新型コロナの大流行という、まさに苦難の年となった2020年。
ゲーム業界にもその影響は及び、E3や東京ゲームショウなどといったゲームイベントは、軒並み中止ないしオンライン化といった形での開催を余儀なくされた。また、リモートワークへの移行やさまざま変化に対する対応を迫られ、プロジェクトの進行が遅延しているゲーム会社も多いと聞く。
一方で、前向きな話題もなかったわけではない。PlayStation 5やXbox Series X|Sという次世代機のリリースや、『あつまれ どうぶつの森』の爆発的なヒットなど、兎にも角にも今年が激動の一年であったとことには違いない。
ここでは、そんな今年一年を締めくくる意味でも、電ファミで掲載された記事の振り返りを行ってみたい。集計期間は、2019年12月〜2020年11月まで。
電ファミ上では、いったいどんな記事が読まれて話題になったのか? それを、アクセス数順やTwitterでのリツイート数順などといった切り口で見ていければと思う。また、合わせてYahoo!ニュースやスマートニュース上でのどういうランキングになっているのか?も合わせて掲載してみたので、そちらも参考にしてみてほしい。
文/TAITAI
2020年 年間アクセスランキング
2020年 年間Twitterランキング
アクセス数1位:『ドラゴンボール』と『ナルト』の元担当編集が語る「ジャンプ」の裏側 ― 絶対に敵わない『ワンピース』に勝つために『ナルト』が取った戦略とは【鳥嶋和彦×矢作康介×鵜之澤伸×松山洋】
『ドラゴンボール』と『ナルト』の元担当編集が語る「ジャンプ」の裏側 ― 絶対に敵わない『ワンピース』に勝つために『ナルト』が取った戦略とは【鳥嶋和彦×矢作康介×鵜之澤伸×松山洋】
今年のアクセス数1位に輝いたのは、元ジャンプ編集部の鳥嶋さん、矢作さんらをお呼びして、ジャンプのモノ作りのあり方を聞くという座談会。脇を固めるのは、ゲーム業界で漫画のことといえば!という松山さん、そしてバンダイナムコで長年ゲーム事業に携わってきた鵜之澤さんと、超豪華メンバーでの座談会という意味でも、大きな話題になった。
本文中でも触れていることですが、この記事の主役は、実は矢作さんだったりします。普段、なかなか表に出てこない編集者の考え方や葛藤、思いを語ってほしくて、いかに矢作さんに喋って頂くか?に焦点を合わせて考えた座組、メンバーでもあります。
自分が編集側の人間だから、ということもあるのでしょうが、個人的には、モノ作りにおける編集者の役割という部分は、もっとフォーカスして良いものだと感じています。作家さんに対するリスペクトは大前提としつつ、それを裏で支える編集者の才能もまた、ヒットコンテンツには不可欠なものだと感じるからです。
この手の「編集者が語る」的な記事が世に出ると、必ず一定の批判(偉いのは作家だろ!という)が出て来がちなのですが、一方で、作家を一番尊敬し、愛しているのも編集者という人種だと思うわけで、その仕事ぶりをもっと明らかにしていきたい、と強く思う次第なのです。
アクセス数2位:『十三機兵防衛圏』が狂気的に傑作すぎたので、思ったことをちょっと書く
『十三機兵防衛圏』が狂気的に傑作すぎたので、思ったことをちょっと書く
2位にランクインしたのは、ヴァニラウェアが開発を手がけた『十三機兵防衛圏』に関するレビュー記事。正直、この手のレビューがここまで広く読まれることは稀なので、その意味でもびっくりな結果かもしれません。
この記事は、それこそプレイせずに積んであった本作を、昨年の年末年始に筆者が遊んだことに端を発します。結果は……、お正月休みを返上する勢いで熱中し、「これは何か書かねば!」という勢いに任せて記事を書き上げたのを覚えています。
とはいえ、このゲーム、なにがどう面白いのか?を伝えるのが恐ろしく難しいゲームでもありました。ストーリーは最後まで遊ばないとワケが分からないし、ゲームシステムが特別に革新的ということでもない。ややもすれば、「素晴らしいグラフィックスに感動的なシナリオ」などというような、表面的な説明に終始してしまいがちになるタイトルの典型だと言えます。
というわけで、この記事で取った戦略?は、とにかく「すげえってことを伝える」を念頭に、細かい解説はその後で書いていく、というものでした。とにかく、このゲームをまだ知らない人に記事を届けたかったのです。結果として、まだこのゲームを遊んだことない人にも、とりあえず「なんだか凄いらしいよ?」という形で読んでもらうことが出来たような気がします。
一つの記事でゲームの販売本数に影響を及ぼすということは、普通はなかなかないものなのですが、今回の2位という結果を見て、多少は売上にも貢献できたいのかな……と少し思える(違うかもしれないけど)気がして、とても嬉しく、仕事冥利に尽きるなーと感じるのであります。
電ファミのTwitterランキングについて
全体の記事本数こそまだまだ少ない電ファミですが、記事一つ一つの反響の強さは、おそらく国内でも指折りのメディア……だと思います、たぶん。中でも、Twitterでの反響の大きさは、電ファミの大きな特徴の一つ。
そんな電ファミで、今年いちばんTwitter上で話題になったのは、不倫をテーマにした『Don’t Cheat On Me』のタイトルの発表でした。不倫というだけでも尖りまくっているのに、さらにマルチプレイ対応というあたりが、多くのゲーマーの興味を掻き立てたようです。いや、実際、どういうゲームにするつもりなんだこれ、と思わざるを得ない。
浮気をテーマにした対戦型マルチプレイゲーム『Don’t Cheat On Me』発表。浮気の証拠を探す夫、隠す妻、逃げる間男に別れて戦う大胆な発想の対戦ゲーム
ほか、Twitterランキングで目を引くのは、『Fall Guys』に関する話題だろうか。今年の夏から秋口にかけての本作の話題性は抜群で、関連の記事を出せば読まれるような状況だったと記憶している。またその話題性に比して、国内で本作のことを扱うメディアが少なめで、結果として電ファミにアクセスが集中したという側面もあるかもしれない。
『Fall Guys』の中身が判明、“公式”骨格図が公開。衝撃的な生態がまたひとつ明らかに
しかし、当たり前と言えば当たり前だが、Twitter全体を見渡すと、やはりニュース性、時事性があるものが上位に来やすい。一方で、アクセス数順で記事を見ると、しっかりとした読み物系が上位に来ることが多いわけで、結局、何事もバランスが大事ということだろうか。
この一年は、実は編集部的にはニュースの強化とテコ入れを意識した一年でもありました。それがある程度数値になって確認できたのは、とても良かったなと思います。
2020年の総括・あとがき
というわけで、今年一年も、なんとか無事乗り切ることができました。
いやぁ、普段はあまり表立っていうことはないのですが、いまの時代、独立してメディアを運営・維持することは本当に難しいなとよく思います。そんな中、いまだに電ファミが存続できているのも、ひとえに関係各所の皆さま、そして読者の皆さまのおかげです。本当にありがとうございました。
正直、ドワンゴ&KADOKAWAグループから独立した時には、どうなることかと先の見えない不安でいっぱいでしたが、人間やってみると案外どうにかなるものですね。
ドワンゴと言えば、今年最後のインタビュー記事となった川上量生さんのインタビューなどは、個人的には、今年一番印象に残った仕事の一つでした。川上さんとは、仕事として接点を持ってからは10年弱、ゲーマー時代からの付き合いという意味では、実に20年近くの長い付き合いになるわけですが、その独特の考え方や物事の捉え方など、公私ともに大きな影響を受けた人物の一人でもあります。
カドカワの社長退任や『シン・ゴジラ』の舞台裏、そして教育事業に賭ける情熱とは?──川上量生・特別インタビュー
彼が一風変わった人間であることは否定しませんが、その才能や能力をもっと活かすべき人だとも常々思っているので、その表面的な部分だけで川上さんという人物を判断するのではなく、もっとちゃんと知られてほしいなぁと思います。変わった人ではありますが。
また、電ファミとは少し話が離れますが、実はマレという会社自体も、裏で大きな動きがあった一年でした。今はまだ、公にはできないのが残念ですが、2021年からは徐々にそのあたりも明らかになっていく……かも? メディア運営とは違った形での「編集者」としての挑戦を見せていけるといいなと思っております。
ともあれ。
今年一年、電ファミニコゲーマーをご愛顧いただき、誠にありがとうございました。
また来年もよろしくお願い致します!
最後に。参考までに、Yahoo!ニュースとスマートニュース上の記事ランキングも沿えておきます。媒体が違うだけで、同じ記事でもこうも読まれ方が違うのか!と、興味深い内容になっていると思います。
それでは、良いお年を!