2019年も明日で終わり。毎年恒例の1年間の振り返り記事です。
電ファミニコゲーマーにとっての2019年はまさに激動の1年で、やはりもっとも大きな出来事は独立でしょうか。
ご存知の通り、もともと電ファミはドワンゴが運営するWebメディアでしたが、今年の7月に独立し、現在は編集長である私の個人会社・マレが運営しています。詳しくはねとらぼさんの取材でお答えしていますので、よろしければそちらもどうぞ。
実はほぼ全くマネタイズをしてこなかったサイトなため、まずは運営資金をどうするか、というところからのスタートでした。既に記事でお知らせしておりますが、広告やPRのプランを新たに設け、企業協賛という特別な取り組みも展開。
また、「世界征服大作戦」というファンクラブをDiscordで開始させていただいたり、いわゆる投げ銭のシステムを導入させていただいたりと、従来のビジネスモデルとは違う形で、何とかWebメディアを運営できないかと、ずっと模索していた1年だったように思えます。
決して潤沢な予算とは言えませんが、ご出稿・ご協力いただいたゲームメーカー様、取材に応じてくださいましたクリエイター・プレイヤーの皆様、そして何よりご協力・応援いただいた読者の皆様のお力により、何とか運営方針を変えることなく、新年を迎えることができそうです。この場を借りてお礼申し上げます。
それではアクセス数ランキングから2019年の電ファミを振り返っていきます。
文/TAITAI
2019年年間アクセスランキング
2019年年間Twitterランキング
3位:「biim兄貴」に聞くRTA動画とネット文化への思い。タイムアタックに革命を起こした男は、電子の海に“うんこの墓標”を立てる
「biim兄貴」に聞くRTA動画とネット文化への思い。タイムアタックに革命を起こした男は、電子の海に“うんこの墓標”を立てる
第3位にランクインしたのは、RTA動画界の伝説「biim兄貴」へのインタビュー記事。う●こやクソなどといった言葉が飛び交うためか、掲載時には、同僚のドワンゴ社員や同業者からは「あれ、よく掲載しましたね」「bilm兄貴に取材するとは、尖りすぎでは」などと言われたのだが、企画を通した編集長の私としては、biim兄貴は普通に「リスペクトに値するクリエイター」という認識だったため、電ファミで取り上げることにはとくに違和感はありませんでした。まぁ、酷い(褒め言葉)な内容にはなると思っていましたが。
ちなみに、後日、編集会議での振り返りにて、担当したスタッフたちが「いやー、biim兄貴にの取材は、電ファミが潰れる前にやっとこう!ってヤケクソの企画だったっすよ。だって、あのときは電ファミなくなると思ってたんで。アハハ!」などと宣っており、お前らな…と思ったのは内緒である。
2位:とある女性が投稿した「亡き父親のゲーム攻略メモ」を見てゲームを攻略するということ。彼はなにを解き、わたしはなにを辿ったか
とある女性が投稿した「亡き父親のゲーム攻略メモ」を見てゲームを攻略するということ。彼はなにを解き、わたしはなにを辿ったか
「まるで、ヴォイニッチ手稿のようだ…っ」と話題になった、とあるゲーム攻略メモに関する記事が2位に。その圧倒的な緻密さと、なんともいえない神秘性で、電ファミの記事のみならず、Yahooニュースなどでも大きな話題になった記事でもある。
記事を読んでもらえれば分かるが、ノート一冊に渡ってびっしりと書き込まれたこの攻略メモは、プレイしながらのメモ書きであり、攻略日記的なものだったようで、思い返せば、筆者も古くは『ウィザードリィ』や『ダンジョンマスター』などといった3DダンジョンRPGを遊ぶときには、必死に方眼紙にマッピングをしながら、各種トラップやイベントの配置などを書き込んでいたものだった。
その意味では、なんというか、こういうノートが描かれる動機や経緯はなんとなく理解できるという人も多いのではないだろうか。……え、そんなこともないですか?
1位:『刀剣乱舞』ファンがこの3年間で巻き起こした覇業を振り返る。107万円の公式Blu-Rayに約70件の申し込み、刀1本の展示で経済効果が4億円、幻の日本刀復元に4500万円を調達!
『刀剣乱舞』ファンがこの3年間で巻き起こした覇業を振り返る。107万円の公式Blu-Rayに約70件の申し込み、刀1本の展示で経済効果が4億円、幻の日本刀復元に4500万円を調達!
堂々の一位に輝いたのは、この刀剣乱舞ファンの「武勇伝」をまとめた記事。……っていうか、これはなんと2018年3月の記事。
掲載から半年以上たったあとの2019年12月末からの集計期間で、まさか1位になってしまうとは……。
他のランクインした記事を見てもらえればお分かりのように、他の記事のPVが決して低いというわけではなく(むしろ、他のニュースサイトと比較しても上位の記事のPVは多いくらいでしょう)、純粋にこの記事がことあるごとに様々な箇所から言及、引用された結果なのでしょう。うーん、刀剣乱舞(のファン)の熱量、恐るべし。
ちなみに、通常のニュースサイトでは記事の寿命が2〜3日で終わってしまうところが、記事によっては数年単位で読まれ続けるというのは、電ファミの大きな特徴だと言えます。
このように、「長く愛される」「読み返される」記事が作れたというのは、記事を作る側としては、とても嬉しい話。来年以降もこういった価値ある記事を作っていければ、と改めて思わせてくれる結果でもありました。
番外編
ゲーム実況で食ってる人で下手くそなのは俺たちだけ──人気実況者・加藤純一ともこうが考える、視聴者たちが彼らのプレイに熱中する理由とは
ゲーム実況で食ってる人で下手くそなのは俺たちだけ──人気実況者・加藤純一ともこうが考える、視聴者たちが彼らのプレイに熱中する理由とは
昨今のゲームシーンを語るうえで、もはや欠かすことができないゲーム実況動画。そのゲーム実況動画も、「動画」から「生放送」へと軸足が移り変わりつつあります。
非同期的な視聴(ストックコンテンツ的な)が中心の「動画」と、多くの人が同時に、同期的なコンテンツとして消費される生放送。この違いにフォーカスし、とくに生放送独特の魅力や面白さがなんなのかに迫りたい! と思って実施したのが、この取材でした。
さすがトップランナーだけあって、加藤純一さん、もこうさんともに非常にしっかりとした考え方をもっていたのは印象的。今後のゲームシーンが、より動画と密接に絡んでいく、融合していくことは明らかなので、彼らの持つ視点やノウハウは、個人的には、ゲーム業界の人間こそが参考にすべきものだとも思っています。
という意味では、実は彼らのファン向けの記事であると同時に、ゲーム業界人に向けた内容でもありました。
【ゲームの企画書】エロゲー業界の重鎮アリスソフトのTADA氏が駆け抜けた現場30年。平成に始まり平成に終わった『Rance』シリーズを完結させた「作り続ける人」が向かう先
【ゲームの企画書】エロゲー業界の重鎮アリスソフトのTADA氏が駆け抜けた現場30年。平成に始まり平成に終わった『Rance』シリーズを完結させた「作り続ける人」が向かう先
「ゲームの企画書」の連載を構想していたときから、アリスソフトやTADAさんに取材することは、大きな目標の一つでした。そのくらいTADAさんの作るゲームは面白いものだったし、他のレジェンダリーな作品/クリエイターたちと同等に扱うべきものだと認識していたからです。
これまで、美少女ゲーム関連の雑誌やファンブックなどでしか出ていなかったTADAさんのインタビューを、ある種の「公の場」できちんと掲載することには、大きな意義があったと手前味噌ながらに思っています。
TADAさんに限りませんが、奈須きのこさんや虚淵玄さんのように、「エロゲー」という市場(環境)だったからこそ出てきた才能、なしえたクリエイティブの素晴らしさというのは間違いなくあると思うので、そのあたりは、追々もっと掘っていければと思う次第です。
セガ社員と「創業からのセガの歴史」を振り返ってみた【PR】
セガ社員と「創業からのセガの歴史」を振り返ってみた【PR】
なんとアクセスランキングのベスト20にPR記事が2本もランクイン。こちらは「メガドライブミニ」のPR記事で、独立後初めての広告案件でした。
PR記事はあまり歓迎されない風潮がありますが、流石ヨッピーさんといったところでしょうか。Twitterで約3200ツイートも拡散され、はてブも280ほどに。
Twitterでは「こんなPR記事なら歓迎」といったコメントを見かけたりと、電ファミならではのPR記事を作れたんじゃないかと思っています。
また、今回の記事はただ単に記事を企画して、インタビューして終わりというわけではなく、実は前もって以下のツイートをしていまして。
【募集】
— ヨッピー (@yoppymodel) September 10, 2019
「SEGAの年表を作る」という企画をやるのですが、「FF7がPSで発表されてSEGAファンお通夜状態」みたいな、「SEGAの歴史ではないけど、SEGAにとって重要な出来事」も網羅したくて、「これも入れるべき!」みたいな出来事を教えてください……!
頂いたものは抜粋して記事で使わせて頂きます!
つまりこれは、読者参加型企画なわけです。このツイートは、書かれている通りセガ年表に入れてほしい出来事を募集するために行ったものですが、それ以外にも、企画を前もって告知して、掲載までのストーリーを作るという意味合いがあります。
これにより、「ああ、この前言っていた企画ね」「自分が提案した出来事は採用されているかな?」となり、いきなり記事を公開するよりも拡散が見込めるだけではなく、記事が公開されるまでのストーリー込みで楽しめるというわけです。あえて演出と言ってしまいますが、今回はそういう演出をしています。
あとがき
いやー、今年はいろいろあったな本当に(遠い目)。
というわけで、2019年は独立の関係でバタバタしており、企画記事の更新頻度はかなり落ちてしまいましたが、実は沢山の企画を仕込んでおります。そのうちの何本かは新年1月中にお届けできる見込みです。
2020年は株式会社マレとしての大型企画もいくつか動き出します。まだご紹介できる段階ではありませんが、電ファミニコゲーマー編集部ならではの企画力、あるいは発信力を活かした、今までにないもの(たぶん)だと思うので、ご期待頂けますと幸いです。
また、なにか電ファミでやってみたい、電ファミと一緒に企画を立ち上げてみたい!と思う企業さんがきたら、ぜひお気軽にご連絡ください。
来年も、電ファミニコゲーマーをよろしくお願いします!