人の血を吸って生きる、不死の怪物──吸血鬼。
魔女や狼男と並んでゴシックホラーの人気者である吸血鬼は、1897年に『吸血鬼ドラキュラ』が出版されてから「貴族」のイメージと強く結びつくようになった。吸血鬼と言えば、コウモリの住む古い城に、貴族然とした優雅な佇まい……といったイメージが、現代には漠然と根付いている。
そのイメージがどこから来たものであれ、今やアニメやゲームにおいて吸血鬼キャラといえば美男美女枠の筆頭属性のひとつ。人の血を糧とし、日光に弱いという人間とは相容れない性質から来る危険な魅力や、ゴシックホラー特有の退廃的な美しさが好きな人も少なくないだろう。
じゃあ、そんな「美しき吸血鬼」だけを集めてゲームを作ればそれはもう最高なのでは?
スタッフがそんな欲望を抱いて作ったとしか思えないのが、3月から4月にかけてクローズドベータテストを行った新作スマホ向け戦略RPG『シルバー・アンド・ブラッド』。このゲーム、とにかく「吸血鬼」にかける情熱がすごい。
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— 【公式】シルバー・アンド・ブラッド(シルブラ) (@SiruburaJP) April 18, 2025
🌍『シルバー・アンド・ブラッド』
全世界リリース決定!
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『 #シルバー・アンド・ブラッド 』がまもなく全世界で正式配信開始!
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どうぞお楽しみに✨#シルブラ#silverandblood pic.twitter.com/gY9WbC6BzO
ゲームの隅々まで吸血鬼要素がこれでもかと詰め込まれているのはもちろん、このゲームは物語のムービーシーンだけでなく、戦闘中のキャラクターの必殺技、ガチャ演出、イベント紹介などなど、随所に2Dアニメーションが使用されている。遊んでいると、アニメを見ているのかゲームを遊んでいるのか分からなくなってくるレベルだ。
今回は、現在事前登録受付中の『シルバー・アンド・ブラッド』(以下『シルブラ』)のクローズドベータテストで遊んだ体験を元に、美麗なキャラクターたちとたくさんのアニメーションが織りなす美しき血濡れた世界を紹介していきたい。
文・編集/逆道
※記事内の画像はクローズドベータテスト時点のものであり、リリース時の仕様とは異なる可能性があります。
呪われた血統、教会の欺瞞、ネズミと伝染病、そして月夜の吸血鬼。ゴシックホラーのおいしい所をこれでもかと凝縮したストーリー
『シルブラ』の舞台は中世ヨーロッパをモチーフにしたファンタジー世界だ。神を崇める教会が支配の頂点に君臨し、各地を治める貴族はそれに従っている。この世界では教会の教えが絶対であり、吸血鬼は弾圧されるべき異端の存在だ。
本作のストーリーは、おもに主人公「ノア・ネヴァーナイト」の視点で語られる。ノアはこの世界に広がる不治の病「黒血病」に侵されている。黒血病は、一度感染したが最後、理性を失った怪物となってしまうという恐ろしい病だ。
【眷属図鑑|銀髪の罪人 – ノア・ネヴァーナイト】
— 【公式】シルバー・アンド・ブラッド(シルブラ) (@SiruburaJP) April 22, 2025
「過去という名の枷、そこから解き放たれる日は来るのだろうか?」… pic.twitter.com/Cv1ls6Wh79
ノアはかつて幼馴染と交わした約束のため、黒血病から逃れるために禁忌に触れてしまう。その咎で教会に捕らえられたところから、物語は展開していくのだが……。
うわ────!!!!
なんと馬車ごと崖下に転落してしまったノア。その先で出会ったのは、自らを「月の子」と名乗る少女、「エンプーサ・バートリー」だった。彼女はある理由から、ノアを助けるために馬車を崖下に突き落としたのだ。いやいや、全然死ぬところでしたけども。

しかしそんな彼女との逃避行もあえなく、教会の追っ手に捕まってしまうノア。衆目の前で火刑にされ、ここでノアの命は尽きた……。
……そしてここからが本編である。
本作のキーワードとなるのは「血」と「記憶」。この世界では、血には記憶の情報が刻みこまれており、血液からその持ち主を蘇らせる秘術が存在する。つまり、この血の秘術によって実質的に死を克服した存在こそ、『シルブラ』の世界における「吸血鬼」と呼ばれる人物たちなのだ。
エンプーサが持ち帰った僅かな血液から復活を遂げ、吸血鬼として新たな生を得たノアは、しかし記憶の大部分を失ってしまっていた。ノアは失った記憶を求め、そして黒血病と吸血鬼の真実を知るため、教会の手を退けながら「月の子」を探す冒険へと身を投じていくこととなる。

と、簡単に導入を説明しようとしただけでもこれだけの量になったことから分かる通り、『シルブラ』のストーリーはものすごく“濃い”。
これでもめちゃくちゃに内容をカットしていて、実はここまでの間にも、黒血の事実を隠す教会の欺瞞とか没落したエンプーサの家柄とかネズミによる感染とか「記憶を同化させる」黒血の作用によって生まれた巨大モンスターとか、それはもう大量の要素が出てくるのだ。面白い、面白いけど情報量が多い!
しかしもっとすごいのは、それらの大量の要素すべて、何ひとつ『シルブラ』の軸となる「吸血鬼」というテーマからかけ離れたものはないということだ。街を飲み込む死の病も、教会の陰謀も、すべては吸血鬼という存在に繋がっていく。
ベースに漂う雰囲気は古典的なゴシック小説のようでありながら、次々と新たな真実が明かされ、テンポよく進んでいくストーリーは最新のアニメのような面白さだ。
他にも、ストーリーを進めていけば「狼人間」や「騎士たちの絆」、「人々が狂気に陥る船旅」など、吸血鬼というベースに様々なテイストを加えた物語が楽しめる。ストーリーは基本的にフルボイスであり、重要シーンはアニメーションで臨場感たっぷりに味わえるので、ゴシックな雰囲気が好きな人ならのめり込めること間違いなしだ。