「邪馬台国」がどこに存在した国なのか。その問いには、今も多くの歴史学者たちが頭を悩ませている。
あるものは「近畿に決まっている。ヤマト王権がどこにあったか考えてみろ」と言う。
別のものは「九州こそが答えだ。吉野ヶ里遺跡を見てみろ」と言う。
また別のものは「九州にあったけど近畿に移ったんだよ」と言う。
だが、今日はあえてそれらに対して異説を唱えたい。
邪馬台国の起源は、古代「マヤ文明」にあったのだと。
これが映画だったからここでちょうカッコいいオープニングムービーが流れて「シィヴィライゼェイショォォォォン……セェェヴン」みたいな溜めまくった激渋ボイスと共にタイトルロゴが出るはずなので、みなさんもなんとなくそういうイメージでいてください。
ということで、全世界待望のシリーズ最新作『シドマイヤーズ シヴィライゼーション VII』プレイレポートをお届けする。
すでにご存じの方も多いかもしれないが、本作の最大の特徴は文明・指導者がそれぞれ任意の組み合わせで選択できるようになったこと、そして時代の流れと共に文明自体が全く別のものに変化するというところだ。
ゲームは古代・探検の時代・近代という3つの時代に分かれ、各時代ごとに異なる文明をリレーしながら、最後の時代における勝利者を目指していくことになる。
つまり、卑弥呼が指揮する古代マヤ文明を、近代日本に育て上げるなんてプレイも出来ちゃうわけだ。なにこれ!月刊〇ーみたい!
「この指導者とこの文明の能力を組み合わせたら」とか、「ローマがビザンツになってトルコになって……」みたいに文明が変化していく展開とか、長い夜を過去作と共に過ごしたシリーズファンなら1度くらい夢想したことがあるんじゃなかろうか。
本作はそういう「コレやってみたらすげー面白いんじゃない?」を実現した、明けない夜の新たな夜明けを感じさせるタイトルになっている。
真面目にすごいめっちゃおもしろいし、ゲームが終わった瞬間に次の指導者を選び始められるくらいには気が狂ういいゲームです。
キミはじめてなの??ちょっとだけやってみる?1回だけなら平気だから!みんなやってるし、やめたくなったらすぐにやめられるよ!
そんなわけで、この記事では、文明が時代と共に変化していくという本作の特徴を、実際に古代から近代まで通してプレイした様子もご紹介しながら説明していこうと思う。待ちに待ったシリーズ最新作を楽しみにしている方に、少しでもゲームの魅力をお伝えできれば幸いだ。
なお今回のレポート執筆にあたってのプレイ環境は、難易度は最高の「神」とした他はデフォルト設定のものを採用しており、速度は「普通」、総文明数は「6」「小サイズ」「大陸+」マップでプレイしたものとなっている。
古代1:ヤマタイ国 ちょっと変えればマヤタイ国
さて、改めてにはなるが、本作は指導者と文明を自由に組み合わせて選ぶことができるようになっている。「シヴィライゼーション」シリーズは史上存在した多くの文明が登場するゲームであり、もちろんそこに「日本」もいる。
誉高き蜻蛉島の住人としてもちろん「日本」を選択して……といきたいところだが、残念ながら「日本」は古代の時代では選択できない。本作における文明はそれぞれの時代に紐づいたものになっており、「日本」は近代の文明として登場するからだ。
そこで今回は指導者に古代日本のアイドルこと卑弥呼を選択し、彼女の力で古代マヤ文明を近代日本へと導くプレイを行っていくことにする。

ということでゲームスタート。最初の開拓者が沸いた位置にそのまま都市を出し、首都「バーク」が爆誕。ここをマヤ文明(邪馬台国)とする!
ゲームの基本的な流れは前作『シドマイヤーズ シヴィライゼーション VI』に近い。六角形のタイルで構成されたマップを斥候などのユニットによって探索させ、有望な土地には開拓者を送り出して都市を築き、勢力を拡大していく。技術や社会制度などのツリーを進めて文明全体を進歩させていくというのも変わらない。
で、さっそく首都を建設してみたはいいものの、ちょっと笑えるくらい周辺の土地に食糧がない。食料は都市の人口を増やすために必要な資源で、トウモロコシのマークで表されているのがそれだ。特に序盤は食料がないと人口が伸びず、人口が伸びないと生産力が伸びず、生産力が伸びないとなんにもできないので大変つらいことになる。
各土地のタイルには地形や環境(バイオーム)などが設定されており、首都周辺は熱帯の樹草地形、つまり熱帯雨林が多いのだが、困ったことにこのタイルは科学力を生み出す代わりに食料が出ない。そのため、まずはどうにかして食糧事情を安定させるのが、本プレイにおける最初の課題になりそうだ。
そこで今回は「パンがなければお魚を食べればよいじゃない」の海洋民族理論により、湖や河川などの水域タイルに活路を求めることにする。
ただし現状は水域タイルも食料+1ゴールド+1しかでない貧弱タイルなので、出力の底上げは必要だ。本作では過去作までにおける「労働者」が廃止されており、タイルからの産出を強化するには、基本的には2つの方法に頼る必要がある。
まずひとつ目が技術の取得によるもの。前作などでもあった要素だが、今作では最初に研究できる「帆走術」「陶磁器」「畜産」の時点でそれぞれ異なるタイルの算出を強化できる。そのため今回はまず、海や川などの食料を+1できるようになる「帆走術」から研究を始めていく。
産出を増やすもうひとつの方法が「倉庫」タイプの建造物を建てることだ。これは特定の種類のタイルの出力を強化してくれるというもので、例えば「釣り埠頭」を建てると、海や川などに食料が+1される。このふたつだけで水域タイルが最低でも食料+3をもたらしてくれるようになるので、最初はここを中心に人口を配置していく。

ちなみに今作の建造物は、前作における「区域」のように人口を配置しなくても都市の産出を増やしてくれるというものだ。1つのタイル内に2つまで建設できるが、配置したタイルは「市街」タイルに変換されて元々の産出自体は失われてしまう。
建造物には「倉庫」系以外にも、単純に高出力を出せるものも多い。例えば下の「浴場」なら元の出力が食力+4で、隣接ボーナスによって+7まで強化されている。
隣接ボーナスは本作でも重要な要素であり、内政における“区域パズル”的な要素は本作でも健在だ。ボーナスをもたらしてくれる対象は資源や山岳、湾岸、河川、文化遺産などだが、特に資源・文化遺産の重要度が高い。序盤の都市はなるべく資源が多くとれる立地を選び、その周囲に遺産を建設できると良さそうだ。
“区域パズル”は前作よりもさらに複雑化している要素だが、山岳がなければ序盤に出力を出しづらかった前作と比べると、個人的には地形によらず出力を上げやすくなったように感じている。
ターンを進めて、24ターン目に社会制度「神秘主義」を取得し、これによってパンテオンが選べるように。パンテオンは過去作にもあった要素で、人類史における初期の自然信仰などを表したもの。ゲーム的には序盤のボーナスのようなものだ。
効果は古代の時代までしか続かず、爆発的に強いと言えるほどの効果をもつものはなさそうだが、他のものと組み合わせて何かに特化させることができればかなり役立つ。
今回のプレイでは食料確保のために水域タイルに重点的に人口を配置していった関係で、その出力を強化するために「海の神」(漁船の生産力+1)を選択した。自身のプレイスタイルや環境に合わせて特化したタイルを作っていけるのは、本シリーズの醍醐味のひとつだ。
34ターンには社会制度「チャクの雨」の研究が終了し、樹草地形のタイルから科学力が産出されるようになるというマヤ文明独自の社会制度「ベットコト」を入手。熱帯雨林の地形に人口を配置するだけで科学力+2が湧いてくるようになるというもので、はっきり言って超強い。

実は今作では社会制度ツリーが全文明共通の1本だけではなく、文明ごとに固有のツリーも存在している。どちらのツリーを研究するのかは好きなタイミングで切り替えられるため、今回はマヤ固有のツリーを優先的に研究していたのだ。
下の画像は時間を飛ばして62ターンごろの首都バークの様子。食料生産についてはほぼ海(湖)からの資源に頼っているおさかな天国だが、この時点で人口は14と悪くないペースで、科学力の産出も順調に伸びている。
画面上で青く表示されているのは、人口を配置可能な市街タイル。ある程度社会制度ツリーを進めると市街タイルに人口を配置できるようになり、幸福度と食料の低下と引き換えに建造物から得られる産出を強化してくれる。
特に中盤以降の科学力や文化力の産出を増やす重要な要素なのだが、幸福度が低下するのがなかなか重い。とはいえ、古代の頃にはまだそこまで気にならないレベルだ。
古代2:なんじ平和を欲さば、他のやつらに戦争をさせよ
こんな感じで首都の内政を進める一方で、周辺の探索も行っている。探索は他の文明との遭遇や次の入植地探しなどのためにも重要で、この点も過去作と変わらない。いわゆる4XのeXplore(探検)の部分で、プレイ中に一番わくわくするポイントのひとつだ。
マヤは固有の斥候ユニットである「ジャガースレイヤー」が使用できるので、探索がちょっとだけ他より楽しい。戦士と同じ戦闘力があり、「罠」を設置できる固有の能力を持っているため、いざとなれば戦闘でも頼りになりそうだ。
「ジャガースレイヤー」2体体制で探索を進めていると「ケルン」を発見。前作における「原住民の集落」のようなもので、本作では種類にいくつかのバリエーションがある。踏むことでさまざまなイベントが発生し、選択肢に応じて何かしらの報酬が得られるようになっている。
17ターン目、北側で「漢」の孔子と、南側で「アケメネス」(ペルシア)のクセルクセス1世に相次いで遭遇。クセルクセス1世は史実でペルシア戦争を起こした王で、戦争におけるアドバンテージが多い指導者。戦闘力にかけられる補正が少ない古代の時代では、特に注意したい相手だ。
その後23ターンには西側で「ミシシッピ」文明を率いるホセ・リサールと遭遇。東は海側なので誰もいないが、我がマヤ文明は三方を他勢力に囲まれていることになる。周辺文明の拡張が進むと動けなくなる可能性がある上、戦争を仕掛けられるリスクも大きい。
そこで、周辺地域に暮らす独立勢力「ディウォドゥルム村」の人々にちょっとした助言をすることに。

扇動成功。これでしばらくは自分の戦争で忙しいだろうからこっちにくる心配はないだろう。他人が襲われてるうちは自分が襲われることはない。自国の平和を保ちたければ他国同士で戦争をさせておくのが一番だ。
このような「独立勢力」は本作における「敵対勢力」であり「都市国家」にもなりうる存在だ。いくつかの外交オプションを持ち、友好関係を続けると都市国家へと成長して傘下に加わってくることもある。
もちろん敵対勢力であることは変わらないので、対処を間違えると雨後の筍のごとくユニットが湧き出してきて大変なことになってしまうのは前作と変わらない。

他勢力の交渉には「影響力」というリソースを使うのだが、これは他文明との外交にも使用できる。今作では「外交努力」というコマンドが最初から使用でき、これによって科学力や文化力などを他の勢力と共同で獲得する、といったことを提案できる。

もちろん他文明から外交努力を提案されることもあり、その場合は「支持・承諾・拒否」のいずれかを選べる。承諾の場合は自身に小程度、相手に中程度の恩恵が与えられ、支持した場合には両者に大きな恩恵が与えられるのだ。
本来であれば支持には影響力を支払う必要があるのだが、卑弥呼の場合は指導者能力によってこれがタダに。最序盤に文化力や科学力を無償で入手できるチャンスなので、序盤はなるべく他勢力と友好的な外交関係を心がけたい。

31ターンには第2居住地となるワク・カブナルを建設。北側には孔子先生の「漢」領土が見えているが、今作から新たに登場した大河(航行可能な河川)があるため防衛には困らないだろう。続く37ターンに第3居住地となるコバンを建設した。
今作では、開拓者によって建てる拠点は“都市”ではなく“町”としてスタートする。新たな“町”は最初から人口2をもち、また食料生産に+50%という大きなボーナスまであるため、人口の成長速度が非常に早い。
一方で生産は一切行えず、生産力は自動的にすべてゴールドへ変換される。ゴールドの消費によって一部の建造物を購入することもできるが、科学や文化を生み出す建造物の大半は購入不可となっているなど、本格的な生産活動には向いていない。
町は多くのゴールドが稼げるうえ、十分に成長させれば生産した食料を他の居住地へと送ることもできるため、一概に都市の下位互換とはいえない。ただ、十分な生産力を確保できそうな良立地の町は、いずれゴールドを支払って都市へのアップグレードを検討する必要もあるだろう。
とにかく都市を大量に出す“都市スパム”が強力だった前作に対し、今作は居住地数に上限があるため、単純な多都市戦略は取りづらい。序盤のうちは特に立地には気を配り、ポイントを絞って開拓者を出すべきだろう。
ゴールド収支も考えると全ての町を都市に変えるのは悪手になりそうなので、都市として運用するのか、町のまま資源を吸い上げるのかは慎重に決めたい。
60ターン時点でのざっくり世界情勢は上のような感じ。ここまでに一度北の孔子先生に戦争を吹っ掛けられたのだが、大河を活かした防衛でアッサリ撃退し、逆に敵の都市「淮揚」を奪うことができた。
積極的に敵対勢力をけしかけたこともあって、ホセ・リサールもクセルクセス1世も、あまり都市を出せていないようだ。この隙に西側の広大な土地を確保したいが、居住地上限に達しているためしばらくは動けない。
一応、上限以上の居住地を持つこともできるのだが、そうすると都市の幸福度に大きなデバフがかかってしまう。幸福度がマイナスに転じた居住地は全ての産出が低下してしまうのだ。結果的に、この後も古代のうちに西側へ進出することはできなかった。
さらに時間を進めて120ターン時点ではこんな感じに。居住地の数は6まで増え、首都以外もいい感じに成長している。総合的な出力では孔子先生にやや劣っているものの、この時点では十分だろう。
その後は南進をもくろむ孔子先生の「漢」文明と戦争したりしつつ……
140ターンで「古代」の時代が終了。ここまで、自力で建てた居住地が5、孔子先生との戦争で奪った居住地が2つで、現在の上限いっぱいである7つの居住地を確保できた。
ただし都市化しているのは首都を含めて3つだけで、あとの居住地は人口10程度まで成長させた後は、ゴールドと食料を生産するだけの拠点にしている。
この時代の間に成し遂げた実績によって、次の時代で選択できる文明も変わる。太古のマヤ文明は科学産出に強い内政型の文明で、中核となる都市ではこの時代でいい感じに後の時代に続く基盤を作ることができた。
続く探検の時代は、大いなる拡張の時代だ。