみました。すると体力を半分削ることに成功したのですが、そこで唐突にカットインが入ります。
ランディ!あの時助けたランディじゃないか!
普通に恩を仇で返してきます。あのとき見殺しにしておけばよかった。
ランディがギミックを動かして発射した炎で味方がダウンして、逃げ場の少ない高台でスタンの攻撃をモロに食らって敗北。『サウスパーク』らしく言うなら「ファッ〇ューランディ!」でしょうか。
ランディのせいであったまってきたので、この日は終了。
一度寝たことで頭もすっきりしたので、3回目の挑戦をする前に改めて敗因を考えてみました。
敗因:
・スタンの機動力が高いから攻撃が当てにくい
・グルグルと斧を回す攻撃があるため近づけない
・斧投げが避けにくい
・ランディ
ここから導き出される答えは……「回避しながら遠距離攻撃するだけでよくね?」。もっと早く気付くべきでした。ランディに思考を乱されすぎました。
3回目の挑戦では戦い方を変え、カードの構築を弓特化にしてみました。しかし味方にターゲットをとってもらっていたら、スタンとランディの猛攻で全員ダウン。味方の蘇生にはプレイヤーが近くにいないといけないのですが、攻撃が多くて同じ場所に留まりきれず自身も攻撃を食らって敗北。
とはいえ、今回はかなり惜しいところまで行くことに成功しました。
続く4回目の挑戦で、ヒーリングトーテムに蘇生機能を追加することでなんとか勝つことが出来ました。
やっとの思いでスタンを倒したと思ったら、第4ステージではいままでプレイヤー陣営だったはずのカートマンが裏切り、ボスとして立ちはだかります。
初見の方はこの裏切り行為に驚くかもしれませんが、『サウスパーク』ファンであれば「あぁいつも通りか」と思うことでしょう。カートマンはそういうヤツです。
ちなみに裏切った動機は意外と可愛らしく、「吹雪が止まると学校が始まってしまうから」。雪国育ちの筆者としては、思わず共感してしまうところでもあります。
戦闘では派手な魔法や分身などを使ってきますが、筆者の使っていた嘔吐構成が刺さってあっさり勝ててしまいました。カートマンは嘔吐に弱い。
カートマンを倒すとラスボスとなるのですが、ネタバレとなるので実際にプレイして確かめてみてください。
また、本作では新たなステージが4つ追加されるDLC「Dance with the Ravenous Shadows」が無料で追加できるようになっていますので、さらにゲームを楽しみたい方はぜひ導入しましょう。
『サウスパーク』の小ネタもたっぷり
そんな『サウスパーク:スノーデイ!』ですが、もちろんアニメ本編や前作に関する小ネタがたっぷりと仕込まれています。そこで筆者が見つけられた範囲となりますが、小ネタを紹介していきましょう。
本作では衣装ネタが結構豊富で、拠点内で購入できる衣装はほとんど元ネタが存在しています。例えばアニメにも登場するゴスキッズが元ネタの衣装やカニ人間、チ〇ポコモンの服などが登場しています。
第1ステージ目の道中、ランディを氷の中から救った後に洞窟のような場所で戦うのですが、そこにはなぜかUFOが落ちています。UFOの中を覗いてみると……
少し見づらいですが、エイリアンがいます。
エイリアンこと「Visitors(来訪者)」はアニメ本編の背景でよくこっそりと描かれている、イースターエッグ的なキャラ。ワ◯ピースでいうところのパ◯ダマンです。出演した回で有名なのは一番最初のシーズン1エピソード1「Cartman Gets an Anal Probe」でしょうか。
また、第4ステージ目のカートマン戦では「バルログ」というデカい雪像が登場。名前の由来は『ストリートファイター』の鉤爪男……ではなく、アニメ本編のシーズン8エピソード1でカートマンが変身した時の話から持ってきているネタだと思われます。
ほかにも、プレイヤーである「新入り」はいつでも好きなときにオナラを出すことができる……という才能を持っています。ゲーム中ではオナラを人にかけるとそれぞれ固有の反応をしてくれます。
オナラは「新入り」が過去作から磨き続けている才能で、『South Park: The Stick of Truth』では超強力なオナラで巨大な岩を破壊したり、オナラを遠隔操作して起爆したりしていました。
そして『South Park: The Fractured But Whole』で時間を自由に操ることができるようになったほか、カイルと協力してオナラで空を飛んだり、バターズが飼っているハムスターをオナラで発射したりして活躍しました。
ちなみにめっちゃ臭いらしい。
ここで紹介した小ネタはほんの一部なので、気になったものがあればそこから『サウスパーク』原作をあたってみてもいいかもしれません。
このように、『サウスパーク』の世界観や『サウスパーク』らしさをゲーム全体から存分に味わえるのも本作『サウスパーク:スノーデイ!』の魅力のひとつでしょう。