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「経費で買ったガジェットで批評してる奴は意味ない」テック系ジャーナリストたちが体を張ってポケGO、HoloLens等を分析。その先に待つ未来とは?

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そして話題はHoloLensに……。

ドリキン氏:
 深圳で開催された「WinHEC」での発表で大きかったのが、HoloLensとWindows Holographic。

「経費で買ったガジェットで批評してる奴は意味ない」テック系ジャーナリストたちが体を張ってポケGO、HoloLens等を分析。その先に待つ未来とは?_006
※Windows Holographic……現在はWindows Mixed Realityに改称され、4月に公開されたWindows 10のアップデート「Creators Update」より、基本的な部分の組み込みがすでに始まっている。
(画像はWindows Holographic Shell Demoより)

西田氏:
 はい、そうですね。もともとマイクロソフトの中でずっとR&Dしているアレックス・キップマン【※】っていうロッカーみたいなお兄ちゃんがいるんですけれど、彼がリードで作っていたプロダクトがHoloLensで。まぁ、HoloLensのことは皆さんご存じだとは思うのですが……。
 その、HoloLensの機能を一般のPCにも持ち込もう、というのがWindows Holographicなんですね。

※アレックス・キップマン
1979年生まれ。 ブラジル出身で、Hololensの開発者として知られる天才エンジニア。

mazzo氏:
 それがちょっと、よくわからないんですけど、HoloLensって、スタンドアローンのARじゃないですか。

西田氏:
 はい。おっしゃる通りです。

mazzo氏:
 それを、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)のフルフェイス型──向こうが見えないタイプのVRHMDの、両方でやるというのが、どのようなやり方をしているのか、わかりやすく説明していただけると。

西田氏:
 そもそもHoloLensが何をやっているかというと、Windowsの中に3Dの空間を作るためのAPI【※1】を全部用意して、それに外界を、インサイドアウトのセンサーを使って認識する仕組みだとかを組み込んで一体化したものなんですね。

※1 API
アプリケーションプログラムインターフェイスの略語。プログラミングの際に使用できる命令や規約、関数等の集合のこと。

※2 インサイドアウト
カメラなどのセンサーを使い、外部に補助機器を置くことなく外界の様子を把握する形式のこと。

 そのHoloLensが先行して使っている、仮想空間にウィンドウだとか、アプリケーションをマッピングして動かしていくという仕組みを、Windowsそのものの中に放り込んで、そこでHMDへの出し方だとか、HMDのポジショントラッキングの仕組みを統一して、仕組みを作ったのがWindows Holographicです。
 結局違うのは、ARかVRかっていうことなんですけども、机の上に置くか置かないかっていうことしか違わないとも言えるんですね。実際にはWindows Holographicにもいくつかの段階があって、デスクスケールと呼ばれている、ケーブルで繋がれていて椅子の近くで使うっていう設定のものは、仮想空間が自分の周りにしかないわけですよね。それは机が見えなくても見えてもあんまり変わらない、と。

 これがルームスケールとか、ワールドスケールと呼ばれる、自分が好きなところに動いて、動いた場所にウィンドウがあるとか、アプリケーションが動いている、という状況にするには、自分が動くので、周りが見えないと困るから、ARになっているわけですよ。
 要はその違いで、バーチャルワールドとリアルワールドの中で、どういう風にウィンドウをセッティングして、ワークスペースを作るかという、トランジションの話なんです。
 キップマンが本当にやりたいと思っていて、マイクロソフト全体でこれから先に進もうぜ、と言っているのは、まさにHoloLensがやろうとしていることなんですよ。

ドリキン氏:
 最初にそれをやっちゃったわけですよね。

西田氏:
 そうです。要は3000ドルの機械でやれば、今ここまでできるということを示した、と。でも「そこまお金を出せないよね」という人のためにブレイクダウンして、ノートPCにUSB-CでHMDを繋ぐというレベルまで落とした、と。その間の全体をWindows Holographicと呼んでいるんですよね。
 で、一番下のレベルだと、まさに椅子に座って自分の前に実際に置いてあるものは検知しない状態で、VRのワークスペースができる。ただし、ポジショントラッキングはあるし、コントローラーを併用する形のハンドトラッキングもある。ということですよね。言ってしまえば『Mikulus』【※】がやっていることと同じことです。

※Mikulus
GOROman氏が開発した「VRの中で初音ミクと会う」アプリ。

HoloLensとMikulusの目指す方向性は同じ

ドリキン氏:
 ボクもHoloLensの実機を1週間ぐらい借りてけっこうガッツリ使ってみて思ったんですけど、ボクはある意味、全然違和感を感じていなくて。今の西田さんの話を聞いて、さらに腑に落ちた感じはある。
 最初HoloLensを借りたときに、オフィスのデスクに座りながらHoloLensを装着して、仕事しているときのメインのPCの斜め上とか、ディスプレイの空いている辺りにブラウザとかTwitterとかユニバーサルWindowsプラットフォームアプリをHoloLens上で表示して、リアルなワークスペースの中に、仮ディスプレイをいくつか配置していたら、「おぉこれスゲー」とか言って、あたかもリアル世界のディスプレイが複数拡張されたみたいになって、そこにいろいろ情報が出るから「いいじゃん!」と思って。この時点ですでに実用っぽいから「買ってもいいかな」って、一瞬思ったんですよ。

 でもまぁ、まだまだ3000ドルの価値はさすがにないよなと思って、ふと我に返ったんですけど。
 で、今『Mikulus』上では、それがVR上で完全に再現できて、メインのディスプレイはバーチャルデスクトップで配置されていて、今はそこにミクさんというアプリしか存在していないけれど、そこに今度VRアプリが登場してくれば、そこでいくらでも拡張した世界で画面が出せる。

 確かにデスクトップで使っているときは、『Mikulus』の方が安定しているんですよね。HoloLensでわざわざリアルのディスプレイと、仮想のディスプレイをミックスするよりも、仮想の世界に全部入っちゃって、そこに既存のディスプレイと新しいアプリが共存していた方が、全然安定して世界観が構築できるので。

西田氏:
 結局、ARである必然性って、“動いても大丈夫”ということ。部屋全体だとか、家全体だとか、もっと言うと町全体、世界全体に対してウィンドウを貼り付けるという使いかたをしていく、完全な現実拡張だからこそ有用なことなんですよね。
 で、それが今日、3000ドルのマシンでできちゃっているというのは、完全にオーパーツなんですよ。明らかにあれは安い。できていることから考えると。ただ、今はまだ解像度とか、パフォーマンスの問題がある。バッテリーで1時間半も持たないですからね。という点とかを考えると、あれそのものをメインストリームに今持ってくるのは無理があるんですよね。

 でも、マイクロソフトが考えている、四角い枠の中にしか世界がない、操作ができない“画面”という状況から解き放たれることが、次のコンピューティングのパラダイムになりうる、というのはまず間違いなくて。
 本当にGOROmanさん【※】が言っていることと、アレックス・キップマンが言っていることは完全に同じなんですよ。そのために今までのデスクトップメタファーから、完全に新しいUIを作らないといけない、と。で、そのためのファウンデーションを作っているんだよ、というところはまったく一緒で。

※GOROman
日本におけるVRの先駆者であり、エヴァンジェリストの一人。「Oculus Japan」を立ち上げに貢献し日本に昨今のVRの風を呼び込んだ後、2016年末にOculusを退社。現在は初音ミクとVRの中で会える、というアプリケーション『Mikulus』の開発に専念。

 さらには、たとえばいきなりディスプレイを3Dで置いても、わけわからなくなるんですよ。人ってやっぱり保守的なので、便利さって階段状に昇っていかないといけないわけですよね。
 スマホも最初スキューモーフィズム【※】で、実物を模したものだったのがフラットデザインになっていきましたよね。

※スキューモーフィズム(skeuomorphism)
他の物質に似せるために行うデザインや装飾のこと。

 要は階段を踏まないといけないので──これはGOROmanさんも言っているのですが──、平たいウィンドウをペラっと出しているのは階段の1段目なんですよ。それを複数つくのが2段目で。3段目は、そこに今映している実マシンだけじゃなくて、スマホとかゲーム機とか、ほかのPCとかの画面も出る。ほかのありとあらゆるディスプレイがVR空間に集合するのが3段目で。
 それで今、だいたい3段目まで来ているわけですよ。で、4段目以降は、画面にあるものもどんどん3D化していく、と。たとえばGOROmanさんが言っていたのは、音を出すときにプレゼンスを剥がさないためにはVR空間にスピーカーとかウォークマンがあった方が良いんじゃないか、と。

 それはある意味、VR空間の中で快適なワークスペースを作るにはどうしたらいいかという“階段の中にあるもの”なんですよね。その階段を作るための基盤を、Windowsでまずはマイクロソフトが作った、と。でも、それが一番最初に売れるところはどこかと言うと、JALがエンジンを整備しながら理解するためのバーティカルな用途だったりするわけですよね【※】


2014年5月1日、日本航空(JAL)と野村総合研究所(NRI)は、Google Glassをはじめとしたウェアラブルデバイスを活用し、先進的な業務スタイルの追求を目的とした実証実験を米ホノルル空港で開始したことを発表した。これは、ウェアラブルデバイスの持つカメラ機能や情報伝達機能を活かして、JAL本社のスタッフが遠隔地にいる実務スタッフへの後方支援を行うと同時に、実務スタッフにはハンズフリー環境を提供することで、現場作業の効率性の向上や負担軽減を実現することを目指すというもの。従来の航空機の整備業務では、現地の整備担当者から電話やメールで機体の傷などの報告を受け、日本の本社からも電話やメールで指示をしていたが、実証実験では、整備担当者が点検中に見つけた傷や不具合をGoogle Glassにより画像や映像で撮影し、日本の本社に送信。AR(拡張現実)技術を組み合わせて、Google Glassに表示された画像に重なるようにして指示の文章が吹き出しになって表れるという。端末を装着したまま音声通話ができるため、指示を聞きながら両手で作業ができるとのこと。

mazzo氏:
 あれも昔から言われていた、垂直的な業務用のARグラスから何の進化もないんですよね、用途自体は。

西田氏:
 そうですね。それがすなわち、最初には階段がないので、いきなり「バーチャルワークスペースです。どうぞ」と言ってもいけないわけですよ。
 でも、あれをまずアプリケーションとして作って、企業に導入してもらったうえで、その中で新しいアプリケーションを色々作ってもらって、バーチャルワークスペースの方へ引き寄せていけば新しいコンピューティングができる……という考え方なんですよね、簡単に言えば。 で、その中には“完全なバーチャルの中でゲームをやる”という考え方もある。

ドリキン氏:
 HoloLensの技術自体は、VRになってもほとんどの機能は生きるので、マイクロソフトとしては、VRにすそ野を広げない理由はないと思った……?

西田氏:
 そうですね。あと、話を聞いていて思ったのは、マイクロソフトとして、いわゆるOculusだとか、PSVRだとかHCT Viveがやっている“エンターテイメント”をがっつり目指さないことで、たぶん大きな動きとかを求められないので「パフォーマンスが低くても大丈夫」という判断があるのかな、と。

 “並行世界”という考え方が現実味を帯びてきた

ドリキン氏:
 GOROmanさんも、それこそ言っていましたが、MRとかVRとかいう垣根もだんだんあいまいになっていくから……。

西田氏:
 そうですそうです。デモというか、映像として見せていたんですけど。まず現実の空間に女性がいる、と。その女性がHoloLensとか、HolographicのHMDを被って、VR空間の中で仕事をしていると、実際の机の上にウィンドウが浮いて、横にバーチャルペットがいる、と。これは今のMRですよね。
 ここから自分の形、体というのが、たとえばVRの空間の中でアバターに置き換わっちゃう。そうすると、ワンランクバーチャルの方に動きますよね。さらには部屋全体をスキャンして構造を知ることができるので、知った構造に合わせて後ろの映像とか構造物を、全部バーチャルのものに書き換えちゃう、と。
 そうすると、見た目はフルバーチャルですよね。でも、実際にいる自分の体とか、自分の前の机だとか、自分の部屋は、元通りのままで別のものに置き換わっているので、それはリアルなんですよ。

 結局リアルとバーチャルって、鏡合わせでくっついていて、ひもで括ったようにくっついているんですよ。それをどっち側からどういう風に見て体験するかっていうだけの問題なので。
 それがすなわち、一番最初に言っていた、『ポケモンGO』をやっている人が見ている世界と、『ポケモンGO』をやっていない人が見ている世界は隣り合わせだということと変わらないんですよ。

ドリキン氏:
 すげー(笑)。

mazzo氏:
 並行世界ですよね。

西田氏:
 そうですそうです。我々が、新しい“全世界ディスプレイ”という能力を得たことによって、そういう新しい並行世界の考え方っていうのがリアルになっちゃったわけですよ。
 それを作りましょう、というのが、20年前だったら完全にSFだったけど、ついにようやくできるようになってきたと。

ドリキン氏:
 ボクも今日ちょうどOculus Touchをやっていて、GOROmanさんの見えていた世界とか、この間の話がさらにもう一歩理解できた気がして、むしろGOROmanさんは何年も先を行っていたんだなということを改めて知らされて、ちょっとショックを受けたぐらいなんですけど。

西田氏:
 そこがすごく面白いのが、最初は映像だけでいいと思っていたんですよね。ところが実際にバーチャル空間、要は全世界ディスプレイが実現してみて、人がその中に入って、本当に入っている感覚を得るというところを追求していくと、ハンドコントローラーが絶対にいる、と。
 要は、人間の手がないとダメだ、と。そして、上半身も認識していないといけないとか、周りも認識してなきゃいけないとか、逆に現実世界とどんどん近づいていって、「現実世界をどうやってバーチャルで置き換えるか」というテクノロジーの戦いになっているんですよね。

ドリキン氏:
 しかも結局、映画の『マトリックス』のように、バーチャルの世界に入って、完全に物理的な肉体を捨ててしまうみたいなことができれば、VRだけっていうのもあり得るのかもしれないけれど──我々はどこまでも現実世界と行き来しなければいけないという中では、HoloLensがあたかもARとVRをシームレスにつなごうとしているかのような。
 外に出るときはいきなり外界がばっと見えて、そこに拡張空間があるんだけど、オフィスの席に座った瞬間に、そこが一気に自分の体すらアバター化して、バーチャルな空間で作業に専念する、みたいな。
 たぶんそういう、シームレスに仮想空間と現実空間を行き来するようなコンピューティングの世界が、見えてきているのかな、と。

西田氏:
 そうですよね。その中で、いかに良い体験をさせるデバイスを作るかっていうところが重要になっていて、そのためにはパートナーを選んで作らないといけない、ということなんだろうと思っているんですね。

ドリキン氏:
 まぁ、そうですね。

マイクロソフトのVRハードウェアを作るパートナーは日本にはいない……?

西田氏:
 で、Oculusだとか、Viveだとか、PSVRというのは、自分たちがハードウェアを作りつつ、プラットホームも1つにすることによって、体験を統一しているわけですよね。さらには、そこで使えるハードウェアもある程度規定する、と。PSだったらガチガチだし、PC系だとしてもスペックというのは想定されているわけですよね。だからスペックが高くなっちゃうわけだけど。マイクロソフトも、やろうとしていることはそれに近くて。「これぐらいのところでできます。このパートナーに技術を与えるので、一緒に作ってもらいます」というコンビネーションなんですよ。だからOEMに対して、PCみたいに「全部自由に作っていいですよ」と言ってライセンス供給をする形ではないんですよね。
 だから、「OEMで、どこでも作れるんですか?」と聞いたら、「どこでもじゃない」とはっきり言われましたからね。

mazzo氏:
 セレクテッドパートナーなわけですよね。

西田氏:
 まさに。セレクテッドパートナーと一緒にガッツリ組んで、できるところとだけやる、と。要はマイクロソフトが選んでいるわけですよ、パートナーを。言ってしまえば。絶対にどんなところからも声はかかっているので。

ドリキン氏:
 そのくらい作りこまないとクオリティも維持できないし。逆に言えば、先端の人たちは相当背伸びして、今から夢の技術にキャッチアップしている感があるから「下手なことはできない」というのはあるのかもしれないですね。じゃないと、一気にコケちゃうから、という。

西田氏:
 だから、もう1つ大きいのは、一緒にパートナーになって影響力が強いところという選択はしているんだと思うんですよね。要は、世界中でたくさんPCを売っているところとしか組まない。

ドリキン氏:
 それはビジネス観点で。

西田氏:
 ビジネス観点です。で、彼らに対して、このリファレンスデザインで、この工場で作ったものを売ってもらって、たとえば「あなたは一番上、あなたはミドル、あなたは一番下」みたいな、マイクロソフトが役割を割り振っちゃうわけですよ。

mazzo氏:
 これらのメーカーはAR、VRに関する基本技術は持っていなくて、作る力はあるんだけれども。という、そういうところをピックアップしているわけですね。たとえばレノボとかはTango対応のスマートフォンとか出していますけど、AR、VRの技術を持っているわけではないですよね。

西田氏:
 そうですそうです。結局、いかに大量に作って、効率的に売って、彼らのブランドと、元々のAR、VRブランドの価値を高められるところと組むかという話になっているんですよね。で、今は残念ながら日本にはそこで組みうるパートナーがいないんですよね。マイクロソフトの観点で見れば。

 もしかするとソニーは組み得たのかもしれないですけど、ソニーは自分でやっているから組まないですよね。で、パナソニックじゃあ、もうPCの生産量は少ないから意味がない。そしてパナソニック自身もたぶん「興味がないです」、と。じゃあ、ほかのメーカーでどこができるかといえば、NECはレノボだし、富士通はそんなことができる状態じゃないし、東芝もそんなことをできる状態じゃない。

mazzo氏:
 そういうのわかるんですね(笑)。

西田氏:
 これが10年前だったら、絶対、富士通とソニーと東芝の名前があったんですよ。それがないっていうのは、実は少なくとも今のトップレベルのガジェットの世界の中での、日本メーカーの位置づけを示しているとも言えますよね。日本の中で売るための良いものは作れるんですけど、あまりにも数が少なすぎるので、それでは。

mazzo氏:
 そうすると、ソニーの存在は、意義が大きいですよね。

西田氏:
 結果的に残れた、という。別の言い方をすると、要は「やめなかったので残れた」ということですよね、ソニーだって厳しかったわけですけど、厳しいところを乗り越えて、要はPS3で大変だったときに、「じゃあもうやめちゃいます」と投げ出さないで、一生懸命耐えたことによって、残れたわけですよね。

mazzo氏:
 素晴らしいですね。

西田氏:
 で、パナソニックはそこを全部切って、「私たちは業務でやっていきます。白物【※】は白物で頑張ります」とすることによって、生き残ったんですよね。

※白物
炊飯器・冷蔵庫・洗濯機・電子レンジ・エアコンディショナーといった家電製品を指す言葉。

mazzo氏:
 白物を残すことはできたわけですよね。

ドリキン氏:
 結果論ではあるけど、厳しい世界ですよね。

西田氏:
 非常に厳しい世界ですよね。

mazzo氏:
 それで思い出したのが、『JM』っていう映画が1995年にあって。それで、フルフェイス型のHMDを使って、データグローブ的なもので操作をする。で、そのデバイスを作っているのは、中国メーカーだったんですよね。映画の中で。

「経費で買ったガジェットで批評してる奴は意味ない」テック系ジャーナリストたちが体を張ってポケGO、HoloLens等を分析。その先に待つ未来とは?_007
(画像はAmazonより)

西田氏:
 あぁ、そうですね。

mazzo氏:
 それが、今回の「WinHEC」での発表とすごく重なっていて。深圳(しんせん)で中国メーカー何社かがHMDを作るわけじゃないですか。それが20年前に予期されていたんだな、と思って。

西田氏:
 そうですね。結局、製造スピードとコストだけで言ったらば、今の中国メーカーにはかなわないですよね。逆に言うと日本メーカー側が、中国メーカーと協業する側になっているので、それは別に悪いことではないです。アメリカのメーカーだって、中国メーカーと協業する側になっているわけだから。そこのところのポイントは難しいですよね。

 一方で、ハードウェアプラットホームは色々できあがってきているわけですよね。その中でこれから一番価値を持つのはどこかというと、「まだできあがってないバーチャルワークスペースのビジネスをどうするか」みたいなところにはあるので。で、そこはまだワンチャンツーチャンあるわけですよ。やっている人はそんなにいないですけど。

mazzo氏:
 じゃあそれは、アレックス・キップマン、GOROmanさんと……。

西田氏:
 ぶつけて対談させたいな、と(笑)。なかなかそうはいかないんですけど。アレックスが捕まらないですからね。

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