最近、3DダンジョンRPG『ウィザードリィ ヴァリアンツ ダフネ』(以下、ウィズダフネ)にすっかりハマってしまっている。
正直「『ウィザードリィ』をキャラガチャありのスマホゲーで出します!」と聞いたときにはかなり不安に思ったものだが、いざ触ってみると、なかなかどうしてこれが面白いのだ。
そもそも『ウィザードリィ』といえば、とにかく渋いイメージのRPGだ(少なくとも日本国内では)。自分でキャラメイクした冒険者たちでパーティを組んで、ひたすら暗いダンジョンに潜っては探索と戦闘を繰り返し、戦利品を持ち帰って仲間を強化しては、徐々に、徐々にその深層へと向かっていく……。
これをスマホゲーにすると聞けば、まず思うのは「え、それってキャラは自分で作るんやなくてガチャで引いて、なんや雰囲気も今風に、めっちゃライトな感じになるんやろ? それってホンマにウィザードリィか?」ということだろう。とりあえず過去作の経験者なら、ほとんど皆がそう思うはず。
実際のところ筆者もそう思った。しかし、いざ触ってみたら……様子がおかしい。
私「とりあえずガチャ回すか」
ゲーム「ではこちら、キャラを骨から蘇らせて仲間にする“遺骨ガチャ”です」
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……
……あれ?なんかこれめっちゃ『ウィザードリィ』って感じの世界だな!?
……いやいや、まあ、これだけじゃまだ判断できない。
キャラメイクできないワケだしな……まあ冒険に出てみよう……。
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……
……あれ?なんか今までの『ウィザードリィ』のなかでも、群を抜いて“冒険者してる感”あるな!?
さらに『ウィザードリィ』らしい難度の戦闘や、ハック&スラッシュ(ハクスラ)の味もしっかり出ている。なんか本作は思った以上に『ウィザードリィ』……いや、従来作品の作りを踏まえつつも、しっかりと独自の特徴を持った「進化形」ともいえる『ウィザードリィ』になっていたのだ。
とくに上にも書いたとおり、仲間のキャラモデルが追加されたことによって、パーティーの中のひとりの冒険者として自分が冒険をしているという「没入感」がスゴい。正直、これは従来作品にも他の類似作品にもなかった、画期的な発明と言って差し支えないレベルの表現だと思う。
もちろんスマホゲーらしいチューンも各所に見られて、ところどころ現代的なアレンジもあるが、先に挙げたガチャ要素のように、いかにもなシステムは上手く世界に馴染ませられていて、妙な違和感はほとんどない。
というわけで、気づけば仕事に差し支えるくらい『ウィズダフネ』にがっつりハマりこみ、メインパーティーにとどまらず第二・第三パーティーまでがレベルキャップに達する程度の経験値を稼いでしまうくらいには、本作という奈落に飲み込まれてしまっていたのであった。
以前執筆した先行プレイレポートでもそのあたりを書いているので、気になった方はそちらもあわせてお読みいただけると幸いだ。
さてそんな本作だが、じつは昨年10月のサービス開始から約4か月間、長らく大規模アップデートが来るという発表がなかった。
近年のスマホゲーとしては珍しい展開の遅さになるが、その背景を簡単に説明すると、これは昨年のとある時期に、サービス当初からあった不具合の改善のため全体のスケジュールを見直すという発表があったためだ(詳細については後述する)。
ともかくそういった経緯もあって、本作はなかなか大きなアップデートの発表がなく、もの寂しい時期が長く続いていた。しかし、ついにこのたび満を持して初の大型アップデートとなる新たな奈落「不落の城塞」が登場すると発表があった。
そこで今回はそんな新アップデートに先駆け、メインストーリー上のダンジョンとなる第一・第二の奈落の振り返りを行ったうえで、第三の奈落「不落の城塞」の先行プレイレポートをお届けしていく。
本作におけるダンジョン探索の魅力や、新たに登場する第三の奈落がこれまでとはどう異なるのかといった部分を、今回のレポートを通じてぜひ感じ取っていただきたい。
ではいざ奈落へ。
Entering Abyss of “Wizardry Variants Daphne”
記事内で使用している第三の奈落「不落の城塞」の画像は開発中のビルドで撮影したものであり、実際の製品とは異なります。
※この記事は『ウィザードリィ ヴァリアンツ ダフネ』の魅力をもっと知ってもらいたいドリコムさんと電ファミ編集部のタイアップ企画です。
最初のダンジョン、だけど決して甘くない。最初から歯ごたえしっかりな第一の奈落「はじまりの奈落」
あらためて、まずはこれまでに実装されている第一・第二の奈落の振り返りから行っていこう。
第一の奈落である「はじまりの奈落」は、プレイヤーの分身となる主人公がオープニングで目覚める場所であると同時に、最初に攻略することになるメインストーリー上のダンジョンだ。
物語冒頭、屍となっていた主人公はこの奈落の中でなぜか生き返り、記憶喪失となったまま奈落の中をさまよい始める。そしてその道中、主人公は本作のガイド役となる元冒険者の幽霊少女・ルルナーデと出会い、彼女とともに地上へと脱出することになる。
そのころ地上の王都ルクナリアでは、奈落に潜むという大異形によって国王が連れ去られ、大きな混乱に陥っていた。ルクナリアに到着した主人公は、冒険者ギルドにて見つけた「国王救出」の依頼の遂行を名目に、奈落に眠る自らの記憶の手掛かりを求めて、本格的な奈落攻略に挑み始める……というのが「はじまりの奈落」のストーリーだ。
「はじまりの奈落」は最初のダンジョンということでチュートリアルを兼ねた作りとなっている。しかし、その攻略難度は決して甘くはなく、しっかりと歯ごたえのあるものになっている。
とくにダンジョン序盤から遭遇する剛腕のホブゴブリンや、シリーズ定番の首狩り兎・ボーパルバニーといった敵の一撃は強力で、うっかり命を奪われるシチュエーションもしばしば発生する。
スマホゲーとはいえ、そこはしっかり『ウィズ』らしい手触りだ。
そしてそんな敵たちを倒していけば、やがては見返りもしっかり手に入るようになっている。宝箱から手に入れた戦利品による装備更新や、レベルアップによる呪文習得が起こると戦力が一気に強化され、苦戦していた敵との力関係は、ある瞬間から一気に逆転することになる。
こういったハクスラ要素による成長の実感もまた『ウィズ』シリーズの醍醐味のひとつだ。本作においても、そんな「らしさ」はしっかりと味わえるようになっている。
このほか本作の独自要素である、主人公の特殊能力「逆転の右手」を使ったギミックも面白い。これは壊れた物を直したり、死体を復活させるといった「逆転」を行うことができる能力だ。
「逆転の右手」は、ダンジョン内に限らず、ゲーム全体を通して、新たなルートを開拓したり、戦闘中の仲間の死をなかったことにしたり、ガラクタからアイテムを修復したりと、あらゆる場所で活躍する。
この能力は、作劇上の演出としてシンプルに面白いのもそうだが、戦闘中の理不尽な事故の回避や、ガチャのシステムを世界にうまく馴染ませるといった、展開に対してプレイヤーの納得を担保するという方向でも活用されており、本作にさまざまな芳醇さを与えている。その出自の謎も含め、興味深い能力だ。
そして、本ダンジョンのストーリーを進めてゆくと、これまでの『ウィザードリィ』にはなかったあるシステムも解放され、本作の面白さはさらに広がりを見せることになる。
その詳細はネタバレとなるため伏せさせていただくが、少なくとも筆者は初見の際「これアリなの!?」となって、一気に本作の世界に引き込まれることとなった。気になった方はぜひ実際に遊んで確かめてみてほしい。
水を使ったギミックが特徴の第二の奈落「交易水路」。戦術の幅が広がり、ハクスラの楽しみも一気に加速する
続いては第二の奈落「交易水路」について振り返っていこう。
本ストーリーが始まるのは、第一の奈落攻略後だ。あるとき主人公が冒険者ギルドへ向かうと、そこには3つの依頼が届いていた。その依頼はいずれも、港町グランドレギオンでとある人物を探してほしいというものだった。
ひとつは王家から。ひとつは聖堂教会から。ひとつは海運師団(提督勢力)から。いずれも、この国で実力を発揮する勢力だ。第二の奈落に挑む「交易水路」編では、プレイヤーはこの中からいずれかの勢力の依頼を受け、港町グランドレギオンへと赴くことになる。
しかしグランドレギオンに到着した主人公たちは、そこである異常事態を目撃し、それをきっかけに新たな奈落の攻略に挑んでいくことになる……というのが第二の奈落「交易水路」のストーリーだ。
交易水路は、その名にもある通り「水」をテーマとした町中の探索を主とするダンジョンだ。この奈落では魔力を帯びた水神像によって、ところどころで異常な水の流れが形成されており、冒険者たちを強制的に移動させる「流れる水」や、サハギンなどの水棲魔物が活性化する「水中」といったギミックが待ち受ける。
「はじまりの奈落」と比べると、敵もさらに強力となり、より長時間の探索が必要なシチュエーションも発生していく。あらたな戦略・戦術の構築が求められるようになり、呪文の節約やそれに合わせた装備の選定など、これまでにはない戦い方をするといったことも必要となってくる。
また敵が強力となる一方、「交易水路」では戦利品もさらに豪華となり、ハック&スラッシュの楽しみも一気に加速していく。主人公の職業の追加開放、本格的な装備強化の開始、レベルキャップの解放にともなうスキルの増加などもあって、本作の遊びの幅はここから一気に広がりを見せていく。
世界を侵食していく異変、謎めいた人魚伝説、そして町を抜けた先にあるという不可思議な闘技場の噂。その先に待つものとは……おおっと、これ以上はネタバレになるので触れないでおこう。
いよいよ登場する第三の奈落「不落の城塞」。ストーリーは序盤から急展開、戦利品には忍者専用装備も登場
そして次期アップデートにて満を持して登場するメインストーリー上の新ダンジョン、それが第三の奈落「不落の城塞」だ。
このたびの舞台となるのは砂漠地帯の入り口にある城塞都市・グアルダ。冒険者たちは今回、グアルダ城塞を襲っているという大異形の事件を解決してほしいという依頼を受け、この地に赴くことになる。
今回のストーリーでは、グアルダ城塞に到着してまもなく、ある急展開が待ち受けている。これから遊ばれる方々に配慮して多くは語らないこととしたいが、実際に体験した感想としては「そうきたかーーーっ!」と思わず興奮せざるを得なかった。
またその後のストーリーも、なにやら全体に不穏さを感じさせるものとなっており、今回もまた、ただ攻略するだけでは終わらない、ひと捻りありそうな展開の気配が漂い続ける。
どのような話となるか、お楽しみに。
新たなダンジョンのギミックとしては「落とし穴」(いわゆるシュート)や、視界の中に入ってはいけない「番兵」といったものが登場し、ダンジョンも敵も、これまでと比べても一層手強いものとなっている。
とくに新たな敵に関しては、これまでにない手数や攻撃手段、攻撃範囲などを備えており、既存の編成や戦術でゴリ押そうとするとかなり苦戦する場面もある。というか実際のところ、ダンジョンの床にパーティーメンバーの死体が転がることも少なくなかった。
より本格的な攻略に挑むとなれば、「不落の城塞」で手に入る装備などの調達や、これまでにない編成・戦略も試していく必要がありそうだ。まったく悩ましいことだが、それでこそ奈落は面白いというものだ。
なお本ダンジョンでは、最近登場した「赤ひげ」や忍者の「キリハ」「リンネ」といったキャラも活躍しやすくなっているという。今回は用意されたデータの関係で試せなかったが、実際にプレイしていても確かに彼らには出番がありそうな予感がした。正式アップデートの暁には、ぜひ試してみたいところだ。
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また、このほか冒険の見返りであるアイテムにも、さまざまな新規装備や換金アイテムが登場する。
戦利品となるガラクタからは特典装備以外では初となるランク5の「冥鋼」装備を始めとしたさまざまな装備のほか、忍者専用の装備となる投擲忍具や忍者刀が出現。また換金アイテムにも「紅」の名を冠する宝石といったものの存在が確認できた。
新装備の性能については今後のお楽しみということで伏せさせていただくことにするが、しばらくはまた、よりよい装備を求めてダンジョンに潜る日々が続くことになりそうだ。
というわけで今回は、第一・第二の奈落の振り返りとともに、新アップデートで追加される「不落の城塞」の先行プレイレポートをお送りさせていただいた。実際に触ってみると相変わらずの歯ごたえで、筆者個人としても正式アップデート後に自分のデータでプレイするのが今から楽しみになった。
これまでを振り返ってみると本作は、サービス開始後しばらくは不具合も多く、とくに第二の奈落以降では進行不能となるような不具合も複数発生し、新イベント実装のたびにそういった不具合が新たに見つかるといったことも日常茶飯事だった。
当時の開発・運営体制が十分でなかったことについては、それなりにゲームを進めたプレイヤーならば誰もが感じ取っており、筆者自身も実際いくつかの不具合に直面してそれを感じていた。そうして結局、昨年11月には当面の新規要素ついては実装予定を見直し、体制の再編成とともにまずは状況の改善に注力するという発表がなされることとなった。
しかし、現在はそういった不具合もほぼほぼ解消され、また機能やバランスの改良も進んだ。所持品関連の絞り込みUIの調整、期間限定ダンジョンのドロップアイテムの調整、倉庫の拡張機能の追加といったアップデートにより、ゲームの快適度もサービス初期と比べて全体的にかなり改善されている。
そしてそれらを経たうえで、ついにやってくる「不落の城塞」の実装。本作をプレイする冒険者たちが長らく待ち望んだ大型アップデートであり、新体制の成果の確認のしどころにもなるのは間違いないだろう。
なお本文中には書ききれなかったが、同アップデートではこのほかにも、レベルキャップを60まで解放する「鋼等級」の等級昇格試験や、奈落の攻略を進めることで発生する、各勢力の新サブクエストといったものも登場する。
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各勢力の新サブクエストについては、今回の先行プレイでは確かめる機会がなかったが、ドリコムからの事前情報によると、こちらはこれまでの勢力サブクエとは異なり、初のダンジョン攻略タイプになっているとのことだ。どのような内容と報酬が待っているのか、気になるところである。
いよいよ初となる大型アップデートを迎え、ある意味ここからが真の本格始動となる『ウィザードリィ ヴァリアンツダフネ』。新体制で実装される新たな奈落がどのように「深化」しているか、ぜひその目で見届けていただきたい。
『ウィザ-ドリィ ヴァリアンツダフネ』は現在、Android、iOS向けに基本プレイ無料で配信中だ。
奈落は口を開けて、君を待っている。