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【ひろゆきにゲームおごってみた】『真・三國無双 ORIGINS』をめちゃくちゃ楽しんだひろゆきと、作品プロデューサーを本音で対談させてみた。プロデューサー「Xでひろゆきさんが『ORIGINS』を遊んでるのを見て、開発陣もすごく喜んでいた」

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「“黄巾の乱”は前回解決したはずだ。なんでまたやらされるんだ?」毎回同じ話を繰り返す三国志系作品の難しさと向き合い、新鮮な楽しさをつめこんだ『ORIGINS』

ひろゆきが『真・三國無双 ORIGINS』プロデューサーと本音で対談。作品の企画書や次回作の展望なども飛び出す_071

庄氏:
本作は立ち上げの段階から「北米欧州までも含めてグローバルで売れるものを作ろう」という考えがありました。理由として、これまで『真・三國無双』シリーズは年々売上が落ちていて、ファンの方も減っているという状況がありました。開発費もすごくかかる分、世界で売れないと、ビジネスとしてはもう通用しないという時代でもあります。

PS2の時代は日本でメジャーなタイトルでしたし、そのあとでプレステが普及し始めた中国でもそれなりに遊んでいただけるようになりました。ただ、北米欧州の方からは『真・三國無双』に対して「毎回同じ話なのか」と思われがちで、あまり遊んでいただけませんでした。

ひろゆきが『真・三國無双 ORIGINS』プロデューサーと本音で対談。作品の企画書や次回作の展望なども飛び出す_072

ひろゆき氏:
まあ三国志ですから、同じ話になりますよね。

庄氏:
有名な話なんですが、『真・三國無双3』が出た時の海外のレビューでは、「“虎牢関の戦い”は前回解決したはずだ。なんでまたやらされるんだ?」みたいなことを書かれていました。とはいえ、三国志だから「虎牢関」は外せません。

今回は三国志を知らない方にも、知ってる方にも、新鮮に楽しんでいただけるものかつ、中国語圏に加えて英語圏でもしっかりと売ることを狙っていました。
結果として『ORIGINS』では、中国語圏のプレイヤーが全体の40%を超える状態です。

ひろゆきが『真・三國無双 ORIGINS』プロデューサーと本音で対談。作品の企画書や次回作の展望なども飛び出す_073

ひろゆき氏:
いいですね。

庄氏:
今回とてもよかった点です。北米欧州もさらに伸張させつつ、中国でももっと遊んでいただくという形で、シリーズを伸ばして行きたいと考えています。

ひろゆき氏:
Steamの評価という話もありましたが、売上におけるPC版の割合は今どういう感じなんですか?

庄氏:
本作のような中国や北米欧州の割合が高いタイトルに関しては、PC版の割合もかなり高いですね。
一般的な話ですが、中国で売るゲームはSteamというか、PC版の割合が高い傾向があります。家庭用機自体がそれほど普及していないので、よく売れるゲームはPC版比率が必然的に高まります。
北米欧州でもPCゲーム市場がしっかりとあるので、今はPCは外せないどころかメインの市場だと思っています。

ひろゆき氏:
PCだとハードウェアなんかの環境が人によって様々で、デバッグとかの開発コストが上がりそうなイメージがあるんですけど、どうですか?

庄氏:
おっしゃる通りです。開発や品質保証のコストもそうですが、リリース後が怖くて大変です。家庭用ゲーム機なら、デバッグで不具合をある程度抑えられるんですが、PCは開発側ではしっかりと検証して快適で問題がない状態で出したつもりでも、必ずしもこちらの想定通りにいくわけではありません。

何万人、何十万人というお客様の環境に晒された時に「俺のPCで動かないじゃないか」「俺のPCでガクガクだよ」といった問題がどうしても出てしまいます。

例えば、当社で先日『Rise of the Ronin』というゲームをSteamでもリリースしたんですが、クオリティチェックは社内でしっかりやり切っていたのに、実際に出てみるとCPUとグラフィックボードの相性などで想定通りのパフォーマンスが出ないという問題が出てしまいました。

ひろゆきが『真・三國無双 ORIGINS』プロデューサーと本音で対談。作品の企画書や次回作の展望なども飛び出す_074
(画像は『Rise of the Ronin』Steamストアページより)

ゲーム自体は本当にいいもので、元となるPS5版ではクオリティを出せていたのに、「ちゃんと動かねーぞ」という声が出はじめると、一気に「親指を下に向けるマーク」がついてしまう。今はSteamでの評価が50%くらいで「賛否両論」になってしまっています。

もちろん、即時に調査して対応はしますが、この評判が本当に怖いんです。Steam上の評価は売上への影響が非常に大きく、PCリリースのリスクと言っていいですね。『Ronin』もリリース直後は残念ながらこのような状況で、てんやわんやになってしまいました。

ひろゆき氏:
対応するためにはテスト環境にいろんなPCを用意するとか、グラボもAMDとNVIDIAを用意するとかになるんですか? 結局、手数で勝負するという昔ながらの感じになってしまいそうですね。

庄氏:
そうなりますね。実際、IntelさんやAMDさん、NVIDIAさんなど、いろいろなところにご協力いただいて、相当数のPCの組み合わせを用意して力技でテストしています。それでも今回のように漏れてしまうことはあります。

そこで、「100台用意してダメだったから、じゃあ200台用意すればいい」というような単純な話でもなく難しいんですよね。『ORIGINS』はたまたま上手くいったと思います。いや、当然頑張ったんですけどね(笑)。

ひろゆき氏:
3Dグラフィックスでも、「この命令は使わない方が安全だ」とか、そういう裏開発ノウハウみたいなのができたりするものなんですか?

庄氏:
ノウハウは社内でも大量に蓄積をしています。今回の『ORIGINS』も、それより前に出た弊社の各PC版タイトルの知見をもらっている部分があります。それでも、全部活かしてやったのに『Ronin』はうまくいかなかったんですよね。

PC版が難しいのは、原因が簡単に特定できない場合が多いところです。「多分ここが原因だろう」みたいな対症療法しかできず、根本的な解決ができないことも多くあります。
組み合わせや状況があまりに多すぎて、蓄積した知見を「秘伝のタレ」として受け継いでいっても、完全には防ぎきれないというのが本音です。

ひろゆき氏:
どのメーカーもそこは苦労しながら何とか調整していくしかないんですね。

庄氏:
私の認識ではどの会社も本当に苦労しています。「コーエーテクモゲームスはPCが苦手だよね」みたいに思われてしまっていて、だからよいというわけではありませんが、客観的に見ると会社でそんなに変わらないはずです。一度大きな問題があると不名誉な印象を持たれてしまう。それでも圧倒的にPC市場が大きいので、捨てることはできません。

ひろゆき氏:
僕が日本に住んでいるころは「ダウンロード版はねーな」って思ったんですけど、今はみんなダウンロード版になってきたんですね?

庄氏:
私の肌感だと、ここ5年くらいで普及が一気に進んだ印象があります。昔と違ってインターネット環境も整っていますし、「欲しい時にパッと買える」ということでダウンロード版の利便性への認識も上がっています。
今回の『ORIGINS』でも、ダウンロード版は国内でそんなに売れないと思ったんですが、結果的にはダウンロード版の方が売れています。

私も正直、パッケージ版が欲しいタイプではあるんですけど、正直「ダウンロード版でいいか、買っちゃえ」と思うことがここ数年で増えました。昔は物理的なものが欲しいという志向が強かったとは思いますが、日本も大分変わってきましたね。

ひろゆき氏:
僕も日本に住んでいた頃はパッケージを買って、クリアしたら売るというスタイルでしたけど、ディスクの扱いも確かに面倒くさいですしね(笑)。

もっというと、日本の人って新しいナンバリングが出ると古いのはもう買わないじゃないですか。海外の人だと違うみたいなのはあるんですか?

庄氏:
かなり前のゲームでも人気があったり評価が高かったりするものがセールに出ると、みんな気軽に買うという感じですね。やっぱり、ダウンロード版が普及しているからだと思います。
PlayStationでもXboxでもSteamでも、各ストアのセールが常にありますよね。昔のタイトルが30%オフとか、すごく古いものだとメジャーなタイトルも70%~80%のセールとかになっていて、みんな気軽に購入できる土壌があります。
国内でも、セール時には古いタイトルでも買うということがもっと増えていくのではないでしょうか。

ひろゆき氏:
『ORIGINS』は売上が伸び続けそうな感じですけど、ゲームっていつ頃から売上が落ち始めるものなんですか。

庄氏:
初動1ヶ月たたずに落ち込むのが基本ですね。昔と比べて落ち込みも本当に早くなりました。その点でいうと、今回の『ORIGINS』は比較的緩やかです。ただし、長く売るためには、Steamなどのレビューの評価が高いことが必須条件だと思っています。

セールの時でも、評価が低いものはいくら安くしてもあまり買ってもらえません。本作は海外の人たちからも良い評価をいただいているので、おそらく今言っていただいたように長く売れていくと思います。

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編集長
電ファミニコゲーマー編集長、「第四境界」プロデューサー。 ゲーム情報サイト「4Gamer.net」の副編集長を経て、KADOKAWA&ドワンゴにて「電ファミニコゲーマー」を立ち上げ、ゲーム業界を中心にした記事の執筆や、サイトの設計など運営全般に携わる。2019年に株式会社マレを創業し独立。 独立以降は、編集業務のかたわら、ゲームの企画&プロデュースなどにも従事しており、SNSミステリー企画『Project;COLD』ではプロデューサーを務める。また近年では、ARG(代替現実ゲーム)専門の制作スタジオ「第四境界」を立ちあげ、「人の財布」「かがみの特殊少年更生施設」の企画/宣伝などにも関わっている。
Twitter:@TAITAI999
編集者
小説の虜だった子供がソードワールドの洗礼を受けて以来、TRPGを遊び続けて20年。途中FEZとLoLで対人要素の光と闇を学び、steamの格安タイトルからジャンルの多様性を味わいつつ、ゲームの奥深さを日々勉強中。最近はオープンワールドの面白さに目覚めつつある。
Twitter:@reUQest

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