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脊髄反射で生きる強者“武侠”のMMORPG『逆水寒』で最高の料理人を目指す。自ら火を噴いて調理するし「復讐は絶対に果たしてやる」と思ってる。それが武侠だ

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本稿は、まだ誰も遊べない武侠MMORPG『逆水寒』で最高の料理人を目指す記事である。

……何を言っているかわからないと思う。

なぜまだ誰も遊べないのか。そもそも「武侠(ぶきょう)」って何だ。
当然の疑問だろう。しかも、最高の料理人を目指してどうするのか。

それを知るためには、まず「武侠」とは何ぞや、ということについて語らなければならない。

『逆水寒』先行プレイ:脊髄反射で生きる強者“武侠”のMMORPGで最高の料理人を目指す。ムカつく奴はブン殴る。それが武侠だ_001

「武侠(ぶきょう)」とは、いわゆる中国の時代劇に登場する「義」に生きる者であり、武力で世界を渡り歩く者だ。

時に「不正を見かければ助けに入るヒーロー」のような武侠もいれば、「ムカついた奴には鉄拳制裁を喰らわせる」というアウトロー的な武侠も存在する。

というのも、武侠における「義」とは、恩には恩で報い、仇は取りにいくという世界を表現している。別の言い方をすると、「報恩(ほうおん)と報仇(ほうきゅう)」だ。

恩に報いるという「報恩」は日本人にも馴染みのある考え方だと思われる。
「報仇」がヤバイ。武侠における「報仇」とは単純な仇討ちとはレベルが違う。

まず、感情がクソデカい。

中国の武侠世界では、「悪は徹底的に打ちのめす」という価値観で生きている。
彼らは本気だ。この、武力で世を渡る者たちが息づく世界を「江湖(こうこ)」と呼ぶ。

そして、「武侠」は空を飛ぶ。
中国の世界を高速で飛び回り、川や湖の水面をパシャパシャと華麗に優雅に走り回ることができる。

「なぜ武侠は空を飛べるのか?」と問われたら、それは「武侠だから」と返すしかない。彼らもかつては一般的な人間だったが、特殊な修練(武功)を積んだことで空を飛べるようになった。そういうものなのである。

つまり、『逆水寒』は中国時代劇風の世界で空を飛びながら「復讐は絶対に果たしてやるからな」という決意めいたものを抱く武侠になれるオンラインゲームということだ。

本連載ではそんな『逆水寒』を遊んで、“最高の料理人”を目指して武侠の世界を生きていくことにした筆者の熱い思いをもって、本作の魅力をお伝えしていきたい。

これは、私が「武侠」の世界で最高の料理人になるまでの物語だ。

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……ちなみに「まだ誰も遊べない」というのは、本作が日本ではまだ正式にリリースされていないからである。

MMORPGなのに(現時点では)他のプレイヤーとは遊べない状態でのプレイをお届けすることになってしまうのだが、その点はご安心いただきたい。

本作はソロでも間違いなく楽しめるし、それこそ一人では遊びきれないほど膨大なコンテンツが用意されている。また、連載中には後日実施予定のCBT環境でのマルチプレイの様子もお届けする予定。ぜひ、正式リリースまでの「予習」として、本連載をお楽しみいただければ幸いだ。

文/夏川77
編集/TsushimaHiro

※この記事は『逆水寒』の魅力をもっと知ってもらいたいNetEase Gamesさんと電ファミ編集部のタイアップ企画です。


自由度高めな“身分”選び。「我こそ中国一の者なり」と名乗りをあげたい

次に、「なぜ料理人になるの?」という疑問に答えなければならないだろう。

本作には、自ら『逆水寒』の街中で生活している人たちと同じように一種の職業に就くことができる「身分」というコンテンツが存在する。

私はせっかくなので、何かひとつの「身分」を極めて「我こそ江湖(こうこ)随一の者なり!」と言える何かになってみたいという野望があった。

とはいえ……どんな「身分」があるのだろうか?と、見渡したところで「料理人」「調味師」「食通」といった何やら楽しげな身分が目に入ってきた。

「料理人」
北宋時代(960年~1127年)の江湖を、お手製の中華料理とともに渡り歩く……。
想像してみたら、なんだか楽しい道中になりそうではないだろうか?

殺伐とした江湖の世界を、一介の料理人として武侠の世界を渡り歩くのも一興ではないか。

中国の故事が記された小説『枕中記(ちんちゅうき)』には、「一炊の夢」という言葉がある。これは、栄華栄耀を極めた男が目を覚まして、「すべてが夢だった」と気づき「寝ていた時間も飯が炊けるまでのほんのひとときでしかなかった」と悟るお話だ。

本稿での料理人プレイは、『逆水寒』の正式サービスが始まる前の夢のようなものだと言えなくもない。

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主人公がお手製料理を作っている図。完全に炎に覆われてしまっているが、炎の向こう側に主人公がいる

さて、実際に料理をしてみると、なんと主人公自ら炎を噴出して調理するというとんでもクッキングに突入。最初は作れるものも少なく、「草魚の四合スープ」「石髄スープ」「西湖の酢魚」「魚の照り焼き」といったものが調理可能。

最初に作れるメニューは、ほぼ魚とスープである。最高の料理人の修行は、ここからはじまる。

そう……「食」だ。食とは、生きとし生けるもの全ての基本だ。
不老長生への一歩は、日々の食事をおろそかにしないことから始まる。
江湖、いや、この世界の胃袋を掴みに行くんだ!!!

さて、一見、大道芸にも思えるこの技だが……実は、街中でも同様に「火吹き芸」を披露している芸人さんたちがいる。筆者は町でお酒を口に含み、「火吹き」の芸が上手くできないことを悩む芸人さんを発見。代わりにお得意の火吹き芸を披露することで、ことなきを得たというクエストも見られる。

なぜ、火を噴くことができるのか?察しの良いお方ならもうわかっていることだろう。
そう、これが「武侠」だからだ。

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ここで一つ補足しておきたいのだが、「武侠」というジャンルは、もちろん一枚岩ではない。小説をはじめ、映画やドラマなど、中にはシリアス路線にまっしぐらで、中には「空を飛ぶことのない武侠」も存在する。

「武侠」で共通している認識は、冒頭で説明した「悪は徹底的に打ちのめす」と登場人物が思っている点だ。そこは一貫しているし、ムカツく奴は、やはりブン殴る。

そして、本作のように魔法に近い技を繰り出したりするものも幅広く存在しており、主人公は火吹き芸以外にも、なぜか風や氷などの元素を操る能力を有している。しかも、なぜそれを使えるのかの説明はとくにされないままゲームが進行する。

つまり、『逆水寒』の「武侠」はムカつく奴はしっかり殴るし、火も噴くし、空を飛ぶのだ。そういうものなのだ。

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火吹き芸を代理人として披露し、感謝される主人公。
こうして、私は「火を噴く料理人」として中国に君臨することとなった。

料理人だけど殺人事件の解決もできる。暴れる奴は拳でわからせる

実は、本作『逆水寒』には同名の原作が存在する。

温瑞安(おんずいあん)という、1970年代から武侠小説を執筆し続けている大作家の小説が原作だ。温瑞安の代表作として、『四大名捕(しだいめいほ)』という小説のシリーズがあり、その中の一作が『逆水寒』なのである。

この『四大名捕』という字面を見て、中国小説に詳しい読者の皆さんであればすでに予測がついていることであろう。そう、温瑞安の『四大名捕』シリーズは「捕り物」が物語設定の主軸にある。

それをゲーム化した『逆水寒』で「捕り物」ができるのか?といったら……当然、できるわけですよ!

筆者は時代劇ミステリーが大好きなので、「ゲームで中国時代劇ミステリーを体験できないかな……」と常々思っていた。その夢が、本作ではきちんと叶えられるようになっている。

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本稿の主人公は“江湖一の料理人を目指す身分だが、多数ある身分のひとつに「判決」というものがある。この身分のレベルを上げると、やがて下手人を逮捕する役人である捕吏(ほり)としての身分が上級のものへと変化する。

身分はいくつでも掛け持ちが可能。この主人公のように、料理人として大衆の胃袋をキャッチしつつ、悪人を見つけ次第捕縛して、すみやかに役所に出頭させていくプレイもできる。

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この「判決」に関わる「捕り物」のサイドクエストはさまざまなものが用意されている。
迷子の猫を探すといった小粒なものから、殺人事件の事情聴取をしてたった一つの真実を見抜くこともできる。

この事件、もしかして犯行に毒が使われたのでは?と疑ったり、「食事で人様を不幸にするんじゃあないよ!! 主人公の拳が黙ってないぞ!!」と暴れまわるのも一興だろう。

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この時点で主人公は正式な捕吏(ほり)ではないので、事件の捜査には相方を務める役人が必ず同伴する。いわゆる、相棒というやつだ。

サイドクエストを進めると、主人公が華麗に事件を解決して真相はみごと暴かれ、下手人は逮捕……おとなしく捕縛されずに暴れた場合は、武侠お得意の“鉄拳”でわからせて一件落着!
役人が下手人を捕らえて、一件落着!めでたしめでたしだ。

映画やドラマで見た爽快で痛快な展開が、『逆水寒』で体験できた!嬉しい!

現代人にとっては「こう来たらこう来るでしょ」と察するトリックであっても、当時の科学技術や知見を活かして、主人公や仲間たちが苦心しながら事件を解決に導くという王道の展開が爽快でハマってしまう。

ちなみに、温瑞安の作品は別のシリーズであっても世界設定や登場人物の一部が共通していて、互いに乗り入れるようなスピンオフ的関係性を持つものもある。ゲームとしての『逆水寒』は、1冊の小説が原作というよりは、温瑞安の一群の小説を背景にしたタイトルなのだと理解してもらえると良いだろう。

武侠は空を飛ぶ。料理人も優雅に飛ぶ。これが武侠

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空を飛ぶ存在といえば「ピーターパン」が世界的に有名なキャラクターだと思われるが、中国では「小飛侠」という翻訳が当てられている。「侠」は空を飛ぶ、それが当たり前なのである。

さて、冒頭で「武侠」は空を飛ぶと説明したが、もちろん『逆水寒』の主人公も空中を高速で飛び回れる。

アクロバティックな不審者となって人様の頭上を駆け抜け、高楼から高楼へ飛び移る未確認飛行物体になっていても通報される心配はない。どれだけ縦横無尽に飛び回っても落下ダメージが存在しないので、いくらでも飛び跳ねられる。

最高だ!!これぞ、筆者が武侠ゲームで体験したかったアクションだ。

日頃から「武侠みたいに飛びたい」という夢を抱いていた筆者の願いは、驚きの早さで叶った。
では、次は江湖のてっぺんを目指してみよう!

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美しい……
天を貫く岩山と、見渡す限りの雲海。これぞ中国の浪漫とも言うべき光景だ。
思わず演舞してしまった。

一応、かいつまんで説明しておくと、武侠が空を飛ぶメカニズムとして「軽功」という用語がある。

軽功を習得すると「体重が自在に変えられる」といった理屈のようなものは存在するのだが、冒頭で説明した通り、これはおよそ常人には再現できない所業だ。できるのは「武侠」だから。

プレイヤーは「自在門」という門派で修練を積んだ武侠のはしくれ。当然、「軽功」で飛び回れる。街中をビュンビュン高速移動できるのも、これを習得しているからだ。あるいは、フワフワと優雅に舞うこともできる。

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これが、個人的にはかなりハマった。

目的地までそれなりに距離があっても、ジャンプ・ジャンプ・ダッシュで空中をビュンと一直線に移動できる。道路状況など関係ない。どれだけ建物や木が入り組んで配置されていても、全てを無視して移動することができる。非常に爽快だ。

筆者は武侠作品(映画やドラマなど)を見ていて、「武侠を操作できるゲームをやってみたいな~」と前々から思っていた。その夢が『逆水寒』のおかげで叶った、と言っていい。

大げさな話ではなくそう思えたのは、『逆水寒』の街並みの作りがとても緻密だったからだ。『逆水寒』で歩き回れる都市はとにかく賑やかで、人が多い。この街に人々の営みがあり、人間関係やさまざまな事件が発生していることが感じられる。

そう、『逆水寒』の魅力はアクション部分だけではない。武侠作品の王道的なメインシナリオがあり、膨大な数のサブクエストがあり、主人公はこの『逆水寒』の世界の一員なのだ、という没入感を高めてくれるコンテンツが非常に豊富なのも大きな魅力だ。

そして実際、主人公は膨大な量のサイドクエストに関わることができる。

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その非常に密度の濃い街の上空を、ビュンビュンと飛び回れるのである。筆者にとっては、ドラマや映画で見て憧れた光景そのものだった。

もし街中に建物がほとんどなかったり、住民が全然いないようなスカスカな光景だったならば、空を飛んだところで「まあ、ゲームだしなあ」という感想に留まっていたと思われる。
「これこれ、これがやりたかったんだよ!!」という思いと合致するほど作り込まれていて、しかも落下ダメージが全然ないので、好き放題に空中遊泳を堪能できるのが『逆水寒』だ。
個人的にはもうすでに最高。

この軽功を駆使すれば、クエスト中の移動も苦にならず、サクサク進行。
たとえば、あるサイドクエストでは「この料理を届けてほしい」と依頼された。これぐらい、主人公の手にかかれば朝飯前どころか噴飯ものと言っていい。

筆者はキーボード操作が苦手なのだが、とくに行き詰まることもなく軽快なアクションを繰り出して移動することができた。目的地まで一直線にビュンッとジャンプしてお届け物の一丁上がりだ。

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気分は魔女……いや、武侠の宅急便である。

配達物に「これ嫌いなのよね」などとは決して言わないでほしい。
こっちは脊髄反射で生きる武侠なので、ボタンひとつで鉄拳のサイドディッシュを召し上がっていただくことも可能なのだ。

依頼人は迅速な配達にハッピー、お客さんは待っていたご飯が届いてハッピー、主人公はお駄賃がもらえて江湖の名声も高まってハッピー、の三方良しなクエストだった。軽功が使えるって最高だ!

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Eを押せばいつでも拳が飛んでくる、右下UIのサイドディッシュが豊富な料理人

北宋末期といえば水滸伝、あいつの恨みを勝手に代行して殴っちゃうのも良し

少し、マニアックな話をしてもいいだろうか?
次は『逆水寒』の時代設定についても触れておきたい。

『逆水寒』は北宋(ほくそう)末期の第8代皇帝である徽宗(きそう)が在位していた1100~1125年あたりの時代が舞台だ。

具体的にいつ頃が舞台となっているのか。主人公は元符3年(1100年)生まれの19歳ということがクエスト中に判明したので、計算してみると1119年らしいことが分かった。

だが、本当に1119年だとするとさまざまな矛盾が出て年表が噛み合わない。
ここでは具体的な西暦を特定するのは無粋であるとして、ぼんやりと「徽宗の時代」でサザエさん時空のように時が止まっていると解釈するのが良さそうである。

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▲清明上河図(北宋末期を描いたとされる画巻)張択端 パブリック・ドメイン,による)

端的に言うと、この北宋(ほくそう)は豊かな時代であった。
財政難になりかけた時期もあったが、農業の飛躍的進歩で生産力が大きく向上し、税制もさまざまに改革され、安定と繁栄を築いていた。

先代の皇帝が突然崩御したために、急きょ白羽の矢が立って帝位を継ぐことになったのが徽宗(きそう)である。

徽宗(きそう)は即位前から「風流公子」として知られる存在であった。
書画に堪能で風流趣味を持つために、“悪政を敷いた道楽者”というイメージを持たれがちだったのだ。

しかし、悪政の直接の原因を作ったのは徽宗に取り入ろうとした悪徳官僚たちである。
中国も、一枚岩ではない。

徽宗の時代に実施された有名な悪政として、「花石綱(かせきこう)」と呼ばれるものがある。国内の珍しい花や石などが徽宗に献上されるためだけに徴収され、民衆が運搬などの重労働に駆り出されたという一連の出来事を指す言葉だ。

この「花石綱」への恨みは、古典小説『水滸伝』でも取り上げられている。
そう、徽宗時代といえば『水滸伝』で英雄好漢が活躍する時代と同時代なのである。

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『逆水寒』の街中を散策していると、『水滸伝』で有名な登場人物に出会うことがたびたびある。それどころか、サイドクエストには『水滸伝』の人物にあれこれと世話を焼く内容のものもある。

『水滸伝』には「百八星」と呼ばれる108人の剛の者が登場するが、『逆水寒』はまだ百八星が梁山泊に結集する前の時代なので「こいつらがこの後に出会うんだなぁ」と想像して楽しむのもまた一興だ。

『水滸伝』ファンの方にはぜひ、『逆水寒』の汴京(べんけい)や杭州の街を散策してもらいたいと思う。

『水滸伝』で欠かせない悪役といえば、私利私欲で軍を動かしたりして権威を濫用した高俅(こうきゅう)と、その養子で相当に甘やかされて育った高衙内(こうがない)は外せないだろう。『逆水寒』での高衙内の活躍ぶりは目に余る……もとい、目を見張るものがある。

『逆水寒』の主人公にとって、高衙内は初対面の相手だ。
プレイしている身として『水滸伝』の某人物のエピソードを知っていると「代わりにシバいておきますよ!」と必要以上に息巻きたくなってしまう。

実際、『逆水寒』のストーリー的にも「こいつ殴っていいっすよ」と言わんばかりの選択肢が表示され、実際に殴ることが可能。これが武侠だ。

さらに、高衙内はNPCとして汴京の街中をぶらついているので、位置を特定してこちらから殴りに行くこともできる。

本作においての高衙内はフリーチャットが可能なAIが搭載されているNPCでもあるので、殴るどころか逆に好感度を上げて特別な関係になることも可能だ。

「ねえねえ高衙内、その頭の花飾り、今日もキマってるね! 刺身の上の食用菊と、どっちのがキレイだと思う!?」とだる絡みもできてしまう。それが『逆水寒』だ。

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画面右の一番上に表示されている「戦闘」を選ぶと、チャット相手と戦うことができる

街中でいきなりぶん殴られる。それが『逆水寒』の「武侠」

そういうわけで、「江湖中の人民の胃袋を掴みながら呪われた運命に抗いつつ、飛んだり跳ねたり、殺人事件を捜査してたった一つの真実を見抜いたりする江湖一の料理人」が誕生することとなった。

なんだか「要素が多い」と思われただろうか。
そう、この異常なまでの要素の多さが、『逆水寒』の世界の真髄と言える。

何しろ、このゲームは情報量が多い。あれやこれやと目移りしているうちに、気付けば自分も立派な汴京の住人のひとりになっている。中でも、筆者が印象的だったのは街中に歩いているAI搭載のNPCから発生するランダムイベントの数々だ。

一例として、街中を歩いていると、いきなり辻斬りにあって「28453」の大ダメージを喰らい、一気に体力ゲージが三分の一以下になるほどの致命傷を負うこともある。この世界は「武侠」であるがゆえに、時に誰かから殴られることもある。ということだろう。

敵の攻撃力が凄まじいので、ここはサイヤ人が覚醒している時のようなポーズで回復(微々たる量)

とてもじゃないが、勝てそうにない。また、自分よりも遥か格上の相手に喧嘩を挑もうものなら瞬殺されてしまう。「武侠」の道のりは長そうだ。

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筆者は街中を散策している時、目の前のキラキラ光る痕跡が気になって「あれはきっと宝箱だ、開けねばなるまい」「あっちでは住人がフキダシのマークを付けてサイドクエストを主張しているぞ、話しかけに行こう」……と、つい目移りしてしまい、気づけばプレイのやめ時を見失っていた。

そんな、大小さまざまな事件の誘惑にさらされ続けるのが『逆水寒』だ。

街路を軽く一区画散策しただけで大量の噂話が収集できるし、噂話を追跡してクエストをクリアすれば、一切戦闘が発生しなかったとしても経験値が入って主人公がどんどん強化されていく。

主人公のレベルが上がれば、新しいクエストがアンロックされて追加されていく。
さあ、次はどれに手を付けようか……。気づけば、手元は次の目的地を目指して「軽功」をくり出している。

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続いて『逆水寒』の価格についてだが、こんなに遊べて基本プレイはなんと無料だ。
プレイヤーの課金が必要になるのは、基本的には見た目(スキン)の購入に関する部分だ。
スキンは勿論、攻略上で必須のものではない。しかも、メインストーリーを遊ぶ上で「ここで課金をしないと詰む」というような設計はされていない。

まとめると、『逆水寒』は無料でもしっかりゲームの内容(コンテンツ)を楽しむことができるタイトルだと感じられた。なお、正式な要求スペックは公式サイトで詳細を参照されたい。


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(画像は『逆水寒』の公式サイトより)

結論を言うと、日頃から中国の時代劇や武侠ものを嗜んでいる筆者は、この『逆水寒』のおかげで「ゲームで武侠みたいな体験をしてみたいなあ」という夢を叶えることができた。

『逆水寒』は武侠、中国時代劇ミステリー、中華風ファンタジー、水滸伝などのどれかにピンと来た方にオススメのゲームだ。せっかく基本プレイ無料なのだから、ぜひ一度触れていただきたい。

もちろんどれにも当てはまらず、純粋にビジュアルやアートワーク、アクション面で惹かれた方もプレイしてみてほしい。本作は主人公のキャラメイクで数多くのパラメータが調整可能だ。NPCもさまざまな美男美女が登場する。

本稿執筆時点で、『逆水寒』は事前登録を受付中だ。ぜひ登録して、最新情報を受け取れる準備をして待っていただければと思う。ぜひご一考あれ。

ライター
『討鬼伝』シリーズを3000時間やり込んでいる元麻雀プロ。家を出て5メートルで職務質問されたことがある。中世ヨーロッパ風ファンタジーが好きで『ファイナルファンタジータクティクス』が最も好きだが、三国志など古代~近世の東洋も好き。好きな武将は細川政元。
Twitter:@natsukawa77tem
編集・ライター
MOTHER2でひらがなを覚えてゲームと共に育つ生粋のゲーマー。 国内外問わず、キャラメイクしたりシナリオが分岐するTRPGのようなゲームが好き。『Divinity: Original Sin 2』の有志翻訳に参加し、『バルダーズ・ゲート3』が日本語化される前にひとりで全文翻訳してクリアするほどRPGが好き。 『ゴースト・オブ・ツシマ』の舞台となった対馬のガイドもしている。 Xアカウント(旧Twitter)@Tsushimahiro23

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