Oculus Touchのセットアップが大変!
ドリキン氏:
ただまぁ、そこまで語りつつも……Oculus Touchのセットアップめっちゃ難しくなかったですか?
mazzo氏:
難しかったね(笑)。
西田氏:
らしいですね。
ドリキン氏:
ボク、セットアップで挫折するんじゃないかと思ったもん(笑)。
mazzo氏:
何が難しいかって言うと、Oculus Touchってセンサーを2つ使うんですよね。で、左右を1メートル以上離さないといけないっていうことが後でわかって。そんなスペースないよ……。
ドリキン氏:
そこがけっこうキモなんですよね。ボクも1メートルから2メートルの間で設置しろって言ってるんだけど、あんまり真に受けずに1メートルより狭いぐらいで設置していたら、いくらやっても進まねぇなって思って……。
mazzo氏:
「次に」っていうボタンが押せないんですよね。
ドリキン氏:
センサーが、思ったより相当広角にセンサーしていて。1メートルぐらい離すと、内側ハの字にして自分に向けないといけないんじゃないかと思って、センサーの黒い部分を自分に向ける感じの角度をつけていたら、むしろ「角度つけすぎ」って怒られて。
mazzo氏:
そう、1個だけのときと向きが違うんですよね。
ドリキン氏:
あとは、「ユーザーにはUSB3.0のポートがいくつあると思ってんだ!?」と思いません?(笑) Oculus使ってると。
西田氏:
それはそうですね(笑)。
ドリキン氏:
「お前、どれだけUSB3.0を俺から奪うんだよ」と(笑)。あれはひどいなって思いますけど。
mazzo氏:
あれは、ポートが必要じゃないですか。
ドリキン氏:
ボクのPCとか、USB3.0のポートが20個あるんですけど。
mazzo氏:
なんだそれは(笑)。
西田氏:
20個って何ですか(笑)。
ドリキン氏:
まぁ、デスクトップにHUBをつけているんですけど。いや、普通の人はどうしているんだろうなと思って。
あとは、さっき手が疲れる問題をちらっとは話されてましたけど、Oculus TouchもWiiリモコン問題【※】はありますからね、やっぱり。
※
Wiiリモコンの使用推奨距離は、Wiiリモコンのポインター機能を利用するために必要な周辺機器「センサーバー」から1mから3m。長時間正常に操作する場合は、しばしば疲労が伴うことも。
西田氏:
ありますよね。
ドリキン氏:
そもそもこれ、スゲー空間が必要で、ルームスケールまで行かないまでも、すでに使う人を選ぶんじゃないかな、と思ってはいるんだけど。
西田氏:
結局、マイクロソフトがHoloLensみたいなものを有望だと思っている理由って、外界にセンサーとかを持たなくてもいいってことではあるんですよね。そうすると一気に、確かに敷居は下がるので。
ただ、そのためにインサイドアウトの高精度のセンサーをつけると、それだけで600ドルとかになっちゃう。
ドリキン氏:
mazzoさんとか、やるときはどうやっているんですか?
mazzo氏:
普通に椅子に座ってからやってる。
ドリキン氏:
椅子に座ってやるようにしました?
mazzo氏:
あぁ、えっとね。ガンマンのやつとかあるじゃないですか。あれは椅子に座った状態でもできましたね。
ドリキン氏:
ボクは最初「立ってやれ」って言われて、立ってセットアップした。
mazzo氏:
あぁ、セットアップは立ってやった。というか、椅子は横にどけないとダメだとチュートリアルでも出ていたので、その通りにしましたよ。
ドリキン氏:
で、ボクはそれで1回セットアップして、そのあと座った状態でセットアップをやり直して。設置しなおして。あの“身長を入れる”のって、目の高さと地面をリアルにするためにやるので、適当に座ったときの座高の高さに変えてやったら、肘掛に手が置けるようになったから、だいぶそのWiiリモコン問題は解決できるようになったんで、良かったなぁと思ったけど。
もうすでに3回くらい壁にぶつけて、壁の白いペイントがOculus Touchについちゃった(笑)。これね、没入感が高すぎて本当に外界がわからなくなりますよね。自分の周りを、1回ここまで動いていいよって作るじゃないですか。
mazzo氏:
あれがすごい時間かかった!
ドリキン氏:
そうそう。あれも難しいんだけど。
mazzo氏:
手を色々差し出して。
ドリキン氏:
ただ、あれがないと本当に危ないんだなということが、すごくわかった。あれがないと、自分がどこまで行っちゃってるか本当にわからないから。いやぁ、これね、体験させたいけど、この良さはどうやったら伝わるんだろう。
2020年までにVRはキモズムを越えるか?
mazzo氏:
これはボクも記事に書かないといけないなと思いながら、これは文章化できないなと、挫折はしているんですよね。Oculusに関しては、我々“伝えたい気持ちが大きい側”からしたら、絶望しか生み出さないですよね(笑)。
西田氏:
確かにそうですね(笑)。
ドリキン氏:
スゴさが言葉に出ないんですけど。さっきの、ボクらはMacintoshなりを、最初に見て感動した世界を、もう1回その当時の状況に立ち会えているという意味では、もう半分の人生をエキサイティングな状態が続けられると思ったら、生きる希望が湧いてきた気がしますけどね。
mazzo氏:
これまで希望なかったんかい(笑)。
西田氏:
希望ないってひどいな(笑)。
ドリキン氏:
でもほら、コンピューターが、ここ数年は──こういう言い方すると怒られるかもしれないですけど──アマチュア無線化するんじゃないか問題が言われてきたわけじゃないですか。
西田氏:
そうですね。
ドリキン氏:
でも、“ここから来るでしょう”という意味では、全然そんなことはなくて。あとは、先週日本に帰ってきたときに、GOROmanさんとかと話したりしたことが、頭に残っていたせいもあると思うんですけど、電車に乗っていて、前の列に座っている人が全員iPhoneを使って、画面に必死に何かを打ち込んでいるじゃないですか。その状態でみんなが使っている姿を見て、急に覚めちゃったんですよ。
mazzo氏:
気持ち悪い?
ドリキン氏:
気持ち悪いとか、全然そういうことは思わないんだけど、“キモズム側に俺はいなければいけないんだ”という使命感が湧いて(笑)。
mazzo氏:
ここにいちゃいけないっていう。
ドリキン氏:
そうそう。みんなが当たり前のようにやっていることを、一緒になって喜んでやっていたら、その先に行けないわけじゃないですか。俺は“キモズムのところを常に見つけている”のがアイデンティティなのであれば、こんなことをやってちゃいけないという。
わかります? 急に、ふと怖くなったんですよ。「ヤバイ、俺はキモズムから外れてきているんじゃないか」って思って。だからもうね、今スマホ使うのがもうヤだ(笑)。
mazzo氏:
キモズムはまず見つけないといけないんですよね。
ドリキン氏:
そう。
西田氏:
キモズムを体験するって、かなりクリエイティブな体験じゃないですか。勝手に向こうから降ってくるのではなくて、これは面白いと見つけたものが、結果的に他の人から見たらキモいっていう。ことなので。
ドリキン氏:
ここ数年ね、Appleがメジャーになり始めた時点で、甘んじてたなと思って(笑)。
西田氏:
今になって思うと、iPhoneが出て、iPadが出た辺りっていうのが、実はペーパーパラダイム型の、今のコンピューターの最終形ができたってことなんだろうな、と。
ドリキン氏:
そうですよね。あそこがキモズムの終焉だったんですよ。
西田氏:
あれが最後だったんだろうなって思います。ただ、問題なのは、今スマホ、タブレットPCが、概ね行き渡って、こんなことができるってわかった状態から、VR、MRがキモズムを超えること必至のものとか、面白いものになるまでに何年許してくれるかなっていう。
ドリキン氏:
同じ20年はないんですよね。きっとね。
西田氏:
ないですね。だから2020年までにできるかどうか。GOROmanさんは“2020年には変わっている”説なんですよね。ていうか、“変える”説なんですけど。間に合うかなぁっていうのが。
mazzo氏:
GOROmanさんは“俺が変える”派ですもんね。
ドリキン氏:
それはわかる。20年は絶対に待ってくれないのは、誰が想像しても当たり前なんだけど、“10年も待ってくれないんじゃないか”説は切実なんですよ。でも、5年で変えるって言われると、厳しいところはあるんですよね。それが仮にタイムリミットも 5年だとして、5年で行かなかったときにペナルティを負っちゃうんですよね。
VRに必要なのはAIのパラダイム?
ドリキン氏:
そのペナルティはわかります。そうするとまた結局、周回遅れで、次のターンを待ってくださいという状況になっちゃうので。
西田氏:
ただ、1個だけあるのが、間に「AIのパラダイム」があるので、それでクッションになって3年か5年ぐらいは稼げるのかなって気はしています。
ドリキン氏:
それはあるかもしれませんね。
西田氏:
結局、本質的にVR空間で人間の補佐をしてもらうためには、人間の動きを読むとか、人間の言っていることを把握するとか、相手がやっていることを把握するっていうAIが絶対に必要になるので。それが今のSiriだとか、Cortanaさんだとかが進化していくのに、あと3年ぐらいはかかるじゃないですか。
mazzo氏:
キーボードを入力してコマンドを使うっていうのは、AR、VR空間じゃ難しいじゃないですか。それが音声認識、音声応答ですべて変わるわけですよね。
西田氏:
おそらくは。ちょうどPSVRに、『anywhereVR』っていうアプリが出ているんですね。それって、『Mikulus』にコンセプトは近くて、映像の空間を作って、その中にリモートでスマホを持ち込んで、要は“スマホを見ながらリラックスできますよ”っていうアプリなんですよ。
mazzo氏:
Androidのアプリが出ているんですよね。
西田氏:
そうです。Androidのアプリが出ているんです。で、これ、よさそうに思うじゃないですか。
mazzo氏:
はい。
西田氏:
ところが全然使えないんですよ。それはなぜかというと、冷静に考えればわかるんですけど、スマホの画面がVR空間の中に出ちゃうわけですよね。じゃあそのスマホを触るときの指は? っていう。
mazzo氏:
指がホバーしないから……。
西田氏:
そう。どこを触ってるかわからないんですよ。だから、Lineとか、TwitterだとかFacebookのタイムラインをスクロールさせるのはできるんですよ。あとは電子書籍を読んでページをめくるとか。でも、アプリを切り替えようと思ったら、1回PSVRを外して触って、また被るって、「馬鹿か?」って感じじゃないですか(笑)。
おそらく、だから今のタッチだとかキーボードと同じ問題があるので。ARになっちゃえば見えますけど、しかもAR空間であったとしても、被さってくる映像が多くなって来れば見えなくなってくるわけですよね、当然。そう考えると音声入力か、手が見えなくてもきちんと入力できるものか、どっちかが必要になるんですよね。
これも、“ホバーがないけど何をやってるかはわかる”というヒントはGOROmanさんにはもらったんですよ。言わないけどまだ。記事に書くので(笑)。
ドリキン氏:
我々もOculus Touchを手に入れたので、もう1回早々にGOROmanさんを呼んで話さないと、これを消化しきれないって問題がありますね。