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ファンタジーなのに、とにかく政治が生々しい。期待の新作RPG『メタファー』の選挙活動がガチ過ぎる。王になるためには“コネ”必須、詐欺師や商売人とも仲良くする先行レビュー

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『メタファー』先行レビュー・感想_001

『メタファー:リファンタジオ』が出た。

タイトル画面からして、タイポグラフィが特徴的すぎる。
見てください、この尖りすぎたA。これですよ……。

オシャレの海に溺死しそうなメニュー画面、そしてオーケストラが流れている中でオペラ歌手が読経しているかのような魔合体した楽曲など。本作の特徴はパっと見るだけでもわかりやすい。

そして、「それは、現実を映す鏡(メタファー)」というクールなキャッチコピー……もう既に面白そうじゃん……。

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本作はファンタジー、すなわち我々が生きる現実世界とは異なる世界の住民の物語が展開されるRPGです。主人公は18歳の少年で「死の呪いを受け、目を覚まさない親友の王子を助ける」という重要な任務を帯びて旅に出ます。

特徴的なのは、ファーストトレーラーでも公開されている通り「この現実世界が、彼らの思い描く理想郷だとしたら?」と、むしろ私たちの生きる世界が、彼らからすればファンタジー(幻想)なのかも。というテーマが扱われているという点。

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ゲーム開始後、プレイヤーは謎の人物から、現実にありそうな都市群を前に「幻想とは、現実に影響をもたらさない、無力な作り物か?」と、ゲームをプレイしている者にとって核心を突くようなセリフを問いかけられます。

これではまるで「このゲームで描く物語は、現実を踏まえたものなんですよ」と宣告しているようなもの。いきなりオープニングから「幻想は現実にも影響あると思う?じゃ、確かめにいこっか!」って問いかけてきたゲームは珍しい。

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ワクワクが止まらねぇ……!!!

そんな『メタファー:リファンタジオ』は、どのような幻想世界(ファンタジー)を見せてくれるのだろうか?……

このたび、先行プレイすることが叶ったので、ストーリーの重大なネタバレは避けつつ。本作の特徴やゲームシステムの魅力などをお伝えしたいと思います。

文/TsushimaHiro
編集/りつこ


幻想世界に待ち構えていたのは、無慈悲な“現実”だった

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本作の主人公(名前変更可能)は少数種族「エルダ族」の少年。

彼は呪いにより動けなくなってしまった王子を助けるため、犯人と思わしき危険思想を持つ男「ルイ」を倒すという特命を受ける。この任務を達成するために、相棒である妖精のガリカと共に王都へと旅立つ。

冒頭で自分の帯びた任務の記憶すら曖昧な主人公に対し、妖精のガリカは脳内に直接音楽が鳴り響く魔法をかけて励ましてくれる。彼女が言うには、音楽はこの世で初めて生まれた魔法なんだとか。素敵やん。

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王都に向かうための馬車が襲撃され、崖底まで落ちてしまったふたりは、砂塵舞う「トラディア砂漠」を徒歩で移動することになった。フィールドでは、剣を振るっての攻撃や、緊急回避などの動作が可能だ。

そこに現れたのは「砂蟲ヴァルモ」というクリーチャー。
トレマーズ【※】みたいな恐ろしい風貌ですが、最初に出現するモンスターなので、いわゆるチュートリアル敵な戦闘が待っているのだろう、と推測。さっそく近づいてみる。

『トレマーズ』
アメリカで1990年に公開されたパニック映画。砂漠の地中に巣食うモンスターと街の住民との熾烈な戦いが描かれる。

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ゴシュッ

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FANTASY IS DEAD(幻想は死んだ)

え?死ん……

筆者は、抵抗もむなしく砂蟲に殺されてしまう主人公を見て、ようやく理解した。本作には日本の某有名RPGのような「基本はスライム」とか一切ない……。

この世界には無慈悲な“現実”が待ち受けているんだ。と……見ての通り、主人公は細腕の少年。剣を振ることはできるようだが、砂蟲に命中しても1~2くらいしかダメージが効かない。全然、敵の体力を削れない。

ここは安全策をとり、ガリカの案内に従い、原生生物から身を隠しながら王都を目指す。考えてみれば、それもそのはずなのだ……。
現実でこんな巨大な蟲に遭遇したらまずダッシュで逃げる。

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ガリカは周囲の物体や敵をスキャンする能力をもち、時に猛獣に追いかけられながらも、なんとか王都周辺まで逃げ切ることができた。

ルイに少しでも近づくためには、まずは兵士に志願して実績を上げなくてはならない。ここでは、避難民に紛れて安全に王都へと向かう。

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主人公が訪れた「ユークロニア連合王国」の王都にはさまざまな種族が住んでいる。貴族階級の人もいて、王国で最も人口が多く、角がはえたクレマール族
エルフのような長耳の生えているルサント族、長命のローグ族、両翼が生えたイシュキア族、王都で迫害されつつある獣の耳やしっぽなどがはえたパリパス族など……。本作に登場する種族は実に多彩だ。

主人公は少数種族である「エルダ族」。現実世界でいう、人間に近しい見た目をしている。かつて、国教である惺教(せいきょう)から「教えに反した危険な魔法を受け継ぐ穢れた種族」という烙印を押されてしまったエルダ族は、周囲から差別の眼差しで見られている。

連合王国は長きにわたる経年から腐敗し、格差と差別にまみれ堕落しつつあり、広大な国土には冒頭で遭遇したような危険生物にくわえ、「ニンゲン」と呼ばれる謎の怪物まで蔓延っている始末だ。

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街では影で蔑まれながらも、募兵者に到着。面接ではいくつか質問されるが、ここで選択した内容によって主人公の初期ステータスが異なるようだ。

さて、ここでも主人公はエルダ族であることからほかの志願者に雑に扱われる。絡まれてしまった主人公を見かねて動いたのは貴族の青年「ストロール」、彼は種族の差があることに関係なく、身を挺して主人公をかばってくれた。

その時に「怖かった」という選択肢を選んだ時の主人公の表情が……。

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「すっごく怖かったな…」
(U´・ω・`U)ショボン……子犬じゃん……

もう……哀れな子犬!こんな状態で、本当に任務が達成できるのか不安になってきた……。ここでは、持つことで魔法を使うことのできる「魔道器」を入手。本来は、国の難関試験に合格しないと所有することすらかなわない高級品だ。

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その日の夜は、寂しげな物置きのような場所で雑魚寝。気晴らしのためか、妖精ガリカは主人公が王子から預かっていた小説を読もうと提案する。この本は「幻想小説」、いわゆる主人公たちがいきる世界とは別の世界を見た旅人の目線で書かれた本だ。 

内容としては、その世界には種族は1つだけであり、誰もが違いを認め合い、生まれでの差別など存在しなかったという。魔法も必要とせず、学びと手業だけで巨大都市を築きあげ、民の命は平等だと書かれている。

一つの宗教が絶大な権力を持ち、種族同士の差別が蔓延している主人公たちの世界からすれば、理想的な世界に見えるのだろう。

主人公と友人関係にあった王子はこの小説を手に、どんな生まれの人でも未来を信じられる理想の国を思い描いていた。王を暗殺して玉座を奪い取ろうとするルイとは違い、王子は心の優しい人物であることが伺える。この日は、王子の夢を見ながら床につく。

世界を脅かす存在“ニンゲン”がキ”モ”ォ”イ”!!!

さて、目が覚めたらさっそく最初の任務として、北部国境の砦に向かうストロールと主人公。しかし、そこに駐在する兵士は“ニンゲン”と呼ばれる化け物に襲撃され壊滅状態にあるという。ふたりは魔道器の力を借りつつ、雑魚敵を処理して件のニンゲンを探す。

ウ”ワ”ア”ァ!!!!キ”モ”ォ”イ”!!!

リアルで声出た。
兵士たちはほぼ全滅で息も絶え絶え、ストロールくんは勇敢にも立ち向かうが歯が立たず。このまま主人公も含め全滅してしまうのか?……

必見の覚醒シーン。ライブパフォーマンス風の演出が良い

そこらへんにいる獣にすらまともに倒せない哀れな子犬的な主人公は絶体絶命のピンチ。その時、突如として舞台が移り変わり、主人公に不思議な声が語りかけてくる。

「…汝、定めを課せられし子よ。
 憂いを抱える旅人よ。
 貴方は、やがて『王』となる定めの子。
 今は分からずとも、いずれ全てが回り出す…
 道は二つに一つ…その試練へと赴くか、ここで倒れ伏すか。
 さあ、選ぶのです。
 恐れと向き合う魂には『英雄』が目覚める…
 己自身に命じなさい。内なる『英雄』の姿に変われと…!」

謎の声に従い、主人公は胸から機械的な見た目の心臓をえぐり出し、「変われっ!」と叫ぶ。この時点で、主人公は強靭な肉体と身体能力、人体の時と比較すると圧倒的な防御力を有し、「魔道器」を使わずとも風を発生させて敵を攻撃する魔法が使えるようになる。

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主人公が用いたのは古の魔法「アーキタイプ」、ここでは、主人公は探求者(シーカー)の力に覚醒する。声の主が何者なのかは不明だが、これ以降、主人公は自身と同様に「アーキタイプ」を覚醒させる人物たちと出会うことになる。

なんとか生き残り、主人公と行動を共にしたストロールは近接攻撃主体の能力を持つファイターの「アーキタイプ」に目覚める。胸からえぐり出した心臓をマイクのように掲げてライブパフォーマンスでも披露するかのような覚醒シーンが印象的だ。

「アーキタイプ」の詳細については後述するが、仲間になった人物の「アーキタイプ」は習得することで誰でも付け替えて使用できるようになる。

結局、人脈(コネ)であると教えてくれる選挙活動RPG

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その後、主人公は任務を共にする仲間たちと王子を呪ったと思わしきルイの暗殺を狙う。しかし、突如として空にクソデカフェイスが出現。このフェイスからは死んだはずの王の声が聞こえてくる。

王は、10月の「英雄の日」までに最も多くの国民の信託を集めし者が次の王となる資格を得ると宣言した。王は自らの命と引き換えに、国民の“投票”によって全国民に王位を奪い合わせるように壮大な魔法を仕込んでいたのだ。

ここから主人公は、熾烈な王位争奪戦に身を投じることになる。
これは……ファンタジーの世界ではあまり見ることがない光景だが、現実世界で言うと、選挙活動のはじまりである。

国の中でも最も権力をもつ国教である惺教は、王国全土を巻き込んだ王位争奪の大レースを開催し、いかに惺教の力が絶大であるかを知らしめるため動き出す。ここからは本作のメインコンテンツである、連合国全土を巻き込んだ凱旋の旅がスタートする。

さて、筆者が本作を約40時間プレイして出た結論は、王になるために必要なのものはとにかくコネ!人脈で強くなるRPG、それが『メタファー:リファンタジオ』だと言うことだ。

人脈を築くことで「美徳」を知り、アーキタイプが増える

レース開催後は、目的地に移動して指定された日時までに目標の達成を目指し、空いた時間に仲間を強化するために修行したり、住民や兵舎から依頼を受けたり、交流して絆を深めることができる。

基本的に主人公が行動できるのは昼と夜パートに分かれており、「交流」、「ダンジョンに挑む」、「長距離移動する」といった行動をとるとパートが昼から夜へ移行する。昼夜で話しかけられる人物が異なる場合もある。

特定の人物と絆を結ぶと新たな「アーキタイプ」を習得できる。
「アーキタイプ」は主人公が交流する者の「美徳」が反映された姿であるようで、ストロールの「ファイター」をはじめ「騎士」、「魔術師」、「盗賊」、「商人」など、コネクションを築けば築くほど多用なアーキタイプを装着できるようになる仕組みだ。

選挙に必要なのも、やはり人脈。民に影響力のある人とは率先的に繋がろう

特定のキャラクターとの絆レベルを上げることで、該当するアーキタイプを修得するための素材要求量が減ったり、さらに上位のアーキタイプを修得することもできる。

また、交流できるキャラクターの中には、旅に同行しないタイプの者もいる。しかし、彼らと交流することで得られるメリットは非常に大きい。商品の割引、クエスト報酬の増額など、中には、仲良くなると不定期にお金を仕送りしてくれるようになるキャラクターも存在する。

さらに、各勢力や民衆に影響力を持つ人物と交流する、クエストをこなす、各街で演説するといった行動をとると、主人公のランキングにもしっかりと影響を及ぼす。

なんか……ファンタジーなのに生々しいぞこのゲーム……。
こうなってくると、彼らと仲良くならない理由がない。

『メタファー:リファンタジオ』は、選挙活動を進めるにはいかに人脈形成が重要であるかということを教えてくれるRPGだと言える。

「人間を大切にする」……。一見、当たり前のように思えて、その主張を多くの人に応援してもらうのは難しい。

選挙活動といえば公約が必須。差別のない国を掲げてスピーチするRPG

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さて、“国民全員”が王となる可能性のある選挙……。もはや現実世界の選挙と同じじゃん!と思うが、さすがは幻想世界、一味違うところがある。

ランキングの上位に位置する者は、「顔岩」と呼ばれる岩石に顔面がモコリと浮かび上がるようになっている。

レースが開催された直後は主人公の顔面が見えることはないが、ランキングが上位になれば可能性は十分にある。

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主要な都市に置いてある「演説台」では、こちらも現実の選挙と同じく公約を掲げて信託を集めることができる。とはいえ、その場しのぎのご機嫌とりでは民衆は納得しない。

その土地ごとに異なる事情や困りごとがあるため、周囲の聞き込みや「見聞録(ジャーナル)」で歴史などを予習しておくと、掲げる公約をどのようにすれば良いか見えてくるかもしれない。

みんなのお家「鎧戦車」で出来ること

そんな選挙活動になくてはならない存在は、やはり“足”だ。
主人公たちは、移動手段の一つとして、高速で地上を爆走する住居兼戦車の「鎧戦車」に乗ってレースに参加する。この鎧戦車の中では、クエストの一覧を見ながら行先を決めたり、移動中に家事をこなしたり、仲間と交流して絆を深めることができる。

行先にたどり着くまでは何日もかかるが、一定までストーリーを進めると今まで足を運んだことのある主要な都市まで一瞬で移動するファストトラベル機能も解放される。

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鎧戦車の中にはさまざまな設備が置いてある。「洗濯機」では、時間を消費して主人公の最大MPを永続的に上昇させられるほか、「調理台」では仲間にレシピを教えてもらいながら、店ではなかなか入手できない強力な回復アイテムとなる料理を作れる。

そのほかにも、植物の種を植えて増やしたり、本を読んで感性を磨いたり、お風呂に入ってステータスを上昇させるといったくつろぎ要素もある。時には、仲間と語り合うことで絆レベルを深めることも可能だ。

なお、運転手である「ニューラス」に各地で手に入れた遺物を手渡すと「ガンナー」のアーキタイプに目覚めるほか、鎧戦車で敵を爆撃するといった機能も解放される。

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また、本作には「王の資質」というステータスが主人公に設定されている。

「王の資質」はクエストを達成したり、街中の人に話しかけたり、鎧戦車の中で読書や交流をすることで上昇するステータスだ。作中ではステータスが一定の数値に達成しないと絆レベルを上げることのできない人物も登場する。

主人公のステータスは度胸足らずで世間知らず、常に余裕がなく、言葉足らずで誤解を生み、頭が固いという酷い状態からスタートするため、率先的に上げてやりたい所だ。

■旅の道中で出会う人物や絶景ポイント

そして、旅をする上で外せないのが絶景ポイントだ。
鎧戦車で旅をしていると、時に想像を絶する景観を拝める場所が存在する。

旅の一行もその景色に目を奪われ、各々感じたことをコメントしてくれる。

仲間の1人であり、主人公たちが搭乗する鎧戦車を開発した「ニューラス」は絶景の絵を描いて主人公に渡してくれる。旅の道中で出会った者の中で、主人公たちの旅路がどのようなものか気になっている人に渡してみるのも一興だ。

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なお、移動中の鎧戦車は地上を歩くよりは安全であるものの、主人公が参加しているのは熾烈な王位争奪戦。他の鎧戦車に乗っている者たちが襲撃してくることもある。

中でも筆者が印象的だったのは「若者に課税を!老人に富を!!」という、赤裸々にもほどがある公約を掲げて戦う老戦士のゴダードさんだ。現実の映し鏡って、そういうことなの!?

ちなみに、ゴダードさんは通常の種族よりも長命であることが特徴のローグ族なため、彼を王にしてしまうと超絶長生き老人のために全種族が働き続ける地獄のような世界になってしまうため、ここはなんとしても阻止する。

先手を打って弱点を穿つ!アクションとコマンドバトルの融合した戦闘システム

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さて、ここからは本作のゲームシステムについて紹介したい。
まずは戦闘システム。本作のバトルは基本的にフィールドで主人公を操作し、敵を攻撃したらコマンドバトルが開始されるという流れだ。

敵や味方にはそれぞれ弱点属性があり、装着するアーキタイプによって武器の種類や攻撃範囲も異なる。弱点を突いた攻撃で敵を攻撃すると体力を削りやすく、ひるんだ状態でコマンドバトルを開始すると、敵が「気絶」状態になり有利な状況で戦える。

逆に、敵から先制攻撃を受けてからバトルに入ってしまうと敵の攻撃から戦闘が始まってしまう。そのため、1ターン目から壊滅状態という状況も起こり得るため注意したい。

また、戦線には前列と後列という概念があり、後列に下がれば近接攻撃の威力は下がるがダメージもくらいにくいという特徴がある。

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ガリカに周囲をスキャンしてもらうと、一度戦った敵の危険度を色で教えてくれる。初めて出会う敵は白く光り、青く光る敵は格下となる。青く光る敵は、コマンドバトルに入らずともフィールドの通常攻撃のみで倒すことができる。黄色く光る敵は同格の相手で、赤く光る敵は格上なので慎重に挑もう。

コマンドバトル画面では、画面上の宝石のような見た目のプレスアイコンを消費して行動する。コマンドは通常攻撃、魔法やスキル、弱点属性で攻撃されてもひるまず耐えれる防御や、アイテムの使用、プレスアイコンの消費を抑えて次のメンバーにターンを移すといった行動ができる。

攻撃には斬、突、打といった物理攻撃のほか、火、氷、雷、風、光と闇などの属性がある。敵の弱点属性を突くことでプレスアイコンをあまり消費せずに行動できるので、連続して使用することで敵に一切行動をさせずに勝利することも可能だ。

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逆に、敵に弱点を突かれると絶望的な状況となる場合もある。ただし、本作の戦闘は最初からいつでもやり直せる優しいシステムなので、ゲームオーバーを恐れず下準備をしっかりして敵に挑もう。

また、パーティメンバーが修得しているアーキタイプによっては協力技「ジンテーゼ」が発動可能だ。この技は行動力であるプレスアイコンを1つではなく多数消費するが、その分威力も効果も絶大なものになる。

……と、ここまで書くより実際に遊んでみた方が体感しやすいと思うので、気になった方はぜひ体験版を遊んでみてほしい。

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なお、ダンジョン内にはセーブしたり、仲間と現状確認できる休憩ポイント「マグラの穴」が配置されている。本作のダンジョンは一つ一つがしっかり作られているので、途中で冒険を切り上げたい時などに活用したい。

しかし、アーキタイプは多数あり、どのような組み合わせでいけばよいのか迷う時もあるだろう。そういう時は「旅人の声」機能を使うと良い。

本機能では他のプレイヤーがどのようなレベルや編成でダンジョンに挑んだのかを見ることができるため、参考にしよう。

アーキタイプのことが知りたいなら「アカデメイア」へ

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ある程度ゲームを進行させると、主人公は「モア」と名乗る人物の書斎「アカデメイア【※】へと訪れる。ここでは、古の魔法「アーキタイプ」について講義を受けられるほか、装着するアーキタイプを付け替えたり、新たに修得することができる。

さらにゲームを進めると、アカデメイアに寄らずともアーキタイプを履修できるようになる。以降アカデメイアには、アーキタイプの概要を知りたい時、モアからの依頼を受けに行きたい時に行けばよい仕様となる。

アーキタイプを履修するためには「MAG」というポイントが必要になる。MAGは戦闘後に獲得できるほか、誰かと交流する際に良い選択肢を選んだ時に増加する。そのほかにも、MAGは自身の装着するアーキタイプに別のアーキタイプのアビリティを習得する際にも使用する。MAGは、余った際には街でお金に換金することもできる。

※アカデメイア
現実においては古代ギリシャにて、哲学者プラトンによって設立された学園。「アカデミー」の語源ともなった。

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また、アーキタイプにはより高い能力を持った上位種が存在する。

あくまでも下記は一部の派生となるが、アーキタイプの上位種は下記のようにパワーアップしていく。

・戦士を原型としたファイター→ソードマスター→サムライ
・魔術師を原型としたマジシャン→ウィザード
・探索者を原型としたシーカー→マジックシーカーなど

先述したように、アーキタイプを履修するためには「美徳」を持った人物との交流が欠かせない。さまざまな人物と絆を育み、絆ランクを上げてさらに上位のアーキタイプを履修できるようになろう。

なお、最初のアーキタイプを修得したら「アカデメイア」でどのような能力を持っているのか確認できる。

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ちなみに、「アカデメイア」では虎柄の猫プラトーちゃんをナデナデすることもできる。熾烈な旅の最中、ふかふかの猫ちゃんを思う存分愛でて癒やされよう。

オシャレすぎて溺死しそうなメニュー画面。実は意外と便利だった

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さて、発売前から話題になっていたメニュー画面です。いやぁ~オシャレ!オシャレに溺れる!

上からキャラクターが使用できるスキル、アイテム、装備、パーティメンバー、支援者、依頼一覧、カレンダー、用語や種族についての解説が掲載されたジャーナル、グラフィックやBGMなどの設定が変更できるシステムが並べられている。

メニュー画面は、各項目がキャラクターの胴体部位がズームアップされる仕組みとなっている。スキル一覧画面では、各キャラクターの手がズームされる。1人1人違う作りで細かい。

しかし、こんなにオシャレで大丈夫なの?……使い辛くないの?と心配される方もいらっしゃることでしょう。安心してください。

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画面の右下を御覧ください……そう、赤い枠で囲まれている、そこです。
上記のハチャメチャにオシャレなメニュー画面ですが……実はここに大体集約されています。

支援者の一覧が「←」、セーブが「↑」、依頼リスト一覧が「→」など、アーキタイプの修得やアイテム・スキルを使用する際にメニューボタンを押せば良い親切設計だ。先述したように、アーキタイプもこのメニュー画面から変更できるようになります。

このショートカットキーを使い続けていると、どのボタンがどのメニューかだんだん身体になじんでくるため、直感的にメニューを使いこなせるようになります。

音楽がすげぇ!!!独特なBGMな上に通常戦闘BGMだけで複数も用意

さて、ここまで序盤の流れやゲームシステムについて紹介してきたが、本作の特徴はまだまだたくさんある……。

中でも特徴的なのが、幕張メッセにて開催されたイベント「東京ゲームショウ2024」でも話題になった「リアルだいそうじょう【※】と言われた本物の住職である本良敬典氏が熱唱する本作の楽曲だろう。

※『真・女神転生』から『ペルソナ3』『4』『5』にも登場した即身仏をモチーフにした悪魔の一体。自身を回転させながら対象を即死させる強力なスキル“回転説法”を使う。

本作の戦闘BGMはボス戦を除き、通常戦闘BGMだけでも複数用意されている。

普通に敵と接触して戦闘を開始したもの、有利な状態から戦闘に入ったもの、敵に先制攻撃された不利な状態から始まったものなど。それぞれ声色の高さや雰囲気が違っている。妖精のガリカが状況に合わせて音楽を鳴らしてくれていると考えると、なんだか感慨深い。

壮大なオペラやオーケストラを背景に、本物の住職がエスペラント語を元にした架空の言語で、読経しているかのようなボーカル。な、なんだろう……この不思議な感覚。お経、カッコいいぞ!?

本良氏は、ゲームイベントとしては「ATLUS TGS2024 MEDIA BRIEFING」の第2部『メタファー:リファンタジオ』完成披露会にて初登場。本物の住職がくるくると回転しながら歌唱ライブを披露したことから、アトラスファン、ひいては『女神転生』ファンからは「回転説法だ!」「リアルだいそうじょう!」と話題を呼んだ。

ガリカは俺の嫁

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次に、序盤から使命を帯びた主人公について案内役を担当してくれるガリカの魅力について語りたい。恐ろしいニンゲンとのバトルや過酷な旅路を乗り越えられたのは、間違いなくガリカのおかげだ。

冒険、戦闘、旅行、潜入、宿泊、読書、料理……いついかなる時でも一緒のガリカ。フィールドでの探索中は周囲をスキャンして状況を明確にしてくれて、戦闘中は敵の弱点を教えてくれる。

絶景を見た時には主人公のかわりに大きくリアクションをとってくれるし、一緒に本を読むときは読み聞かせてくれるママみもある……。料理をする時はそれとなくヒントを与えてくれるし、戦闘シーンではいつの間にか鎧を身に着けてたり衣替えも怠らない……。

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ガリカのおかげで生きてる

ゲーム内でもそう発言できるように、主人公にとってガリカの存在は本当に大きい……。

哀れな子犬状態だった主人公が生き残れたのは間違いなくガリカのおかげ。
ありがとうガリカ。


主人公が学生として青春を過ごしながら、さまざまな人物と交流して強くなっていくRPG『ペルソナ』シリーズの3、4、5を手がけたスタッフの送る完全新規タイトル『メタファー:リファンタジオ』……。

中学生の頃から成長に合わせて『ペルソナ3』4、5とプレイしてきて、「俺の青春はペルソナだ」と言わしめる筆者にとって、これが発売されるのはもう事件に等しい出来事でした。

本作のディレクションを務める橋野桂氏は、2019年に弊誌のインタビューにて作品には「何かを伝えて、相手に何か影響を与えて、ちょっとでも幸せになったり、参考にしてもらいたいという気持ちが、どこかに必要かなと思います」と熱く語っていました。

これまで学生たちの物語であった『ペルソナ』シリーズだが、『メタファー:リファンタジオ』の主人公は暴君に国を任せる訳にはいかないと選挙活動に身を投じます。

そして、幻想世界に生きる住民は、種族こそ違えど、どこか我々の生きる現実世界と共通点のある面々です。

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「誰もが平等で、安全に暮らし、生活に貧富の差はない。
 故に争いもない。全員が助け合うべき仲間なのだ」と、幻想小説には書かれています。

もし、本当にそのような世界があるのだとしたら、現実世界からしても理想郷です。ただ、幻想世界の彼らが勇気を振り絞って自ら行動を起こしている姿を見ると、現実でも、世界を変えるためには何かできることがあると感じさせてくれます。

『メタファー:リファンタジオ』を実際にプレイすることで、本作は『ペルソナ』シリーズから受け継がれた「メッセージ性」が色濃く残る作品だと感じました。

「幻想とは、現実に影響をもたらさない、無力な作り物か?」……その答えを知りたい方は、ぜひ『メタファー:リファンタジオ』をプレイしてもらいたい。

ライター
MOTHER2でひらがなを覚えてゲームと共に育つ。 国内外問わず、キャラメイクしたりシナリオが分岐するTRPGのようなゲームが好き。 Divinity: Original Sin 2の有志翻訳に参加。 ゴーストオブツシマの舞台となった対馬のガイドもしている。 Xアカウント(旧Twitter)@Tsushimahiro23
編集者
ゲームアートやインディーゲームの関心を経て、ニュースを中心にライターをしています。こっそり音楽も作っています。

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