いま読まれている記事

【ひろゆきにゲームおごってみた】『真・三國無双 ORIGINS』をめちゃくちゃ楽しんだひろゆきと、作品プロデューサーを本音で対談させてみた。プロデューサー「Xでひろゆきさんが『ORIGINS』を遊んでるのを見て、開発陣もすごく喜んでいた」

article-thumbnail-250425b

1

2

3

4

5

6

「操作キャラクターが増えると、開発コストも増え続ける」。いきなり全キャラを操作可能には出来ないが、仮に“五丈原”まで描けば「資産は揃う」。資産が揃えば、なにかできる可能性も……?

ひろゆきが『真・三國無双 ORIGINS』プロデューサーと本音で対談。作品の企画書や次回作の展望なども飛び出す_024

ひろゆき氏:
『ORIGINS』みたいに、「アクション性を高めたら海外でも高評価が取れるよね」ってなると、次のナンバリングではアクション性高めで、沢山武将が操作できる感じにやっぱりなるんですか?

庄氏:
ぶっちゃけてしまうと、本作と同じクオリティでたくさん武将の操作を、となると実現は難しいと思っています。操作キャラクターが増えると、開発コストも増え続けてしまいます。よくない言い方をしてしまうと、「費用対効果がすごく悪い」んです。

ひろゆきが『真・三國無双 ORIGINS』プロデューサーと本音で対談。作品の企画書や次回作の展望なども飛び出す_025

ひろゆき氏:
そうですよね(笑)。

庄氏:
無精ひとりひとりに同じコストをかけて90人作っても、選ばれ方にはどうしても差が生まれてしまいます。もちろん、どの武将にもファンの方が必ずいらっしゃることは認識しています。ですが、どうしても広く浅くにもなってしまうので、ユニークな見た目とアクション性を両立させた何十人ものキャラクターを作りあげることが現実には厳しいと思っています。

ひろゆき氏:
ただの上位互換だと意味がないですもんね。キャラの差別化のために独自性を出すのも、数が多くなるとめちゃくちゃ難しいですよね。

ひろゆきが『真・三國無双 ORIGINS』プロデューサーと本音で対談。作品の企画書や次回作の展望なども飛び出す_026

庄氏:
アクションの話だけでなく、人物としての魅力も描ききれなくなりますね。従来のように何十人ものキャラクターで遊んでもらうのは、『真・三國無双 ORIGINS』で実現したかった体験の延長として実現することは難しいと思います。

「沢山キャラが使えたら嬉しいよね」というゲーム性のものは別で作る可能性がありますが、その場合は海外での売れ行きが落ちてしまうという危惧もあります。

ひろゆき氏:
「知らないやつがゴチャゴチャいて、よくわかんない」みたいな感じになるんですか?

庄氏:
それもあると思いますが、それよりもアクション性やゲーム体験として、ユニークで楽しめるものかどうかが重要視されていると思います。この要求に応えるためにも、キャラクターを大量に増やすのは難しいのかな、と。

ただ、仮の話ですが、オリジンズの次があって、さらにその次で「“五丈原”まで全部描きました」となると、それまでに出てくる武将のモデルは全て作っていることになります。

そこまで資産が揃うという前提があれば、何かができる可能性も出てくると思います。ですが、すぐに商品として出すのはやはり難しいと感じます。

ひろゆきが『真・三國無双 ORIGINS』プロデューサーと本音で対談。作品の企画書や次回作の展望なども飛び出す_027

ひろゆき氏:
シリーズを重ねることによって資産を増やすっていう考え方があるんですね。

ひろゆきが『真・三國無双 ORIGINS』プロデューサーと本音で対談。作品の企画書や次回作の展望なども飛び出す_028

庄氏:
今回の密度感やクオリティで作るとなると、リアルにそう考えざるを得ないとも思っています。私が『ORIGINS』の企画を立ち上げた時は2部構成で考えていました。「赤壁の戦い」までと「五丈原の戦い」まで2つに分ける想定です。

年数で言うと「黄巾の乱」が184年(『ORIGINS』では1年前の183年から)で、「赤壁」が208年です。その先の「五丈原の戦い」が一般的には234年と言われているので、期間としてはほとんど差がありません。

ですが、「赤壁」以降は戦いが起こる頻度も高くなり、勢力も増え、加えて「赤壁」以前の人物も残るので、登場人数がものすごく増えます。本作と同じようなクオリティで作ろうとすると、208年から234年を後半として描き切って2部に収めるのは無理だと、今では思っています。

ひろゆきが『真・三國無双 ORIGINS』プロデューサーと本音で対談。作品の企画書や次回作の展望なども飛び出す_029

ひろゆき氏:
確かに孟獲とか南中あたりの勢力なんかも出てきますもんね。

庄氏:
ですから、次があるのであれば五丈原の戦いの前に段階を踏んでいこうと思っています。今回の『ORIGINS』と同等か、それ以上の体験をしていただけるものを作っていく形ですね。
そして五丈原の戦いまでやり切ればほとんどの武将が揃うので、『真・三國無双 Empires』のようにシミュレーションゲーム的な遊びもできるスピンオフタイトルなども作れるだろうと思っています。ただ、それ、何年後なんだろう……。

ひろゆきが『真・三國無双 ORIGINS』プロデューサーと本音で対談。作品の企画書や次回作の展望なども飛び出す_030

「張角や董卓も人気投票で選ばれて欲しかった」『真・三國無双 ORIGINS』が描き出す、武将たちの生き様と魅力

ひろゆき氏:
『ORIGINS』だと、最初に全ての勢力の歴史を通るじゃないですか。各々の正義がある感じで、単純に「劉備が正義で曹操が悪」なストーリーとは違う描かれ方がされている。昔に比べると物語に多様な感覚を取り入れやすくなったのか、それとも入れた方がいいという判断があったんですか?

ひろゆきが『真・三國無双 ORIGINS』プロデューサーと本音で対談。作品の企画書や次回作の展望なども飛び出す_031

庄氏:
多様な感覚を取り入れた方がいいというよりは、ゲームの流れとしても主人公が勢力を選ぶので、本作ではそれぞれの魅力や違いをしっかり描けるように作りたかったからですね。

ひろゆき氏:
3つの勢力ってどれでも同じように正当性がありますもんね。

庄氏:
もっとぶっちゃけたことを言うと、ゲームキャラクターの人気投票で関羽や張飛が選ばれて欲しかったというのもあります。張角や董卓もそうですね。

ここ10年は全く『無双』シリーズから選ばれていなくて、最初から『無双』を作って来て登場人物をリスペクトしている身としては悲しかったんですよね。

なので、一人一人の物語を深く掘り下げて、「今なりの描き方」をすることで本来の魅力をちゃんと伝えたかったんです。

ひろゆき氏:
僕は今回の張角はすごくいいと思いました。今までの『無双』だと最初の敵として出てくる「雑魚キャラ」扱いじゃないですか。劉備と関羽と張飛が仲良くなって、「はい潰す」みたいな。

ひろゆきが『真・三國無双 ORIGINS』プロデューサーと本音で対談。作品の企画書や次回作の展望なども飛び出す_034

でも、本来は官僚機構に対して民衆が立ち上がった中でのあの時代のカリスマ的指導者だったわけですよね。どこかの武将だったわけでもないのに、「俺たちで天を動かそうぜ」って言って、色々な人が黄色いのを頭に巻いたわけじゃないですか。

「そりゃ魅力的な人物だったはずだよね」っていうところをちゃんと描いていて、面白かったです。

ひろゆきが『真・三國無双 ORIGINS』プロデューサーと本音で対談。作品の企画書や次回作の展望なども飛び出す_035

張角が今回みたいな能力を持っているのと、主人公が超優秀なのも根っこが一緒でしたよね。オリジナルの主人公という本来いないものを歴史の物語にちゃんと絡ませることができていて、「脚本うめえな」と思いましたね。

ひろゆきが『真・三國無双 ORIGINS』プロデューサーと本音で対談。作品の企画書や次回作の展望なども飛び出す_036

庄氏:
シナリオの担当者たちがすごく喜ぶと思います。彼らが特に気を使ってくれたのが、「あくまでも中心となる『三国志演義』だったり『正史』を壊さない形で、かつ面白い主人公の物語を作る」というところでしたから。

私が求めたことでもありましたが、現場の人が本当にずっと頑張って詰めてくれました。ですが、三国志を邪魔したくないということもあって、主人公を「一騎当千ではない、記憶を失った青年にしてくれ」というのが当初の私の要求でした。

なので最初は、まさに農民みたいな感じだったんですよ。名も無き青年の視点で、三国志を知らない人にも、その世界やいろいろな人物のことを知ってほしいという想いがありました。

ひろゆきが『真・三國無双 ORIGINS』プロデューサーと本音で対談。作品の企画書や次回作の展望なども飛び出す_037

ひろゆき氏:
王道だと普通そうなりますよね。

庄氏:
ただ、狙い通りとはいえ初期バージョンの主人公があまりにも弱すぎて、社内の熱心な『真・三國無双』のファンからも「こんなの爽快感がない。死にゲーですか?」みたいに言われてしまいました。

ひろゆきが『真・三國無双 ORIGINS』プロデューサーと本音で対談。作品の企画書や次回作の展望なども飛び出す_038

流石に死にゲーを目指していたわけではないので、理想のバランスに行き着くためにも、ある程度は腕に覚えのある主人公でいてもらう必要がありました。そこで「関羽ほどではないにしても武術の素地を」と現場で考案してくれたのが今の主人公です。

ひろゆきが『真・三國無双 ORIGINS』プロデューサーと本音で対談。作品の企画書や次回作の展望なども飛び出す_039

ひろゆき氏:
実際ほとんどの武将を殺しまくるわけじゃないですか(笑)。だから、やっぱりめちゃくちゃ強いじゃないですか。常人ではない強さの理由は必要になってくるわけで、それだけ強いと「呂布なみに有名」になってしまう。

でもそうはならないように三国志にうまく溶け込んでいてストーリーが成り立っているので「ああ、上手いところを見つけたな」って感じました。

庄氏:
私も、現場のみんなに対して「うまいところを見つけてくれたな」と開発中は思っていました。

ひろゆき氏:
久しぶりに三国志系のゲームをやったんですけど、本作はよくできていたので、「あれ? 現実はどうだったっけ? こいついないはずだけど、元々どうなってたんだっけ?」 みたいな感じで、オリジナルなストーリーと区別がつかなくなることもありましたね。

庄氏:
個人的に描きたかったこともあって、本作では『正史』をベースにしながら、『演義』にも独自の解釈を加えさせていただきました。『三国志演義』そのままだと既視感がありますしね。

元々『三国志演義』自体が『正史』をベースに書かれたフィクションで、『演義』を日本語に翻訳する段階で吉川英治さんもそうですし、横山光輝さんも、作品としては『蒼天航路』『龍狼伝』とかも、『三国志演義』をベースにしつつもそれぞれで独自の解釈をされていると思うので、ならわせていただきました。

幻の企画『真・三國無双9』を凍結し、PS5だからこそできる“すごいこと”を目指した『ORIGINS』。シリーズコンセプトである「一騎当千の爽快感」に加え、かつてない「圧倒的大軍団」とプレイヤーの行動の自由度を実現

ひろゆきが『真・三國無双 ORIGINS』プロデューサーと本音で対談。作品の企画書や次回作の展望なども飛び出す_044

ひろゆき氏:
いままでの『無双』との違いがこれだけ大きいと、『ORIGINS』の最初の企画と、実際に出来上がったものでどれくらい差があるのかとかもめっちゃ興味がありますね。

庄氏:
企画と実際に出来上がってるものでは大きな差はないと思います。どういうコンセプトかも最初から決まっていましたし、「『真・三國無双』をしっかりリブートするぞ」ということがスタートにはありました。

ひろゆきが『真・三國無双 ORIGINS』プロデューサーと本音で対談。作品の企画書や次回作の展望なども飛び出す_045

『真・三國無双』にはシリーズコンセプトがあるんですが、「一騎当千の爽快感」が全タイトルに共通しています。加えて、本作では「圧倒的大軍団、圧倒的爽快感」もタイトルコンセプトとして突き詰めていきました。

ひろゆきが『真・三國無双 ORIGINS』プロデューサーと本音で対談。作品の企画書や次回作の展望なども飛び出す_046

今回のコンセプトについては、現場でもしっかりと咀嚼して反映してもらえたと思っています。「今だから作れるものを作ろう」という目標もあったので、兵士の数も今までにないぐらいにとにかく出して、しかもそれをAIで動かすというチャレンジもして……という形で実現に向かって行きました。

ひろゆきが『真・三國無双 ORIGINS』プロデューサーと本音で対談。作品の企画書や次回作の展望なども飛び出す_047

戦場におけるプレイヤーの行動の自由度も今回は実現したかったことのひとつです。軍師などの指示があるにしても、その場の判断で好きな攻略ができるゲームを目指しました。小さなオープンワールドのようなイメージですね。

ひろゆきが『真・三國無双 ORIGINS』プロデューサーと本音で対談。作品の企画書や次回作の展望なども飛び出す_048

ひろゆき氏:
今回、味方の軍団が来る前に門を開けたりもできますもんね。

庄氏:
いきなり相手の総大将を倒せるようにも作っていますね。
あとは、先ほどひろゆきさんにもお話いただいた、爽快感と緊張感の両立も計画されていました。

言うのは簡単ですが、現場では相当苦労しました。歯ごたえの強いアクションにすると、社内の人たちからですら「爽快感がなくてこんなの無双じゃない」と言われてしまったりもします。いただいたご意見はもちろん参考にはしましたが、最終的には信じる道を進みました。

企画に関してもっと言うと、本作の前に幻と言われている『真・三國無双9』があったんです。これは『真・三國無双7』の延長とも言えるものでした。90人以上のキャラクターを操作できて、全勢力の物語があって、というものです。

ひろゆきが『真・三國無双 ORIGINS』プロデューサーと本音で対談。作品の企画書や次回作の展望なども飛び出す_049

ものすごい物量を制作することにもなるし、キャラクター数の勝負では海外には通用しなくなるだろうという見通しもあり、「PS5だからもっとすごいことができるし、やろうぜ」ということで2020年くらいに幻の企画を凍結して切り替えたのが『ORIGINS』ですね。

ひろゆきが『真・三國無双 ORIGINS』プロデューサーと本音で対談。作品の企画書や次回作の展望なども飛び出す_050

ひろゆき氏:
『8』でオープンワールドになるという質的な変化があったわけで、普通は延長線上にあるそっちを伸ばしますよね。全く違う方向に行くっていう覚悟をしたんですね。

庄氏:
もちろん、オープンワールドで『真・三國無双』を作ること自体は不可能ではありません。ただ、正直に申し上げますと『無双』シリーズが目指している「タクティカルアクション」をオープンワールドで今回のようなクオリティを実現するには「まだまだ経るべきものがあるな」と感じます。

オープンワールドなら、今回の大陸地図をさらに引き伸ばしたものになります。であれば、「戦場に行くまでの行軍過程なども含めてゲームにするべきだ」と私は思います。兵站の概念などまでが実際にあれば意義深くなるかな、と。

10年くらい前の『5』の頃には、「将来は本当の意味で広大な戦場でのタクティカルアクションを作りたい」と思っていました。水の中などどこへでも行けて、崖などの高低差もあるステージ作りをしていたのはこの想いからです。ですが、今の技術力や物量を考えると、オープンワールドに進むのは段階を飛ばしすぎていますね。

ひろゆきが『真・三國無双 ORIGINS』プロデューサーと本音で対談。作品の企画書や次回作の展望なども飛び出す_051

ひろゆき氏:
「まだ経るべきものがある」とはいえ、やりたくてできてないことってずっと残り続けるんですね。

庄氏:
そうですね。ただ、一部で「『5』のリベンジをしてるだけなんじゃないか」みたいなことを言われているのは心外というか、ちょっと悲しい気持ちになりますね。そういうつもりはなく、『真・三國無双』の未来を考えて「今作るべきものがこれだ」と考えた結果が『ORIGINS』です。

『6』から『8』でも「大好きだ」と言ってくださる方がすごく増えていて、『真・三國無双』ファンのみなさんに「タクティカルアクション」を楽しんでいただきたかったんです。

ひろゆき氏:
もし本当に個人的なリベンジだったとしても、成功していれば何の問題もないじゃないですか。

庄氏:
ひろゆきさんにそう言っていただけると嬉しいです。

1

2

3

4

5

6

編集長
電ファミニコゲーマー編集長、「第四境界」プロデューサー。 ゲーム情報サイト「4Gamer.net」の副編集長を経て、KADOKAWA&ドワンゴにて「電ファミニコゲーマー」を立ち上げ、ゲーム業界を中心にした記事の執筆や、サイトの設計など運営全般に携わる。2019年に株式会社マレを創業し独立。 独立以降は、編集業務のかたわら、ゲームの企画&プロデュースなどにも従事しており、SNSミステリー企画『Project;COLD』ではプロデューサーを務める。また近年では、ARG(代替現実ゲーム)専門の制作スタジオ「第四境界」を立ちあげ、「人の財布」「かがみの特殊少年更生施設」の企画/宣伝などにも関わっている。
Twitter:@TAITAI999
編集者
小説の虜だった子供がソードワールドの洗礼を受けて以来、TRPGを遊び続けて20年。途中FEZとLoLで対人要素の光と闇を学び、steamの格安タイトルからジャンルの多様性を味わいつつ、ゲームの奥深さを日々勉強中。最近はオープンワールドの面白さに目覚めつつある。
Twitter:@reUQest

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合がございます

新着記事

新着記事

ピックアップ

連載・特集一覧

カテゴリ

その他

若ゲのいたり

カテゴリーピックアップ