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『モンスターハンターワイルズ』に『フロンティア』以来のプレイヤーが飛び込んだら、厳しい自然の中で生きる“生命”の躍動を目撃した。匂い立つような森の湿気、嵐によって氾濫した川の濁流──、ババコンガにも再会

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急に冷え込んだ11月のあの日、みなさんはいかがお過ごしだったでしょうか。私は大阪で“モンスター”の息吹を全身で感じていました。

『モンスターハンターワイルズ』という名前のね。

2025年2月の発売を間近に控え、全世界の注目を集める『モンスターハンターワイルズ』(以下、『ワイルズ』)のメディア向け先行体験会に参加させていただいたわけですが。

何を隠そう、お話をいただいた時点での私のモンハン経験は『モンスターハンターフロンティア』(以下、『フロンティア』)だけ。しかもやり込んでいたわけでもなく、アイスの実【※】を担いでイャンクック先生と死闘を演じていた程度のプレイヤーです。

『モンハンワイルズ』先行試遊プレイレポート。『フロンティア』以来のプレイヤーが、厳しい自然で生きる“生命”の躍動を目撃_001

アイスの実……江崎グリコが1986年より発売しているシャーベット。球状に加工され、さまざまな味が楽しめる。2007年に『フロンティア』とコラボし、睡眠属性の付与されたハンマー武器「スリープボール」としてゲーム内に実装された。(画像はPC版ゲームで大人気のモンハン、「仕掛け」効果で周辺機器にも特需? – BCN+Rより)

光栄を通り越して畏れ多い気持ちが沸き立ちますが、お話をいただいた以上は全霊を以って楽しむしかないでしょう。『モンスターハンター:ワールド』を購入し、先日行われたオープンベータテスト(OBT)にも参加して、『フロンティア』から遠く離れた令和の『モンハン』の圧倒的な変化というものには触れさせていただいた上で『ワイルズ』を体験したのですが、今回の先行試遊を経ての感想は……。

この世界……美しすぎる!!

ということで、本稿ではカプコンのメディア向けプレビューツアーに参加し、一足早く体験させていただいた『ワイルズ』の序盤部分に関するレポートを記していきたいと思います!

ちなみに弊誌では、プレビューツアーの一部としておこなわれた『ワイルズ』開発陣へのメディア合同インタビュースタジオ見学の内容も記事として公開しています。また、先行試遊の内容を録画したプレイ映像も投稿していますので、あわせてチェックしていただければと思います。

取材・文/うきゅう
編集/anymo

※本記事のスクリーンショットは開発中のバージョンで撮影しており、製品版とは異なる内容が含まれる場合があります。


禁足地では、嵐が恵みを連れてくる。「荒廃期→異常気象→豊穣期」、シームレスに変化する環境がダイナミック過ぎてすごい

プレイしていてとにかく心が沸き立ったのは、フィールドの表現でした。本作はとにかく自然の描写、とくにその「変化」が凄いんです。これは、10月末から11月の頭にかけておこなわれた『ワイルズ』のOBTをプレイした方なら、言うまでもなくご理解いただけているかもしれません。

が、それでも敢えて強調させていただきましょう。本作のフィールドにはそれぞれ「荒廃期→異常気象→豊穣期」という3つのフェイズが存在し、順番にサイクルしていきます。面白いのは、その変化をフィールド上にいながらにして臨場感たっぷりに味わえるところ。

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▲「隔ての砂原」でのワンシーン。荒廃期はくすんだ色合いが多く、砂塵が立ち込め見晴らしも良くない。
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▲異常気象の発生とともに雷雲が吹き荒れ、フィールドは一気にドラマチックな雰囲気に変化。
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▲異常気象が終われば、豊穣の季節。青空が広がり、明るい色合いが目に飛び込んでくる。

プレイヤー自身がフィールドに身を置きながらも実感できる、この劇的な変化を実現するために、開発陣もかなりの拘りを持って取り組んでいたようです。開発者インタビューのなかでも、クエスト単位でデータをリセットしていた過去の『モンハン』シリーズからの変化として、「シームレスに環境が遷移していくことに挑戦したい」という思いが打ち明けられています。

また、OBTでは初期ステージである「隔(へだ)ての砂原」を歩き回って敵と戦うのがメインでしたが、今回の先行試遊では木々が鬱蒼と茂る「緋(ひ)の森」での冒険やモンスターとの戦闘も楽しめました。この緋の森が、本当にすごいんですよ。

空を覆わんばかりの巨木が立ち並び、その間をすり抜けて打ち付ける雨が赤く染まった異様な川を作り出す……。プレイしているだけでも匂い立つ森の湿気を感じるような、雄大で美しい自然の驚異を堪能できます。

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もちろんこのフィールドにもサイクルが存在します。私がプレイしたのはおそらく異常気象に当たるパートだと思うのですが、嵐によって川が氾濫し、そこら一帯がどっぷりと浸水している光景が見られました。

倒れた木々が流木のように足元で横倒しになっている様子なども含めて、自分がいま災害の真っ只中にいるのだと本能が察知するような、自然の脅威と対峙した時の底冷えする恐ろしさがあります。

驚異と脅威。単なる言葉遊びではなく、まさにこうした「自然の二面性」を克明に描き出したいという開発陣の想いが、ゲームのなかで見事に形になっているのです。残念ながら今回の記事では緋の森の「豊穣期」の部分をご紹介することは叶いませんが、ぜひその光景は皆さんが手ずからプレイした上で、目に焼き付けていただきたいと思います。

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尾から巻き起こる爆炎、腹から放出される麻痺毒の糸、全身を覆う水のヴェール。先行試遊で遭遇した強大なモンスターたちと、その特徴を紹介!

さて、『ワイルズ』のなかで体験できる自然の凄さのお話の次は、生き物の凄さの話です。当然ですが本シリーズは『モンスターハンター』であるわけで、討伐対象として登場する多種多様なモンスターたちは主人公たるハンターと並び立つ、もうひとつの主役と言っても過言ではないでしょう。

冒頭でも軽く触れましたが、私の『モンハン』経験はほぼ『フロンティア』以来です。実に15年以上の時を経て対峙した『モンハン』最新作の生き物たちの躍動感たるや。

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なんだかんだ言っても「ゲームの敵」という印象の強かった記憶のなかのモンスターたちとは違い、本作のモンスターたちはその仕草や攻撃のひとつひとつから、生き物としてのリアリティを感じます。

一方でリアリティが増すことで生じる問題もあり……部位が破壊されたとき、瀕死になったとき。そして新システムである“傷”を負ったとき。その仕草やビジュアルがじつに痛々しくて、見ていてちょっと辛くなってしまうんです。

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▲傷ついて血の滲む肉体、口からこぼれるヨダレ。とても生々しい。

「モンスターを狩るゲームで何言ってんだ」という指摘はごもっともなので、あまり強く主張は出来ないのですが、クモ恐怖症対策モードを搭載したことで話題となったように、弱った動物へのフィルターがあれば多少は気も楽になるかも……なんて思ってしまいました。

もちろん、ゲーム的に見れば相手が弱っていることがわかるのは圧倒的なメリットですし、生命を狩るということを誠実に描いていると言えます。あくまでも、ベータテストや先行試遊の範囲をプレイしたなかでの「あまりにリアルなモンスターの姿」を見た私の感想ということでご容赦ください。

モンスターの話に戻りましょう。今回の先行試遊においてクエストという形で戦うことができた大型モンスターは、「チャタカブラ」「バーラハーラ」「ドシャグマ(ボス個体)」「ケマトリス」「ラバラ・バリナ」「ババコンガ」「ウズ・トゥナ」。

また、個別のクエストではないものの、ドシャグマ(ボス個体)の討伐クエスト中にはOBTでも話題を呼んだ「レ・ダウ」と思しきモンスターとも遭遇することができました。

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チャタカブラ、バーラハーラ、ドシャグマ、そしてレ・ダウに関してはすでにOBTで刃を交えた方も大勢いると思いますから、ここではOBTでは出会うことのできなかったモンスターについて見ていきましょう。

ケマトリス

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(画像は『モンスターハンター』シリーズ公式Xアカウントより)

鶏のような立派なトサカと、モップのような豊かな尾を持つモンスターです。それほど大きくないクチバシで頭突きめいた攻撃を繰り出すほか、発火性の物質を散布したのち尻尾で地面を擦って火花を出して、こちらを炎上させてきます。

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プレイ後に映像を見返していて気づいたんですが、この尾の軌道を追いかけるようにして巻きあがる炎、とても綺麗ですね。エフェクトとしてはあまり長いこと画面上に残らず、すぐに消えてしまうためそこまで意識が及んでいませんでした。炎が起こっているタイミングでは白っぽく明るい炎が密に詰まっていて、時とともに黒く煤けたような炎としてほどけるように消えていく……。

アートディレクターを務めた藤岡要氏インタビューのなかで「細かい表現まで作り込んだ」と語っていましたが、その発言を裏付けるような美しさです。このような瞬間的なエフェクトひとつをとっても、存在感のあるフィールドやモンスターと並べて浮きもせず埋没もしない、絶妙な塩梅に調整されているんだなというのが改めて感じられました。

ラバラ・バリナ

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(画像は『モンスターハンター』シリーズ公式Xアカウントより)

白い体からバラのような真っ赤な部位を露出させるモンスターです。今回私が遭遇したモンスターのなかで、ブッチギリのナンバーワンでお気に入りだったのがこのラバラ・バリナ。

大変失礼ながら、『モンハン』に登場するモンスターにはどことなく泥臭さというか、地に足を付けた生き物としての鈍重さ、あるいは逆にカッコよさへと振り切った軽快さのようなものを感じていたのですが、ラバラ・バリナを見てその偏見を吹き飛ばされてしまいました。

驚くほどの細身でありながら儚さではなく鋭さを印象付ける黒い脚、その脚とは真逆に柔らかくふくらみ浮き上がって見える真っ白な体、そして緋の森という言葉をその身で象徴したような真紅の腹部!

なんと華麗な姿でしょうか。しかも、このラバラ・バリナの巣がまた凄い。

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そこかしこに張り巡らされた赤い糸が光を受けて輝き、ラバラ・バリナが腹部から放出する麻痺毒の糸がふわふわと宙を舞う光景はもはや耽美!

私はこのモンスターに出会って、すっかり痺れてしまいました。

ババコンガ

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(画像は『モンスターハンター』シリーズ公式Xアカウントより)

桃色の体毛が特徴的なモンスターです。過去の『モンハン』シリーズでは自身のフンをハンターへと投げつけたり、強烈な放屁をお見舞いしてくることでも有名です。さすがの私でもコイツは知ってますよ、『フロンティア』にも登場しましたからね。尻尾で持った茸を齧るそのアクションも見覚えが……。

それは知らない!

ということで、先行試遊中に最も私を魅了したモンスターがラバラ・バリナなら、最も私を驚かせたモンスターがババコンガです。『フロンティア』においてババコンガが炎のブレスを使っていた記憶はないんですが、のちの作品で追加されたんでしょうか。それとも私の記憶違いで、当時からやってきていた?

ともかく、ババコンガは食べる茸によって吐くブレスの属性が異なるほか、『ワイルズ』ではそれぞれのブレスに応じて挙動までも変化するとか。TGSにておこなわれたカプコン公式配信のアーカイブでは、ババコンガと戦いながらそれぞれのモーションを確認している様子が見られました。

ウズ・トゥナ

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(画像は『モンスターハンター』シリーズ公式Xアカウントより)

緋の森における生態系の“頂点”。それがウズ・トゥナです。豪雨の際に目撃されることが多く、体の随所に「ヴェール」と呼ばれる、体から分泌した成分と水を混ぜ合わせた極彩色の部位を纏っています。

今回の先行試遊において最後に戦うモンスターであり、クエストとしても唯一、「狩猟」ではなく「撃退」が目標となっていました。作中に登場するNPCからも“ヌシ”と呼ばれており、別格の存在であることが窺えます。

ただ、正直戦闘としては巨大な図体を振り回すような攻撃が多く、豪雨と洪水の影響で視界もかなり不良だったことから、モンスターの魅力を堪能するというよりは、調査隊の一員である「オリヴィア」との共闘イベントという意味合いを強く感じました。もしかしたらストーリー後半などで狩猟クエストが登場し、その本領を発揮してくれるのでは!? と期待に胸を膨らませてしまいますね。

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ほかにも、ハンターを背中に乗せて広大なフィールドを駆け巡ってくれる便利過ぎる相棒「セクレト」や、森に暮らす謎めいた種族「モリバー」など、今回の試遊の範囲だけでも『ワイルズ』に登場する魅力的な生物の数々と出会うことができました。

豊かさも厳しさも与えてくれる自然と、その自然のなかで活き活きと息づくモンスターたち。魅力たっぷりのこの世界で、この先いったいどのような物語が描かれるのか、興味が尽きません。そんな『モンスターハンターワイルズ』はPC(Steam)、PS5Xbox Series X|Sへ向けて、2025年2月28日(金)より発売される予定です。

また弊誌では、先行試遊の様子を撮影した動画や開発陣へのインタビュー、カプコンスタジオの見学の様子を記したレポートなども公開していますので、興味のある方はこちらもチェックしていただければと思います。

編集者
小説の虜だった子供がソードワールドの洗礼を受けて以来、TRPGを遊び続けて20年。途中FEZとLoLで対人要素の光と闇を学び、steamの格安タイトルからジャンルの多様性を味わいつつ、ゲームの奥深さを日々勉強中。最近はオープンワールドの面白さに目覚めつつある。
Twitter:@reUQest
編集者
3D酔いに全敗の神奈川生まれ99’s。好きなゲームは『ベヨネッタ』『ロリポップチェーンソー』『RUINER』。好きな酔い止めはアネロンニスキャップとNAVAMET。
Twitter:@d0ntcry4nym0re

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