tinyBuild Gamesは『Graveyard Keeper』の販売を開始した。開発を担当したのは『Punch Club』のLazy Bear Games。対応プラットフォームはPC(Steam、GOG)、Xbox One。 PC版は日本語字幕にも対応している。
『Graveyard Keeper』は俗に牧場系と呼ばれるジャンルのゲームのひとつだと言えるが、ストーリーの目標はこの世界で自由に暮らし農業や畜産を営むことではない。今作はその名のとおり、プレイヤーは屍臭ただよう墓場を運営していくことになる。
物語は主人公が交通事故によって異世界へ飛ばされ、赤い目の男から墓守としてこの異世界で暮らすことを命じられるところから始まる。ストーリーの目標は、この異世界から脱出し愛する家族のもとに帰ることだ。
プレイヤーは定期的に運ばれてくる死体を埋葬し、荒れ果てた墓場を修繕して聖職者としての出世を目指すといった墓守としての仕事や、農耕や魚釣りといった『牧場物語』や『Stardew Valley』のようなのどかな仕事をこなすこともできる。
しかし「史上もっとも不正確な中世墓場管理シミュレーター」とSteam Storeページで自らを紹介するとおり、プレイヤーは死体から切り取った肉を食品に加工して売るようなインモラルな商売に手を染めることもできる。運ばれてきた死体は墓場に埋葬するだけでなく、ひそかに川に投げ込んだり、あるいは焼き払うこともできる。聖職者となった後は、街の人々を教化し手ごまにすることも可能だ。
また、「中世を舞台にしたゲームなら必須です!」という通り『Graveyard Keeper』にはモンスターとの戦闘やダンジョンでの冒険も用意されている。住人の依頼でモンスター狩りを行ったり、時間帯によってはダンジョン以外でもモンスターが襲い掛かってくる。さまざまな手段が用意されているが、とにかく墓場を盛り上げるためにとにかくあらゆることに挑戦していくことになる。
なお本作の主人公は、この世界での水先案内人となるしゃれこうべのジェリーの「死体から肉を切り落とせ」という命令に強い拒否感を示すような普通の常識を持った人間だ。しかしこの世界では魔女とされた人間の火刑をエンターテイメントとして見世物にしたり、ジェリーのようなしゃべるしゃれこうべや幽霊がいたりと、現代のこの世界とは大きく常識が異なっている。
そんな『Graveyard Keeper』で描かれるインモラルで自由な世界は、プレイヤー自身のモラルにゆさぶりをかけてくるだろう。かわいらしい2Dグラフィックで描かれた人々を利用し、ありとあらゆる手段を尽くして最短での帰還を目指すもよし、あるいは現実的なモラルを保って人間として家族のもとに帰ることを目指すのもいいだろう。
のどかで牧歌的ながらダークでインモラルな世界で自由に生きることができる『Graveyard Keeper』は、『牧場物語』や『Stardew Valley』のような牧場系ゲームのファンだけでなく、これまでそういったジャンルのゲームに興味がなかった人にもおすすめできるゲームだ。