人生を変えるゲームに、出会ったことはありますか?
私にとってのそれは、『オブリビオン』でした。
2006年に発売されたファンタジー世界を舞台にしたオープンワールドRPG。
主人公は、正義の味方ではなく地下牢に閉じ込められた囚人。
メインストーリーは用意されているものの、盗賊にも暗殺者にもなれる自由度の高さ。
当時、日本でリリースされていた“勇者になるゲーム”や”世界救いに行くゲーム”で遊んでいた私にとって、「何者になるかはあなたが選んでいい」というテイストの『オブリビオン』には大変な衝撃を受けたものです。おかげで、青春を犠牲にしました。
そして、『オブリビオン』と言えば剣と魔法のファンタジー世界に住む個性的なキャラクターたち。
「バイアズーラ!バイアズーラ!」と叫ぶ“熱狂的なファン”こと、“たまねぎ”をはじめ、本作のメインヒロイン的存在のダル=マちゃん。友のため戦う女騎士マゾーガ卿など。印象に残る面子ばかり。
2025年4月23日には、ついに『オブリビオン』のリマスター版が発売されました。
ここで、約18年ぶりにグラフィックやシステムが大幅に刷新されたシロディールへの道が開けたと言えます。
さっそく、『オブリビオン』の懐かしい面子たちに久しぶりに会いに行きたいと思います。また、オリジナル版の画像も撮影して比較もしますので、ぜひお楽しみください。
最初に会いにいくのは、もちろん黄金色に輝く“アイツ”だ!
文/TsushimaHiro
編集/柳本マリエ
【ネタバレ注意】
本記事は『オブリビオン』のネタバレ満載になっております。これから『オブリビオン』をプレイする方。ネタバレをされたくない方はご注意ください。
たまねぎ、ただいま。……痩せた?


まず、真っ先に会いに行ったのは、“たまねぎ”の愛称で親しまれているキャラクター“熱狂的なファン”くんだ。その特徴的にもほどがある髪型や言動の面白さから、ユーザーからいじられまくっている。
彼に会うためには、プレイヤーがマップ中央にある帝都の闘技場(アリーナ)に闘技者として参加し、優勝することで“おっかけ”として登場させる必要がある。【※】
※察しの良い読者は上記の画像がふたつ並んでいる時点でおわかりいただけるだろうが、オリジナル版とリマスター版のたまねぎを比較するためには闘技場イベントをそれぞれ優勝までプレイする必要があったので、少し骨が折れた。
彼は、道を歩いていると、向こうから近づいてきて「うわっ!グランド。チャンピオンじゃないですか!見てましたよ グレイ・プリンス戦!やっぱ最高ですよ!あの…えっと…ついていってもいいですか?絶対に邪魔しませんから!」とまくしたててくる。
二言目には「ついていってもいいですか?」と続けてくるのだ。ファンタジー世界なのに、某テレビ番組級のいきなりっぷり。とはいえ、彼に戦闘能力はほぼ期待できない。戦闘になると一目散に全力疾走する仕様はリマスター版でも健在だからだ。
18年前と同じく、暗い夜道で松明(たいまつ)を持ってもらうとしよう。

20年ぶりに再会した熱狂的なファンくん。
ここで、オリジナルの『オブリビオン』に近い環境であるPC版『The Elder Scrolls IV: Oblivion Game of the Year Edition (2009)(以下、旧版)』に登場するたまねぎと、リマスター版のたまねぎを比較してみる。
最も変化したのは、やはり髪色だろうか。まばゆいほどのレモンイエローだったたまねぎの頭髪は、リマスター版にて落ち着いた黄土色に変化。結果的に、より本物の玉ねぎに近い色彩に変化している。
もうひとつ。海外でも話題になっているが、眼球の色が変化している点も挙げられる。白目だった部分は黒色となり、作中に登場する種族でもある、彼のウッドエルフらしさが強くなっているようだ。
あと……どうしても気になってたんだけど……
お前、ダイエットした?
どう見てもスリムアップしてるよね?あんなに顎も広かったのに……
眉毛までシャープにセットしてもらっちゃって……良い美容室にでも通い始めた?
「スタァァァァップ!!!」も健在

そして、『オブリビオン』ユーザーであれば一度はお目にかかったことがあるであろう衛兵の台詞「スタップ!」だ。もちろん、リマスター版でも実装されている。
このゲームは、主人公を盗賊や暗殺者にすることもできると紹介したが、衛兵などが治安を守る街中などで窃盗や市民への攻撃行為などを行った場合は、しっかりと取り締まられるので注意しなくてはならない。
つい、うっかりと他人の物を盗んでしまった場合でも同様に罪となり、呼び止められたら逃げるか、戦うか、投獄されるかを選ぶことになる。投獄されたら、悲惨だ……。
この衛兵は、その勢いの良さや台詞の使い勝手の良さからネットミームと化し、当時のユーザーが「スタァァーップ!!!」と叫ぶ衛兵のAA(アスキーアート)を作成して盛り上がりを見せたこともある。
旧版の発売後はニコニコ動画に『オブリビオン』の実況動画も多数投稿されていて、配信者のキャラが窃盗などで衛兵に呼び止められると、この衛兵のAAがコメントに流れることもあった。コメント職人としては、もはやご褒美タイムである。
衛兵……彼らは、筆者にとっても想い出が多いキャラクターだ。
ちょっとでも悪事を働こうものなら、間違って他人のものに触れてしまっただけでも「スタップ!」と声をかけてきて取り締まってくる。18年も経てば、もはや幼馴染。もしくは腐れ縁とも言える。
その姿はユーザーからもこよなく愛されており、2007年には英国リバプールを拠点に活躍する作曲家Alex Cottrell氏が本作の衛兵の発する音声を繋ぎ合わせて作曲した楽曲「The Imperial Guard Song」がYouTubeに投稿される。
この動画は多くのユーザーに視聴され、2025年4月時点で約330万回再生を突破する人気を見せた。公開された当時は中学生くらいだった筆者は夢中になって視聴し、次第に作業用BGMとして楽しむようになった。……というか、まさにこの記事を書きながら聴いてしまっている。
普段は一定のリズムでしか話さないはずの衛兵が子気味良いビートを刻みながら歌う様子は中毒性が高く、癖になる視聴者が続出。まさに、長きにわたり愛された名曲と言える。
そして……なんと、2025年4月23日(水)
Alex Cottrell氏は、リマスター版『オブリビオン』でもタイトルを新たに「The Imperial Guard Song – Remastered」の動画を自身のYouTubeチャンネルに投稿。「これを待っていた」「リマスター版でも作ってくれてありがとう」「素晴らしい」と、懐かしむ視聴者たちのコメントが寄せられている。
ダル=マちゃん。相変わらずダミ声でかわいい
「マ”ァ”イ”ヒィ”ロ”ォ”~///(私の英雄が来たわね)」
出たぁ──ーっ!ダル=マちゃんだあぁぁ──ー!
『オブリビオン』のメインヒロインッッ!!!
“オブリ三大美女”の一人として一部のユーザーに語り継がれている、町でも評判の美少女!母と雑貨屋を営む愛しの看板娘が、18年の時を経て帰ってきたぁぁ──ー!!!

彼女は、コロールという町で暮らすアルゴニアンの女の子。町の住民からも評判が高く、性格も純朴そのもので気立てが良い。紛うことなき“美少女枠”です。
そんな美少女系アルゴニアンであるダル=マちゃんを旧版と比較してみる。
もう、全然違う。女優さん変えました?ってくらい違う。
旧版から比較すると、全体的な色味が薄くなっているような。
より、爬虫類アルゴニアンっぽさが自然に演出されており、赤すぎてもはや発光していたウロコお肌もかなり色味が抑えられている。これが、アルゴニアンのナチュラルメイクということか……。
このダル=マちゃんには専用のクエストもあり、ある日突然行方不明になってしまった彼女を探して、はずれの集落に捜索に行くことができる。主人公は“謎の呼吸”を繰り返す怪しい集団の潜む地下に幽閉されたダル=マちゃん(と愛馬)を救出し、コロールまで連れて帰れる。
以降、ダル=マちゃんは窮地から救ってくれた主人公に対して「私の英雄が来たわね!」と笑顔で挨拶してくれるようになる。
・町で評判の美少女
・雑貨屋で母と共に働く看板娘(日記も書いてる)
・さらわれた所を救出に行くクエストが用意されている。
こんなんヒロインでしかない。
リマスター版になっても健在です。かわいさ健在。
20年ぶりに、会えてよかった。
女騎士マゾーガ卿、“すごみ”が増す

“すごみ”が増しすぎだぜマゾーガ卿
にらまれた瞬間「殺られる」って思ったもん。しかし、こう見えて彼女も“オブリ三大美女”のひとりに数えられているヒロインだ。もちろん、戦闘もできちゃうぞ。
彼女(♀)は、南東の川辺に位置する町レヤウィンの城に居座ることで伯爵から若干迷惑に思われてしまっている“自称”自由騎士を名乗る人物だ。
主人公は伯爵からの依頼を受け、素性を明かそうとしない【※】マゾーガ卿の調査を依頼される。
その結果、彼女は親友の仇をとるために騎士として生きることを決め、手がかりを求めてここまでやってきたことが判明する。
要するに、彼女は「自称騎士の復讐者」だ。彼女に協力すると、伯爵から「高潔な行為である」として、以降は正式に騎士として任命されることになる。
※なお、マゾーガ卿と共に討伐に向かう山賊ブラック・ブルーゴとはかつて取引を行っていたようで、取引時間などを詳細に把握していた。元は、山賊めいた生活をしていたと思われる。

ここで、旧版のマゾーガ卿とリマスター版のマゾーガ卿を見比べてみる。
こうして見ると、たまねぎもダル=マちゃんも含めて言えることなんだけど…
旧版のキャラクターって、全体的に光度が高いよね。光の反射もまぶしいくらい。
よくよく観察してみると、リマスター版のマゾーガ卿は、鼻フックで釣り上げられたかのような挑戦的なお鼻が、ちょっと小鼻になっているように思える。ただ、口はさらに大きくなったかな?
約18年経ちリマスター版にて再会したマゾーガ卿は、落ち着いた大人の装いでチャームポイントをしっかりとアピール。より、殺伐とした魅力的な女性へと成長していました。

ついでに言うと、マゾーガ卿に関連するクエストに登場するアルゴニアンの弓使い“ウィーバム・ナー”も旧版と比較してみる。彼は初見の時に「ア”ァイ”ム” ウ”ィ”ィ”ブァ”ム”ッッナ”ァ”ァ”…」と激渋音声で自己紹介をしてくれた時から、筆者にとって妙に印象に残っている。
リマスター版ではネットリとしたトーンは少し落ち着いた音声に変更されており、鋭い眼光が強調され、よりイケゴニアン度が増している。一番大きな変化は角。めっちゃ伸びてる。